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異世界転移

(どこだここ)

雅良は草原に立っていた


「俺、釣りしてて溺れたんじゃ…?」

見渡しても草原、空は灰色

重いような空気の風が体を撫ぜる


(どういうことだ、確か海の中に黒い渦みたいな穴に吸い込まれて…息が出来なくなって…今か…?)

記憶を辿るも、今朝の出来事から釣りして溺れるまで記憶はハッキリある

ただ、穴に吸い込まれてからの記憶はない



ズキッ



「つっ!?」

お腹が針で刺されたような痛みを感じる


(なんだこれ、どうなっちまったんだ)


「くっ…、おーーい!!誰か?誰か居ませんかーー??」


叫んでみる

見慣れない景色、どこまでも続く草原

空を見上げると灰色の空

響く残響…

そして声は遠くへと小さくなり

虚しく消えていった


「どうなってんだよちくしょう!」

意味がわからず、拳を握りしめて怒りをぶちまける


「なんなんだよくそっ!!」

叫んだ声は虚しく、消え去っていく


「どうすりゃ…いいんだよ…」

途方に暮れる

歩こうにも、何処に向かえばいいのかもわからない

周りには何も無い



ズキッ



「くっ!!」

お腹の痛みがまた襲ってきた


「なんなんだよ…どうなってんだよ!!」


どうしてこうなったんだ

ただいつもと変わらない朝でいつも通りに釣りをしていただけなのに…


「迷い込んだのね」


「!!!!?!?!?」

突然の声に振り返る


「えっ?」

そこにはさっきまで誰も居なかったはずなのに、1人の少女が立っていた。


「こんにちわ」

少女はニコッと笑いながら挨拶を交わす

長い黒髪に見た目は12歳くらいか

透き通った瞳は青く美しかった

余りの美しさにしばし時を止めてしまう



「だっ…、こ、こんにちは」

思い出したかのように声を絞る



「ふふっ、驚かしちゃったわね」

少女は優しく笑う


「こ、ここはどこなんだ?君は誰なんだ?俺はなんでここにいるんだ?」


「まってまって、一度に何個も質問しないで」


少女は人差し指を口に当ててウインクしてみせた


「あ、ああ、ごめん」

余りの可愛いさにあざとさを少し感じながらも

やはり照れてしまう


「そうねー、ここは狭間の時空」


「は…ざま?」

聞き慣れない単語と単語だ

小説やアニメ、映画なんかに出てくるような単語

日常には到底出てこない単語



「そう、色々な世界から迷い込んじゃう不思議な場所。私もそれ以上はわからないわ」

少女は髪をふわっと撫でる

そして彼女の瞳が少し寂しそうしているように見えた


「色々な…世界…?」

急に世界と言われてもまったくわからない



「ふふっ、まぁ誰でもそんな顔になるわよね」


雅良はキョトンとした顔から、しかめっ面になった

「どうして俺はここに?」



「それもわからないわ。貴方が何処から、どうやって来たのか。私にはわからないの」

そう言いながら少女は少し俯きつつ、目を逸らす

まるで目を合わせないかのように



「そうか…、じゃあ君自体はどうやってここへ来たのかわかるのか?」


「私は、自分の意思でここにこられるの」


「なんだそれ」

この少女は何者なのだろうか

やはり俺のほうがよそ者なのだろうが

こんな所に招待などされた覚えはない


ただ黒い穴に吸い込まれただけだ

となると、あの穴のせいなのだろう

アニメなんかでよくあるアレだ

そう“異世界転移”だ



「ふふっ、私の名前はケレス。貴方のお名前は?」


「俺は雅良だ、よろしく。ケレスは、見た目子供だけどその感じじゃ見た目通りって訳じゃなさそうだな」

明らかに子どもだけど、ただの子どもじゃないのはわかる



「ふふっ、そうよ。雅良は人間?私はこれでも貴方より何百年も年上なの」


ああ、そうか

やっぱりか

崩れる日常

