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土地神様は吸血鬼  作者: 大介
第1章 シェリル

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思い出

冒険者組合から帰って来てずっと、お母さんの顔を思い浮かべていた。


なんで子供を売るの?

なんで子供を攫うの?

なんで子供を攫う為に親を殺すの?


絶対に許さない。

この街が大きくなって、色々と出来るようになったら絶対に助ける。


母親から無理やり引き離された子供たちが可愛そうだよ。

本当は全員救ってあげたいよ、お母さん。


でも、この街の人を守るのが最優先だから今は無理なんだ。

国が奴隷を使っているとマリアンネは言っていた。


つまり、この街の住民以上の奴隷が世界中にいるかもしれない。

食糧が足りないし大混乱してしまう。

シェリル街(お母さんの街)を私が壊す事は出来ないよ。


私を拾ってくれた記憶は無いけど、小さい頃からお母さんと一緒に寝てた記憶はあるよ。

お母さんの匂いが大好きで、抱き着くように寝ていたよね。

でも、お母さんは私と寝るのが怖くなかったのかな?


冒険者は吸血鬼を知っているよね。


血を吸われたって笑っていたけど、子供の私がどれだけ吸うかも分からないよ。

甘えて軽く吸ったのだと思いたいけど、お母さんはかなり辛かったのかな。

呪いを受けていたお母さんのように、私の前だから我慢していたのかな。


自分の事を色々分かるようになったのは、一緒に過ごしてから20年以上経っていた頃。

そこからは、家事もしたし狩りもしたけど、人でいうと大人だよ。

子供として20年も甘え続ける吸血鬼の私を、大切に育ててくれた。

お母さんは本当に世界一だよ。


吸血鬼の私が血を飲む必要が無いのは、何か理由があるかもしれない。

でも、これから先も絶対に誰の血も飲まないよ。

私の体の中にはお母さんの血が入っている。


お母さんの血を吸っただけで十分だよ。


本当の親子のように血が繋がっていると思いたいんだ。

だから、絶対に血は吸わないからね。


お母さんは歳を取って、代わりに私が食事の用意を始めたら、私の服を縫い始めたんだよね。

亡くなる近くまで、毎日針を通して100着近く縫ってくれたね。

長命種だと知っていたから、たくさん用意してくれたのかな。


500年経った今でも、お母さんが縫ってくれた服を着ているよ。

擦れ擦れになって着れなくなった服も取ってあるんだ。

擦れ擦れの服も枚数が集まれば、また新しい服を縫える。


大切な宝物だからね。


最近思うんだ。

私は死ぬ事が無いのかもしれない。

お母さんの所に行けないかもしれない。


だから、考え方を変えたよ。

お母さんの生きていた証が私だよ。

私が生きている限り、お母さんも私の中で生き続けるんだ。


世界中にお母さんの名前を教えてあげる。

何でもできるなら、そのくらいしなきゃ駄目だよね。


お母さんが世界一だと世界中の人に教えてあげるんだ。

今度はそれを目標にするね。


だから、お母さんも私の中で見ててね。

2人は本当の親子です。

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