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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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閑話 アムピトリーテー アドバイス

シャーロット様の話しを聞いた時、言葉が出なくなってしまった。

身体強化は自分に全く関係がない技術の集大成。


人が強くなる為に自分の体を犠牲にし続けた。

今もまだ犠牲にして考えている可能性すらある。


子供たちが秘密にする理由はこれね。

この技術が生まれた理由を知っている。


だから、誰にも話さない。

漏らす様な馬鹿はいないでしょう。


「あなた達、ここに来なさい」

「お母様、何かありましたか?」


長女のクラウディアが代表で質問するのは、いつもと一緒ね。

「私もシャーロット様に魔力操作を教えてもらったわ。今のあなた達の全力で結界の端から端まで往復してみなさい」

「教えてもらったのですか。では、問題ないですね」


「皆、行くわよ!」

「「はい。お姉様!」」


消えた?

水流だけを感じる。

人魚はこれほど速く泳げたの?


この娘たち100人に鬼ごっこで勝つの?

夫がアドバイスできないのも無理ないわね。


「終わりました」

「え、ええ。ところで、あなた達は授業が終わった後、鬼ごっこして遊んでいるわね?魔力操作していないの?」


「しています。しなければ相手になりません。二足歩行状態でも、それなりの速度で走る事はできます」

「シャーロット様たちは毎日参加されるの?」


「いいえ。偶にです。それが全力鬼ごっこです。全生徒の目標は卒業までに勝つ事です」


自然に格上に勝とうとしている。

何故、そう思えるのかしら?


「勝つ事が可能だと思える根拠を教えて頂戴」

「お2人とも全力鬼ごっこの時は私たちと同じ魔力量まで魔力を抜いてきます。つまり、魔力操作と判断力や決断力、想像力の勝負ですから勝つ可能性はあると考えています」


そんな事までして勝負しているの?

魔力を抜いた状態で今の娘たちに勝ったの?


本当に神様じゃない。


ヴィーネ様は今より速く泳ぐ事が可能だと言っていたみたいね。

つまり、尾に魔力を延ばしきれていない可能性が高いのじゃないかしら?


シャーロット様の話を考えてみてもあり得るわね。


普段地上で足に魔力が延びにくい事を知っている娘たちは少しずつ延ばしていった。

そして、足が破裂する可能性がある付近で止めた。


それは当然ね。

怖いから。


地上では、それでいいと私は思う。

限界値を探るような事をすれば確実に破裂させる。

そうならないように授業で教えてくれているのね。


本当にありがたい事ね。


「夫はアドバイスできないようだけど私がしてあげる。それは、地上で覚えた感覚と恐怖心よ。あなた達は、普段の鬼ごっこで足に魔力を送る事に慣れている。さらに、それ以上送ると破裂する恐怖心もある。だけど、水中では当てはまらない。怖くて本気で尾に魔力を送っていないでしょ?今日の鬼ごっこはそれを教える為に来て下さった思うわよ。やってみなさい」

「し、しかし、万が一破裂してしまっては…」


それが恐怖心。

そして、甘えなのね。


「シャーロット様は私たちへの授業で人魚やセイレーンは足の状態と尾の状態で魔力の延びが違う事が分かったようです。だから、あなた達に伝えてくれているでしょ?もっと速く泳げると。もっと速く泳ぐには尾に魔力を集めるしか無いわよ。どうするの?」

「分かりました。尾に魔力を集めます!」

「「お姉様!」」


できるはずよね。

シャーロット様の教えてくれた技術が生まれた理由を知っているのだから。


自分たちだけ甘えて強くなろうなんて、おかしな話だわ。


今のままでも十分に強いでしょう。

でも、更に上がある事まで教えてもらったのに怖いからできませんは言えない。


「どう?破裂しないでしょう。本当なら自分たちで気付かせたかったはずよ。そうじゃないなら、海中で鬼ごっこする理由がない。あなた達にアドバイスする理由もないじゃない。全員尾に魔力を集めなさい」

「「はい。お母様」」


シャーロット様が言っていた言葉で重要な事がある。

大人たちは強くなる事と戦える事を勘違いした。

それで失敗したから教えないと。


子供たちには強くなっても、同じ条件で勝てない相手がいる事を常に教えてあげている。

本当に恵まれているわ。


自然と強者に挑む感覚を身に付けさせようとしている。

地上にいる種族の子供たちは恐怖心と戦いながら身体強化の練習をしているはず。

人魚は地上でそれができないから今回の機会を用意してくれたのね。


これなら実現可能になるわ。

自分たちで国を守る事が。


「その状態で同じように泳いでみなさい」

「「はい。お母様」」


何よこれ?

笑ってしまうわ。


ここまで成長させてもらって魚人程度に負けるようじゃ話にならないわ。

相当の危機が迫るまで、お2人に頼る必要も無い程に娘たちは強くなっている。


私も追い付かなければいけないわね。


「「終わりました」」

速過ぎる。

人魚にはこれほどの力があったのね。


「先程より速いでしょ?地上で走っている子供たちは恐怖心と戦いながら足の魔力操作をしているはずよ。人魚にはそれができないから海中で鬼ごっこしてくれたのよ。お2人に感謝しなさい。あなた達は地上では考えられなかった魔力操作を海中で試す必要があるわ。それが足りていない。学校が休みの日はそれを頭にいれて訓練よ。分かったわね」

「「はい。お母様」」


「人魚が泳ぐ速さで負ける事はあってはいけないと肝に命じなさい。私も訓練するわ。セイレーンも海中では同じように泳げるようになる。一緒に訓練できる。力と速さ。両方を手に入れるわよ。自然と魔力操作できるようになれば可能なはず。お2人が証明してくれているでしょ?同じ条件での勝負だったのですからね。地上で恐怖心があることはしょうがないでしょう。しかし、海中では許しません。今なら治して頂けるのです。全力で挑みなさい」

「「はい。お母様」」


ここまで手厚く強くしてもらったのよ。


人魚が海中で他種族に負ける事は許されないわ。

次に魚人が攻めて来たら私が先頭に立って殲滅してあげる。

お母様はスパルタ?


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