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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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閑話 クリスタ 酷い状況

ヴィーネ様、本当に酷いです!


いきなり呼び出されて授業しろって…。

何を教えればいいのでしょうか?


「マリアンネさん。何ですかこの状況は?人間に負けたって何ですか?」

「私たちは5万人の人間との戦争に負けたんだよ」


5万人の人間に負けた?

どうやって負けるんですか?


「すみません。どうすればこの国にいて5万人の人間に負けるんですか?全員シャーロット様の秘儀を使えるとか、魔石を運用しているとかの想定ですか?」

「いや、奴隷を含む5万人の想定だったよ。30分前に攻めてくると教えてもらった」


いやいや。

流石にそれはおかしい。


「ああ、ここにいる人たちだけで戦ったんですか?作戦を立てるつもりが無かったとかですか?」

「違う。この国にいる全種族の大人が相手をして負けたんだよ」


秘儀を教えてもらっている大人ばかりですよね?

どうやって負けるのか本当に分からないです。


「授業って…。シャーロット様に授業してもらった人が集まってますよね?私から聞く事はないですよ。本当に訳が分からないのですけど」

「普通に戦って負けただけだよ。ヴィーネ様は何でお前を呼んだと思う?」


普通に戦って負けた。

5万人相手に普通に戦うって何だろうか?


「5万人を相手に普通に戦うってどういう事ですか?全員、近接武器限定とかですか?」

「こちらは何でもありだよ。それで負けたんだ」


何でもありなら絶対に負けないじゃないですか。

説教をしたと聞いたヴィーネ様が勘違いしている人をテストしたのかな?


「うーん。負けた理由と、その訳を教えて下さい」


■ハイエルフ長老の場合

「短命種を馬鹿にしています。人間や獣人にたくさん捕まっていたのに、まるで反省していないですね。そもそも、助けてもらって、回復してもらって、世界樹まで植えてもらって、食糧まで用意してもらって、シャーロット様にお礼に行く人がいない、感謝している人がいないですよね。長老が説得すると言ったのは口だけですね。人間が他国を攻める時、5万人は普通の事だと思います。つまり、常識も足りない。自分たちで考える事もないのですね。ドリュアス様があなた達の元に戻らない理由すら理解していない。妖精も見なくなったでしょ?それにも気付いていませんね」


■人魚の母親

「シャーロット様に助けられなければ死んでいたか、人間に利用され続けていた人ですよね。秘儀を教えてもらって国から逃げるのは、殺されても文句が言えないですよ。魚人に捕まった時から何も反省していませんね。そして、今日死んで二度目、三度目を要求できるのは凄いですね」


■ドワーフの族長

「この国の重要施設である研究室に出入りし、何でもしていいほど好きにしているのに、この国の人じゃないみたいですね。帰ったらどうですか?」


■ハーピィの族長

「あなた達も人魚の母親と一緒です。秘儀を教えてもらって、本気で訓練しないのはおかしいです。感謝していないですね」


■ドラゴンの族長

「年齢が上がれば強くなるのに、更に強くなろうとはしないのですね。あなた達は街に攻撃を仕掛けたのに生きている。奇跡ですよ。そこで、一度死んでいる。今日で二度目です」


