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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第2章 多種族国家シェリル

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世界樹の精霊と出会う

街が賑やかになってきたね。


人魚がやって来たのは大きいみたい。

海水の中でお店をやっているんだから、みんな興味津々だよ。


お魚はとても美味しいって評判だし、サンゴはドワーフが装飾品にするだろうね。


せっかくだし、少し気になっていた事を聞いてみよう。

「ヴィーネ。世界樹って世界に1本だけしか生えてなかったんだよね」

「そうだよ。混沌期の大戦で燃えちゃったんだよ。あの頃は地上にも瘴気が溢れていたから、魔人と古代種(エンシェント)ドラゴンが地上の覇権を争っていたんだよ。古代種(エンシェント)ドラゴンが地上の覇権を取ったけど飽き性だからね。空に国を作って放置してるんだよ。一応叔母さんが見回りはしているけど」


へぇー。

ジェラ姉ちゃんは地上の見回りをしていたんだ。

立派だなーと思ったけど絶対に思い違いだよ。


何で火を吹く必要があるのかな?

ただの放火魔じゃない。


「ヴィーネは世界樹のあった場所って知っているの?」

「勿論知っているよ。見に行きたいの?」


「ハイエルフが神樹って言うくらいだから、何か宿ってそうじゃない?」

「それはあるかもしれないね。暇だし行ってみよう。転移魔法(テレポート)


凄い砂漠だ。

ここに世界樹があったとは思えない。


見渡す限り生命が存在していないもん。


どんな大戦してたんだろう。

これってジェラ姉ちゃんの破壊エネルギーを浴びた感じじゃない?

大戦とか大きな事言ってるけどジェラ姉ちゃんが破壊したんじゃないのかな?


あ!

小さい魔力の反応が1つだけある。


世界樹かな?


「ヴィーネ、魔力反応が1つあるから行ってみようよ」

「そうだね。この環境で生物がいるなら何か見てみたいね」


私たちは飛んで魔力反応がある場所まで行ったんだ。

そしたら、泣いている女の子がいたよ。


「ねえ。何でこんな所で泣いているの?流石にここは寂しいから泣けると思うけど」

「絶対に泣いている理由は違うと思うよ。泣いている理由を教えてくれないかな?」


女の子は驚いて私たちを見上げた。

緑色の髪がくねくね足下まで流れている、小さな女の子。


身長は20cmくらいかな?

妖精に近い大きさだよ。


「私の大切な世界樹が無くなっちゃったの。私は世界樹がないと暇なんだ」

「暇過ぎて泣いてたんだね。分かるよ!」

「凄い軽い感じだね。驚いちゃうよ!他にも世界樹あるよ?」


女の子が驚いてヴィーネを見る。

期待に満ちた目だね。


「嘘?焼けちゃったんだよ。どこにあるの?」

「私が植えたよ。見に来る?」

「植えたね。でも、創造したって方が正しい気がするけど、まあ、行ってみようか。転移魔法(テレポート)


女の子が驚いているよ。

世界樹が多過ぎたね。


「あのー。世界樹がいっぱいあるけど、私1人しかいないんだ。どうすればいいかな?」

「世界樹で何するの?それによって好きな世界樹に行けばいいんじゃない?」

「そうそう。多いのが問題なら伐採するつもりだったしね」


女の子は唖然としている。

伐採は可哀想だったかな?


「えー!世界樹を伐採しちゃうんですか?私は世界樹を成長させ葉に力を与える事ができます。塗り薬にも飲み薬にもなりますよ。当時はエルフや妖精が喜んでいたんですよ。私を置いて逃げちゃったけど。でも、あの大戦じゃあ仕方ないと思うし私が見える人って中々いないから」

「ヴィーネ。もう1本植えちゃおうよ。新しいお店になるよ」

「そんな事考えるの母さんくらいだよ。滅茶苦茶だよ」


女の子は意外と興味津々だけどな。

滅茶苦茶かな…。


娘に言われると少しだけ悲しいね。


「お店って何をするんですか?」

「お金を集めて好きな物と交換するんだよ。そうだ、この土地神りんご食べてみてよ」


ヴィーネが呆れた目で見てるよ。

ほんと酷いよね。


「お、美味しいです。これをお金と交換する事ができるのですか?」

「そうだよ。もっと美味しい物もあるから働いてみる?」


「やります。妖精かエルフの近くのお店なら大丈夫です」

「ちょうど間が空いているよ。妖精とハイエルフに手伝ってもらうの?」


「はい。私は世界樹の精霊ですから世界樹に宿ってしまうと自由に動けなくなりますので」

「じゃあ、働きたい時だけ宿っててそれ以外は抜ければいいよ。この国は君を見える人がいっぱいいると思うよ。とりあえずお店を用意しようか。ヴィーネちゃんいい感じのお店お願い」

