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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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閑話 クラウディア 海の王

本当に良かったです。

シャーロット様は私の声を聞いて下さると思いました。

記憶を消され、あの両親と一緒に海に戻されていたら終わりでした。


簡単に自分の子供を売る父親。

簡単に自分の子供を見捨てる母親。


話になりません。


魚人に捕まった時から親とは思っていません。

耳障りだった父親の叫び声も、この国で楽しく過ごすうちに薄れていきます。


本当に最低な親でした。

何がアドバイスと訓練ですか。


尾に魔力を集める。

言っている本人が怖さを理解していない。

娘を実験に使うつもりだとしか思えない。


そして、大した効果もないのに驚いている。


訓練も私たちの動きを見ているだけ。

それで、自分が強くなったと勘違いした。

いいえ、私たちに魚人を倒させるつもりだったのでしょう。


まさか、シャーロット様が魚人を殲滅された後に悔しがるとは。

本当に情けない、身の程知らずな母親でした。


父親はしつこく強くなった方法を聞いてきました。

シャーロット様の秘儀で教えられないと言ったにも関わらずです。


父親の前では身体強化をするのを止める事にしました。


あの人は魔力が見えているのです。

動かしているのを見られたくありません。

シャーロット様の秘儀を知られたくありません。


声を上げたお陰で2人は飛ばされました。

私より弱いのに海の王とか笑えますよ。

そろそろ消えた人の事は忘れましょう。


シャーロット様は月に3000ギルのお小遣いをくれると言いました。

この金額は多過ぎると思います。


孤児院に入っていれば、こんなにお金は使えません。

孤児院の子供たちは月1000ギルを使えるかどうかなのです。


孤児院に100人は入れないのでしょう。

そして、私たちが海にいれば食糧が必要無いと知った為の金額だと思われます。

ですが、何もしない訳にはいきません。


シャーロット様は私たちを働かせたくないのでしょう。

授業後は遊んで欲しいと考えていると思います。

ですが、授業の無い日だけ魚やサンゴを売る事は可能だと思います。


お願いに行くべきですね。

「あなた達、シャーロット様にお願いに行きます。休日だけでも魚屋をするべきです。少しでもお金をお返しできるように手伝いなさい」

「「はい。お姉様!」」


授業がない日の午前、社まで歩いて行きました。

「シャーロット様、お願いがあります」


シャーロット様が笑顔で社から飛び出して来ました。

「皆揃ってどうしたの?何か困った事でもあった?」


私たちの心配をして下さるのですね。

十分に助けて頂いていたのです。


恩返しをするべきなのです。


「学校の休日だけでも魚屋をしようと思っているのです。許可を頂けませんか?」

「うーん…。子供は休日にも遊んで欲しいんだけどねー」


やはり、休日もそのように考えるのですね。

シャーロット様は優し過ぎます。


ヴィーネ様が社から出て来ました。


「4人ずつ交代で働きます。3人で魚やサンゴを取り、1人はお店の店員をします。どうでしょうか?」

「母さん、させてあげなよ。少しでも何かしたいんだよ。3人で海を泳げば誰にも負けないよ。1人でも負けないと思うけど、3人いれば確実だと思うよ」

「それは間違いないと思うけどさ…。分かったよ。何かあったら確実に逃げる事はできると思うから教えてよ。学校の休日だけだからね」


まだ助けて下さるのですね。

仮にあの人たちを見かけたら、自分たちで殺します。


「はい、ありがとうございます。それで、お願いがあるのです。あの男は海の王にふさわしくありません。同じような槍を1本と魚獲り用に、簡素な槍を3本作って頂けませんか?」

「面白いね。奪ってきてもいいけど使いたくないよね。私が作るよ。母さんは苦手だからさ」

「な、何て事を言うのかしら。まあ、得意なヴィーネに任せるよ。綺麗なのを作ってあげて」


「まかせてよ!創造(クリエイション)魔法(マジック)【ポセイドンの槍】、木魔法(ウッドスピア)・・・・。はい、どうぞ」

「流石私の娘だよ。最高の槍だね!」


本当に凄いです。

伝説の槍を簡単に作ってしまいました。


私は伝説の槍を受け取りました。

妹たちは木の槍を受け取りました。


「ありがとうござます。学校を卒業したら私が海の王を名乗ります」

「「お姉様!」」


「いい覚悟だね。そういうの大好きだよ。偽物が邪魔になったらいつでも言ってね」

「既に海で一番強いし何も問題ないね。身体強化でまだまだ()()()()()から頑張ってね」

「「はい。ありがとうございます」」


お2人にお礼を言い、私たちは社から海に戻りました。

「皆、シャーロット様の最後の言葉を聞きましたね。身体強化には可能性があります。極めるまで終わりはありません。訓練を続けましょう」

「「はい。お姉様!」」


速く泳げると言いませんでした。

強くなれると言いました。


やはり、私たちが気付いていない何かがあるのです。

海の王になると言った私へのアドバイスに違いありません。


シャーロット様が体を壊してまで考えた秘儀です。

新たな海の王として必ず極めて見せます。

長女のクラウディアは海で最強です。

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