■マリアンネ

「人間で秘儀を知っていて、一番中途半端な事をしています。忘れるか訓練するかの2択ですね」


■全員

「そもそも、シャーロット様が動く理由は暇つぶしの気晴らしです。目に入った人を助けるのは、性格です。もしくは、助けた孤児を見て更に被害者がいると知ってしまった時です。そして、動く前には必ず事前確認がありますよ。好き勝手に動いた事はないですね。シャーロット様は子供を大切にしているのではないですよ?孤児を大切にしています。親がいる他の子供はついでです。この国に住んでいて理由すら知らないなら出て行った方がいいですね。この国で一番大切にされている大人はカーリンです。だから、カーリンに確認をして動いているのです。今はヴィーネ様との時間を一番大切にしています。お2人で遊ぶ時間を大切にしています。だから、孤児院だけを切り離す可能性が高いですね。ここまでの環境を用意してもらって種族同士で協力できないならお店をしている意味がないですね。お店が恩返しになっていると思うなら、笑えますよ?あなた達の事を考えて作った仕組みですからね。本来は必要ない、その事すら理解していないみたいですね。強いとか、弱いじゃない。終わっているんですよ。今になって慌てても遅いです。助けられた時に感謝して動いていれば、こうはならないのですから。孤児院ではカーリンが助けられた事の大切さを孤児に教えます。だから、孤児に問題は起きません。結論としては、秘儀の記憶を消されて下さい。考えたシャーロット様が可哀想です。そして、私には目障りです。強くなったつもりの馬鹿は見飽きました。何かを教える気にもなりません。教える状態まで訓練していないようですから」


授業するに値しない。

本当にふざけた連中だ。


そして、隠れて見ていたみたいですよ。

ああ…、帰りたいよー。


「素晴らしいね。流石クリスタ先生だよ。よく中立派だと言えるね。最高だよ!」

「孤児院の中で中立派です。隠れて見ていないで、秘儀と魔石の運用、魔法使いの可能性の記憶を消して下さいよ。感謝して努力する人だけが知るべきものです。勘違いしている人たちが知るべきものではありません。シャーロット様の優しさに縋った愚者です」


「だそうだよ。私も賛成だね。反対意見の人は何かあるかな?本当だったら今日死んだ人は、みんな殺したいんだよ?かなりの優しさだと思うけどね」

「そうしますと、この国は誰が守るのですか?」


この人は本当に嫌だよ。

人間に負けたのに、まだ強者のつもりですか?


「クリスタ、どう思う?」

「この国を守る必要のない状態にするだけで終わりじゃないですか。土地神様ですよ?それに、守れないから意味無いでしょ?」

「あなたは守れるのですか?」


私に国を守れと言っているのかな?

本当に何も知らないじゃない。


短命種を馬鹿にし見下す。

相手にする価値もないね。


「私ですか?子供なら全員守れます。大人は知りません。秘儀を知っているあなたが、未だにその状態なのが笑えないですよ。秘儀を全く使っていない。そして、私が今も使っている事も分からない。だから、無駄ですね」

「記憶を消す前だから、クリスタ。秘儀の一番強い状態を教えてあげてよ」


「えーー!相当苦労したんですよ。気付いたのは鬼ごっこを見ていた時ですから、嫌です」

「流石だね!私に逆らうなんて立派な中立派だよ」

「鬼ごっこを見ていて気付いたのですか?子供たちが工夫しているのは気付きましたよ」


2000年以上も生きてきて初歩に気付いたの?

この人は完全に駄目だ。


「何故同じ魔力量で鬼ごっこをしているのに、お2人に走っても追い付けないと思いますか?おかしいと思わなかったのでしょ?つまり、魔力を動かしていない場所があるからですよ」

「鬼ごっこを見ていて気付けるのは流石だね。子供たちも苦労しているよ。あれは工夫すれば分かるものじゃないからね。記憶を消す事は決定したし教えてあげてよ。ハイエルフは世界樹伐採して何処かに飛ばすよ。当然だけど果物林も伐採する。ドワーフもいらないね。元の場所に戻してあげる。人魚は子供たちが頑張ってるから記憶消去だけで許してあげる。ハーピィも子供たちが頑張っているから記憶消去で許してあげよう。これでどう?教えてあげてよ」

「何故ハイエルフだけそこまで厳しいのですか?」


本当に気付いていないんだ。

何を言っても短命種の言葉は耳に入らないんだね。


終わってるよ。


「だって、助けてあげたのに誰も母さんに感謝してないじゃん。不愉快だよ!長老が説得するって言ったのは何だったの?我慢して生活しろとでも言ったのかな?国ごと飛ばしてあげるから安心してよ。それなら攫われないでしょ?もう、助けないけどね。クラーラは勿論意思を確認するよ」