「ああ普通の人間だ。って事はケレスは人間じゃないのか。神様か精霊様ってとこか?」

まずはこの子が敵なのか味方なのか…



「あらあら、流石ね。そう私は時空を司る女神よ。」



ああ、なんてこった

狭間に時空に女神

もうめちゃくちゃだ

俺はこれからどうなるんだろう

「時空ねぇ。だからここにも来れるってわけか」


「そう。ここに迷い込んだ人や生き物を助けてあげてるの」

自称女神の少女は優しく微笑む

その笑顔は誰が見てもわかる純粋


俺を騙そうとか、そういうのでは無いのだろうか

「へぇ、じゃあ俺も助けて貰えるのか?」


「勿論そのつもりよ!…でもね1つ問題があるわ」


「問題?何か見返りが必要とかそういう事か?」

あらかた、このパターンは交換条件の突きつけだろう

問題の解決に見合う何かを要求される

相場はそう決まっている



「違うわ。貴方を元の世界には戻せないの」


なんという事だろう

本当に問題である

解決先が解決にならないのである

「え?どういう事だ?溺れて死んだ命だから助けた見返りにあんたに仕えるとかそういう意味か?」

元に戻れないなら一生ここにこのままいるということ

つまり彼女と同じく過ごすのだろうか?



「全然違うわね。まず、雅良が何処の世界の人かも知らないし、死にそうだったとか助けたとかじゃないの。雅良がここに迷い込んだだけで、私はそれを見つけただけ。だからここに来るまでの出来事に私は無関係よ」


「そうなのか…じゃあ俺はこの世界から出られないのか?」


「それも違うわ。私は自分のいる世界とこの世界を行き来出来る。それ以外の世界には干渉出来ないの。つまり雅良を元の世界には戻せないけど私の世界に連れていくことは出来るわ」


「なるほど」

どうやら、ここからが異世界転移の本番らしい

確かにこのままここにいても仕方ないが…


「この世界は草があるだけで何も無いから、このままここに居ても雅良は死んでしまうだけ。だから私のいる世界に雅良を招待するわ」


「そうか…それしか選択肢が無いって訳か。まいったな」

なんか上手いこと誘導されているような気がしないでも無いが…



「さぁ、どうする?私もここだけに時間を割く訳には行かないから、早めに決断して欲しいのだけれども」



んー

なんだろう、急に話が上手く行きすぎているような

かといって他に手立てもなし

ケレスもこういう事が何回もあって手馴れているのだろうか

まぁここは仕方ない

「…わかった。俺をケレスのいる世界へ連れていってくれ。取り敢えず元の世界に戻るとか、これからの事はその後考えることにす……うっ!!?!?」



ズキッ



またお腹が痛む

何度も何度も針で刺されているような

あまりの痛さにうずくまる雅良


「どうしたの?大丈夫?」

ケレスが近寄ってきて、しゃがんで心配そうな目を向ける


どういう事だ?この腹痛は今回の件が関係しているんじゃないのか?

「わからん…。腹が針で刺されたみたいに痛むんだ」



「刺されたみたいに?ごめんなさい。痛みの原因とかはわからないわ。こんなこと今までは無かったのだけれど」

本当に心配そうにするケレス


演技…の可能性も無さそうだ

「そうか、今回のこれが原因だといいんだが…くっ。わからんままが1番やっかいだな」


「とにかく急いだ方が良さそうね。行くわよ目を瞑ってて」

早速ケレスの世界へと移動するみたいだ

ケレスは両手を雅良の肩へと当てる


「わかった…」

目を閉じる雅良




閉じて5分は経過したか




……


………



「まだか?」



……


………


返事はない

「あれ?もういいのか?目を開けるぞ?」



それでも返事は来ない

「もうあけるからな」


目を開ける雅良






そして、目の前にはさっきとは違う景色が広がっていた。

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