「いいけど、どれくらいの大きさの世界樹に宿りたいの?」


「5mくらいでいいです。大きいと目立って焼かれますから」

この子も可哀想な目に遭ったんだね。

世界は悲しみで満ちているよ。


不思議と軽い感じだけど。

長命種が暇で泣いていたからかな?


「じゃあ、お店と世界樹を用意してくるから、母さんは世界樹を成長させるのと妖精とハイエルフに説明しておいてよ」

「分かった。お願いね」


ヴィーネは早速お店を作りに行った。

人魚の時みたいに綺麗に作ってくれるから安心だよ。


「君の名前は無いの?」

「世界樹の精霊です。名前は無いです」


それは困るな。

名前がない種族多いよね。

自分たちが分かればいいとしか考えてないもん。


「世界樹の精霊だから、ドリュアスでどうかな?」

「分かりました!私は今日からドリュアスと名乗ります」


じゃあ、皆に紹介しよう。

転移魔法(テレポート)

りんご林に来たけど、また泳ぎ終わって休憩しているハイエルフがいるよ。


「長老を呼んできてくれないかな?」

「はい。分かりました」


念話(テレパシー)

「ユッタ。紹介したい人がいるからりんご林に来てね」


少しして長老とユッタがやって来たよ。

「シャーロット様、どうされましたか?」

「どうかしましたか?」

「2人に紹介したい人がいるんだ。世界樹の精霊ドリュアス。よろしくね」

「今日からドリュアスです。見えていますか?」


あー、長老は見えてないよ。

だって、ドリュアスを見かけた瞬間から号泣してるもん。


「せ、世界樹の精霊を連れて来たのですか?とんでもないですね」

「なんという奇跡でしょうか。あの大戦で亡くなったと思っていました」

「精霊だし簡単には死なないよ。皆が見えていなかっただけだよ」

「ドリュアスにお店をしてもらう事にしたんだ。ハイエルフと妖精は手伝ってあげてよ」


長老とユッタで反応が違うね。


「え、お店をしてもらうんですか?世界樹の精霊にですか?シャーロット様、滅茶苦茶ですね」

ユッタ酷くない?

娘と同じ事言われたよ。


「必ずお手伝いします。何でもしましょう」

長老は全力で手伝ってくれそうだよ。


「私が世界樹に宿っている時は葉に力が宿りますから、塗り薬や飲み薬を作って売って下さい。私は土地神りんごが食べたいから、お金を溜めます」

「ドリュアス素晴らしいよ。土地神りんごだけじゃなくて、土地神りんごジュースとかもあるから、お金一杯溜めないとね」


欲しいものを買う為にお金を溜める。

素晴らしい事だと思うね。


「いや、世界樹の精霊にならお供えします。土地神りんごも土地神りんごジュースも」

ユッタがつまらない事言ってるよ。

街が盛り上がらないじゃない。


「世界樹の精霊がやっているお店があったら、ハイエルフも国から出てくるでしょ?つまり、街が盛り上がるんだよ。もー、ユッタはそういう事が分かってないよ」

「シャーロット様の常識が分からないだけですよ」

「ユッタ。欲しい物はお金と交換するべきです。それが国なのでしょう?私は暇でしたから、いい暇つぶしになりますよ」


ドリュアス流石だよ。

暇なんだよ。


長命種は暇なの!