「社にお礼に行かなければ感謝していないと言う事ですか?」


一言お礼を言うのは当然だと思いますよ。

そして、短命種を見下す意味を理解してないですね。


「それだけじゃないよ。母さんが助けた短命種を馬鹿にしているし見下している。今残っている人間や獣人は母さんに感謝し働いているよ。そんな当たり前の事を長老が理解できなかったの?選別を2回もして残っているんだよ?そして、私のお婆ちゃんも人間、母さんのお母さんも人間。つまり、本気で不愉快なんだよ!母さんがハイエルフを許しているのは街の人たちが我慢しているから。誰か1人でもお願いに来たら飛ばしてたよ。そのくらい酷い。私たちは感情が見えるんだよ。長老はハイエルフが社までお願いに行った青年に驚いた。人間たちの街をハイエルフが通るのは、そんなに酷な事かな?」


最低最悪ですね。

ハイエルフは人間の街を通るだけで訓練ですか?


「はい。反論もないようだし、教えてあげてよ」

「儂たちドワーフを飛ばすのはどうしてでしょうか?隠れたからですか?」


ドワーフは論外でしょ?

シェリル国に住む価値がないから。


「それ以外に何かある?自己中心的だよね。お酒も独占しようとする。自分たちだけ生き残ろうとする。街の人たちが魔石の加工を自分たちで頑張ろうと思っていたから招待しただけ。ここまで傲慢な種族だと思っていなかったよ。子供たちは違うみたいだけど今までと一緒。親がいる子供は一緒に飛ばすよ」


やっぱり怒っていたんですね。

自己中心的だって。


「これだけするんだから、最後にどうすれば強くなれるか教えてあげなよ」

「分かりました。魔力を中心に移動させるんですよ。速く走ろうとして、足だけに魔力を集めても意味がないです。何故なら上半身がついていかないから。全身に延ばすのも、薄くしか延ばせないのは中心が弱いからです。中心に魔力を延ばせば、もっと強力な身体強化が可能になります。これは子供にも、誰にも教えるつもりはありません、気付いてこそ価値があるのです。シャーロット様の努力を理解して感謝する。シャーロット様は全身を破壊しながら身体強化を生み出したと知っていたでしょ?内臓も破裂させているんですよ」


魔力は体の中心にあるから気付きにくいですけどね。

長老くらいはできるようになっていると思っていましたよ。


「流石クリスタ先生。完璧だよ。討伐隊にいても死んでなかったと思うね。結局、孤児の世話と教師をやらされていたと思うよ。母さんの苦労が分かったかな?この場にいる全員クリスタに瞬殺されるよ。そのくらい強さに違いがある。5万人相手にしたら疲れるけど殺される事はないよ。時間を掛ければクリスタなら殺せる。人数が多いから大変だけどね。だから、子供たちなら守れると言ったでしょ?クリスタは子供たちを逃がすつもりだと思うよ。そして、逃げるだけなら余裕なんだよ。孤児院の大人たちならね」

「儂たちと一緒の行為じゃないですか!」


何を言っているんだろうか?

ここまで自己中心的だと流石に呆れるよ。


「私は教師であり孤児院を守る者です。国を守ると言いましたか?ドワーフが守りに強いなら孤児院や子供たちを守れば違ったでしょうね。私はシャーロット様の大切なものを守るだけです。そして、それは国じゃない。あなた達はこの国にいるのに知ろうとしない。何故土地神様と崇められているのかを。独占までしたのに土地神りんご酒が美味しい理由も知ろうとしない。話になりませんよ」

