表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/425

閑話 マリアンネ 説教の後

どんな授業だろうか?

街長じゃないとこんなに気軽に受けられるものだったのか。


そして、私の常識外の話が始まった。


魔法を使えない人はいない。

目の前でカーリンが魔法を使える事を証明してしまった。


やはり、シャーロット様は常に考え続けている。

そして、余裕がある私たちは誰も考えていない。

子供の成長を待っている。


その通りだと思った。

子供を守るのは親であるべき。


不幸は突然やって来る事も知っている。

なのに、シャーロット様に教えてもらった以上の事を誰もしていない。


シャーロット様が説教をする。

それほど酷い状況だと言う事だろう。


「何も言えませんね。一番最初に教えてもらった大人が子供の成長を待っている。誰もがシャーロット様の考えた事を実施しているだけで、それ以上の事はしていない。つまり、子供以下だと言われた訳です。話の内容は物凄いですが考えれば納得できるものです。そもそも、初期魔法が当然使える事が魔法使いの条件だと思う事がおかしいのでしょう。身体強化を知っていれば誰もが分かるはず。人により体の魔力の延びに差がある事を。なのに、誰も疑わない。考えない。何度目でしょうね…。一番関係のないシャーロット様が一番考えている。こんな愚かな話はありませんね」


長老の言う通りだ。

こんなに愚かな話はない。


「私が断言しましょう。ドラゴン10体なんて子供だけで勝てましたよ。だから子供が怯える訳はないのです。でも、親はドラゴンに勝てないでしょう。それでは駄目ですよね」


妖精女王の言葉に驚く。

ドラゴン10体に勝てる程、子供たちは強くなっている。


だからですか…。

大人たちは何をしているのかと、いい加減にしろという事ですね。


ドラゴンが強い種族だからなんて関係ない。

実際に子供の方が強いという事実があるのだから。


そして、シャーロット様の言った通り縋る相手を代えているだけ。

土地神様から子供に代えただけ。


全てシャーロット様が整えて、考えて、教えている。

大人たちがいる必要が全くない。

情けないだけだ。


私はドラゴンに勝てないと考えた。

その時点で終わっている。


自分が勝てない相手が来ても子供を守ろうと考えなかった。

完全に母親失格じゃないか。


「この世界は力が正義。ここに集まった種族は皆知っているのに、努力が足りていないし、自分たちで考えて強くなろうとしていない。教えてもらった事を実施しているだけだね。確かに、教えている側からすれば呆れるね。私の予想通りシャーロット様は考え続けていた。でも、私たちは考えていない。上を目指していないんだよね。勝てないのが当たり前だと思う事がおかしい、努力も何もしていないのだから。間違った常識に縛られ疑う事もしない。娘の成長を見て、国を守る事ができると考えた。その時点で母親失格だと言われたね。全くその通りだよ」


アムピトリーテー様も、やはり子供を見て国が守れると考えた。

私と一緒だし、それは母親の考えじゃない。


目の曇りは取れても馬鹿なままか。


何度、本当に何度、同じ失敗を繰り返すんだ。

国を守る決意をしたのに国長がヴィーネ様になったら安心してしまっている。


お2人は国を守る必要なんて無いのに。


それぞれが、様々な思いを抱えて解散した後、私はクリスタと話した。

子供と接しているクリスタはどう考えたのか気になったからだ。


「クリスタ。ドラゴンが攻めて来た時どう思った?」

「空から炎を吐くだけだと鬱陶しいですけど、地上におりたら瞬殺ですよ」


やはりそうだったか。

子供と接している人間は努力量が違う。


「1人で10体倒せそうだったか?」

「楽勝ですよ。強者の雰囲気では無かったですからね。ドラゴンという産まれながらの強さだけしか持っていないと思いますよ。相手になりませんね」


楽勝か…。

そこまでの差があるのか。


「どれほど努力した?かなり努力しただろう?」

「うーん…。努力という感じでは無いですよ。私は教師ですから、子供より弱い訳には行きませんからね。まあ、魔法を覚えられたら子供に負けそうですけど。珍しい質問ばかりですね。特別授業は誰でも魔法が使えるという話では無かったのですか?」


「それは建前だよ。全員集めて説教だよ。シャーロット様が説教したんだ。それが、どれ程の意味があるか分かるだろ?」

「ああ、終わってますね。説教される程甘えているのですか。あんまり酷いと孤児院以外、飛ばされますよ。本当に恵まれた環境にいるんですから強くなるのは当然ですよ。仕事を頑張る人も必要ですし、研究を頑張る人も必要だと思います。でも、この国には強くなろうとしている人が少な過ぎますね。強くないと意味が無いじゃないですか」


本当にその通りだな。

孤児院に思い入れがあるのは間違いない。

そして、それを実行できる力がある。


「間違いないな。そして、偶には自分たちで強くなる方法を考えろと言われたよ」

「その言葉を実施する為には、最低でも身体強化は使いこなせていないといけないですね。だからじゃないですか?教えた事すらしないのなら、自分たちで考えろって事かもしれませんよ?だって、魔法なしなら長老だって怖く無いですよ。それだけ強くなれる秘儀ですからね。考えるならそこからじゃないですか?様々な種族の人たちが少し身体強化を使えるようになって、強くなった気になっていますから。どうかしてますよ。何で人間や獣人に捕まっていたのに限界まで努力しないのか分からないです」


完全に考え方が違う。

クリスタが変わったのか?


違うだろうな。

普通はそうするべきだ。

少し強くなっただけで満足する。

国防隊と変わらないじゃないか。


「ああ、子供に守ってもらおうと考えるなとも言われたな。縋る相手を代えているだけだと」

「その通りですね。私は子供を守る為に強くなっている訳ですから。カーリンは恐らく、あっという間に強くなりますよ。今日、魔法を使えるようになっているはずです。全力で努力するでしょうから、シャーロット様に確認して身体強化を教えてあげてもいいかもしれません。孤児院を守る戦力は多い方がいいですからね」


孤児院や学校で子供を守る為に強くなっていくクリスタ。

母親の私は何をしているんだ。


仕事をすれば国に残れるからと安心していたのか?

身体強化を一番最初に教えてもらって、自分の子供がいるのに弱いとか話にならないな。


一番最初に身体強化を教えてもらったのは、私とクリスタ。

私には今のクリスタの実力が分からない。

つまり、相当の格上。


同じ時間を過ごし、お互い仕事をしている。

クリスタの方が忙しいくらいだろう。

環境は言い訳にもならない。


結局、心持の問題。

やるか、やらないかだけだ。


「良く分かった。とりあえず、身体強化の限界までは強くなるよ」

「当然ですよ。シャーロット様に教えてもらって、限界まで努力しないのはあり得ない事です。身体強化が生まれた過程を知っているのですから。そして、限界なんて分からないから努力し続けるしかない訳です。その過程で強くなる別の方法が見えてくるかもしれませんね」


本当にその通りだよ。

完全に立場が逆転してしまったようだ。

孤児院の戦力が上がっていきますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