妖精も長命種なのに。

本当は絶対に暇だよ。


「ユッタも暇だったでしょ?ドリュアスも暇だったから泣いていたんだよ。だから連れて来たんだよ」

「世界樹が無くなって泣いてたんじゃないのですか?暇だから泣いていたのですか?」

「世界樹が無くなって、暇になったから泣いていたんだよ。私は世界樹が無いとやる事ないから」


「母さん準備できたよ。皆でおいでよ」


ヴィーネから念話(テレパシー)が入ったね。


「お店ができたみたい。皆、行くよー。転移魔法(テレポート)


まだ小さいね。

成長させないといけないよ。

でも、ヴィーネが呪文みたいに言って欲しいと拗ねてたから考えよう。


「よし、世界樹よ。私の望む姿に成長しなさい!」

「母さん、成長してないよ。ほんと恥ずかしいから…」


ほんとだよ。

私が恥ずかしいよ…。


「だから言ったじゃん。慣れだって。世界樹、5mにおっきくなーれ!」

「世界樹は成長したね。私も頑張って成長するよ…」

「おー!いい感じの大きさだよ。私が宿っている時に薬とか作ってね。お金が溜まったら、お店にも連れて行って欲しいな」

「かしこまりました。ハイエルフが全力でお手伝いします」

「では、妖精は色々な食べ物を紹介しますね。はぁー。人魚で壊れたと思っていたのに…」


ユッタがマリアンネみたいな事を言ってるね。


「ドリュアスって知識はかなりあるのかな?」

「世界樹の事しか分かりません」


「学校に通いなよ。友達もできるよ。学校の子供たちなら見えると思うから問題ないよ」

「暇つぶしになるなら通います。では、学校が終わったら世界樹に宿ります。その時に薬作りをお願いします」


「世界樹の精霊を学校に通わすのですか。じゃあ、妖精女王も学校に通ってもいいですか?」

「ユッタ、よろしくね」

「いいよ。2人一緒に通いなよ。いい暇つぶしになるよ」

「あーー!私だけ大人で学校に通えません。ハイエルフの国でたくさん宣伝をしておきます」

「母さん、お店に世界樹が生えている事に違和感を感じる人がいない事に、違和感を感じるよ」


ヴィーネはまだまだ子供だからこれから成長していくんだね。

母さんは頑張るからね。


「ヴィーネ。慣れだよ、慣れ。皆、慣れているんだよ。人魚見ても驚いてないでしょ?慣れたんだよ」

「シャーロット様、この国の住民はみんな壊れたんですよ。いえ、壊れているのです」


ユッタがまた酷い事を言っているよ。

壊れただなんて、さっきもマリアンネみたいだったね。


つまり、()()()()()()()()んだね。


「じゃあ、ユッタは今日からドリュアス保護官ね。よろしくね」

「ええーー!責任重大じゃないですか。何という事を…」

「ユッタが私を保護してくれるんだ。今後もよろしくね」

「とても羨ましいです。私も学校に通えたら保護官になれたのですが、無念でなりません」

「母さんが、長命種の人生を壊しているよ。どうせ暇だからいいのかな?」


「明日の授業後に薬の作り方を見に来るね。授業を楽しんでよ」

「分かりました。ユッタと楽しんできます」

「妖精女王が子供たちと勉強する事になるなんて、でも保護官ですから…」


ユッタは学校に通うのを我慢してたんだよね?


私は分かってるよ。

絶対に明日は子供たちと鬼ごっこをするってね。


翌日の授業後。


「母さん、2人は子供たちと鬼ごっこを楽しんでたよ。夕暮れになるまで帰って来ないよ」

「思った通り、子供たちと遊ぶと思ったよ。ユッタは我慢してたと思うんだ。妖精女王って肩書が、学校に通うのを邪魔してたと思うんだよ。だから保護官にしたんだ」


「その通りだったね。母さんの判断は間違っていなかったよ。私も成長できた」

「母親としてヴィーネが成長したなら嬉しいな。帰ろうか」


「そうだね。帰って寝よう。何か分からない事ばかりで疲れたよ。転移魔法(テレポート)


社に帰ってきて、一緒にお風呂に入って、布団を敷いて、一緒に入る。

「ヴィーネも今度一緒に鬼ごっこしようよ。ね!おやすみー」

「うん!おやすみー」


ヴィーネは本当に疲れたんだね。

最初から私に抱き着いているよ。


予想通りユッタは遊ぶのを我慢していたね。

ヴィーネも国長の肩書があるから我慢してるのかも。


大きい肩書を背負っているから、誰かが言ってあげないと遊べないよね。

この国は、土地神の私が全力で鬼ごっこしてるんだから気にする必要ないのに。

遊びたいのです。

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