「孤児院の中立派は凄いね。その通りだよ。母さんは国なんてどうでもいいんだよ。クリスタはその行動で正解なの。本当に私たちがいなくて攻め込まれたら、クリスタの行動を取ればいい。それが一番、母さんが喜ぶよ。ただ、今回のテストは殲滅しろと言ったでしょ?クリスタ単体なら殲滅できるよ。隠れて殺してを繰り返すだけの身体能力があるからね。クリスタは魔法を警戒しているけど、私たち以外は捕えきれないから心配する必要はないよ。もう、いいかな?人魚とハーピィとマリアンネの子供たちには、親が身体強化の記憶を消されたと報告するからね。勿論消された理由もね。復讐とか考えられても面倒だから、ハイエルフとドワーフはシェリル国に関する記憶も消すよ。無暗な殺しは良くないからね」


5万人を1人でとか、ただの拷問じゃないですか。

絶対にテストしないで下さいね。


強力な魔石を持たせてくれたらいいですけど。

ご褒美があるなら頑張ります!


「ああ、ドラゴンはどうするの?仕事する?元の場所に帰る?」

「仕事をします。大人たちに仕事を紹介して下さい」


「仕事はマリアンネが紹介してあげて。クリスタ。お疲れ様。仕事に戻ってね。転移魔法(テレポート)


その言葉と同時に孤児院に帰されました。

余りにも酷い状況だったよ。


全員殺されないだけましだよ。


「クリスタ。私、水魔法と回復魔法が使えるみたい。秘儀もクリスタから聞いていいって!訓練方法を教えて」

「魔法の訓練はイメージだよ。その属性を使ってどんな事をしたいか考えればいいんだよ。水だったら、手から水を出す、水を飛ばす、飛ばす水の形を変える、みたいにね。回復魔法はレナーテに聞くといいよ。秘儀についてはまた今度ね。今日は疲れたよー」


「ありがとう。シャーロット様にもそう言われたわ。やっと私も助手になれたのよ!」

「助手になって喜んだ人を初めて見たよ。流石カーリンだよ」


やっぱり、私は中立派だよ。

信者は助手になって大喜びだもん。


そして、ヴィーネ様の選別は静かに行われた。

活動報告書は討伐隊の時から今でも続いている。


読める場所が教員室の魔法担当区画に変わっただけ。

今は私とレナーテしか読めないけど、レナーテは存在を知らない。


孤児院で一番の信者には怖いから教えてないんだ。

絶対に報復するからね。


活動報告書によると、あそこにいた人は秘儀と魔石の運用の記憶を消された。

魔法使いの可能性の記憶もカーリン以外は記憶を消された。


エルフやハイエルフの子供でクラーラ以外は秘儀の記憶を消された。

クラーラにハイエルフの国に行くか確認したら、孤児院に残ると迷わず言ったね。


カーリン愛され過ぎだよ。

母親だと思われているかもね。


シェリル国に住んでいたハイエルフは、集落が消え、お店も消え、ハイエルフの国に送った。

ハイエルフの国から世界樹が消され、果物林も消され、住民はシェリル国の記憶を消され、国ごとどこかに飛ばした見たい。


意味不明です。


ハーピィの大人も秘儀の記憶を消された。

そして、2種類の魔石は回収した。


セイレーンの大人も秘儀の記憶を消された。

そして、2種類の魔石は回収した。

訓練してないからね。


ドワーフの子供は秘儀の記憶を消された。

ドワーフの集落は元の場所に戻しシェリル国と研究内容の記憶を消された。

お酒の味だけ覚えてないかな?


学校に通っている、ハーピィの子供、人魚の子供、セイレーンの子供、マリアンネさんの子供に、大人が秘儀の記憶を消された事と、その理由を説明した。

その時の感情を観察した結果、問題がないと判断したみたい。


かなり大掛かりな処理だと思うけど、次の日には何事もなかったかのように綺麗になっていた。


私は当然の判断だと思った。

誰も殺されていないのが奇跡だよ。

また、シェリル国が綺麗になった。


シャーロット様の心が心配だけど、今はヴィーネ様がいるから大丈夫だね。

いつも大変なクリスタ先生でした。

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