四国会議
「ではこのまま何もしないおつもりか!!」
長い机に大小様々な豪華な椅子
そこに鳴り響く大声
「そういう訳では無い!何もこちらから仕掛ける必要は無いということだ!!」
「そんな悠長な事は言ってられんぞ!!敵は既に北の大陸を制し、東の大陸まで進行を始めているとの話もある!!」
そこに腰掛けるのは、6人
その中でも一際デカい巨人が声を張っている
悪魔の軍勢に対抗するべく先手を打とうとまくし立てているのは、巨人の国キュクレアの国王【サイクロイ・アイ・ティターン4世】
巨人の寿命は300年と言われているが先代が病に倒れ82歳と言う若さで国王になった。
「ティターンよ、東の錬金国家に少し前に使者を送ったばかりだ。情報を待ってから慎重に行動しようでないか」
ティターンの横でなだめるエルフの女性
西の大陸でエルフの国の女王を務める【エクレミア・ルチ・カルミス】である。
かつて悪魔を第2の勇者と共に葬ったとされるエルフの女性ルチと人間の剣士アキーラの娘である。
「少し前ったって、もう1週間だ!飛竜に乗って行ったんだぞ、とっくに着いてるはず。伝書鳥くらい飛んできてもいいだろ!何かあったに違いねえ!!」
「まぁまぁ、急ぐのと慌てるのは違うぞティターン」
ティターンの前の席に座る凛々しい男性
西の大陸の精霊呪術大国【イチカゼ帝国】の国王【アマカミ・フウセン】である。
「そうです、ティターン様。まずは状況を見定めてから動かれた方が良いかと」
「きゅきゅい!!」
意見を述べるのは、フウセンの娘【アマカミ・テンカ】
そしてその肩にいるのは、もふもふの薄い緑がかった毛をしており、額に赤い宝石のようなものが埋め込まれた狐のような生き物。
その生き物は風の精霊【キュイ】
人間の国王とエルフの母の血を持って生まれたハーフエルフのテンカは、幼い頃から呪術の才能に恵まれ既に風の精霊との契約を交わしていた。
「はっはっはっ!若いやつのほうが冷静だな!!兄さんはせっかちすぎるぜ!!」
高笑いをしているのは、ティターンの双子の弟で【サイクロイ・アイ・エティン】
王位は継承せずに兄の側近として働いている。
「エティン!!お前までそっちの味方なのか!?」
「味方とかじゃなくて、まだ情報が少なすぎるんだよ。勿論先手を打つのには賛成だぜ兄さん!」
「確かに、お前が言うなら間違い無いんだろうが…。」
「確かに心配なのはわかるが、冷静さを失ってはいかん。それよりレオンはまだなのか?」
フウセンに名を呼ばれたレオン
それは南の大陸にある獣人の国【ティガレイア】の国王【ハルマケギニア・ティガ・レオン】の事である。
レオンも会議に、参加する予定だったが到着が遅れていた。
「レオン様は少し遅れるとの伝書が届いています」
答えたのは、エルフの男性でカルミスの側近【ハルバートン】
「レオンのやつが遅刻ってのも珍しいんだがな」
「あやつは東の大陸に1番近い、変な事に巻き込まれてなければ良いが。確か魔獣が1匹そっち方面で目撃されたとの話もある」
「あいつこそせっかちだからな」
「だからいつも1番に到着してるんだが…、妙な胸騒ぎがしてならん」
「…」
「…」
タッタッタッ
「報告!!ほうこーく!!」
ガタンッ!!扉が勢いよく開く
「はっ、はぁ…っはぁ…っ。ほっ、報告です!!門番より東の大陸より使いの者がこられたと!!」
「!!」
「ほぅ、丁度よい。ここへ通せ」
「おいおい、そんなやつここにいれんのか?」
「こんなけの警備だ、変な事なんてしねえだろ」
「確かに、私もその方が話が早くていいと思います」
「なんだよ、ははは。若いのもせっかちじゃねえか!」
「そういうわけでは…。」
「うむ、私もそれでよい。つれてまいれ」
「はっ!!」