第2章 王都
王都に引っ越して早くも半年が経とうとしていた。
「ヒロ、足元に薬草と毒草生えてるから採取ヨロシク。目的のものじゃないけど、買い取ってもらえるしギルドに貢献できるからね。」
「了解。しかし魔法のバック(マジックバック)欲しいよね。普通のバックだと容量が少ないから貢献値が上がりにくいしさ。」
「そうだけど、マジックバックは高価だから低ランクの私たちには買えないわよ。だから、ゴブリンやコボルト等の低ランクモンスターを狩って貢献値上げてるんでしょ?」
「でも、ユーリ?実は貢献値はすでに二人とも満たしてるんだよね。ただ、依頼が偏りすぎてランクが上がらないだけだし・・・。」
ヒロは、ギルド職員から何故にランクが上がらないか質問したことがあった。それによると、お使い依頼が極端に少ないからだと・・・いや、皆無であった。ヒロたちの性格上狩りに特化した依頼のこなし方だっただからだ。
ヒロは、さっさとDランクに上がって村で鍛冶仕事しながら依頼を受けたかったのでギルド職員のおすすめの依頼を受けたかったのだがいつもそこでユーリが割り込んできて、討伐依頼に切り替えてしまい。未だにEランクのままだった。
他の冒険者にはいつまでもEランクにいるから雑草係とまで言われていた。だが、薬草採取も必要な依頼なのでギルドからは感謝されていた。
ヒロは、ある程度予想できてるが、あえてユーリに何故なのか聞いてみた。
「ねぇ、ユーリはなんで討伐依頼ばかり受けるの?」
「ん?訓練に決まってるでしょ?こういうのは基礎をきちんと整えてからでないと、少しの油断で死んじゃうからね。それに薬草とかはストラトスさんがおまけで高めで買い取ってくれるしさ。」
「あぁ、やっぱりね。ユーリならそれぐらい考えていると思ったよ。すぐにDランクに上がれるからといっても、討伐依頼が多くなるDランクに上がってすぐ死んだら元も子もないからね。ただ、村のほうでも魔物の出現が増えているみたいだしそろそろDランクになって村に戻らないと大変かもね。じっちゃんからの手紙でも早く帰って来いと書いてあったしさ。」
ユーリの言うことももっともなのだが、村に恩義を持っているヒロは一刻も早く村に貢献したいと考えていていつまでもランクを上げようとしないことに焦燥していた。
「ヒロの言うこともわかるんだけどね。実際、私たちって人手不足なんだよね。せめて前衛がいないと広範囲をカバーできないし。低ランクの魔物なら二人でもなんとかなるけどね。タンクヒーラーの私に中後衛のヒロ、あとは前衛剣士と広範囲攻撃の魔法使いがベストなんだけど・・・最悪、剣士がそろわないと村には戻れないわ。」
ユーリは、スキル上タンクで苦労しているからか村にいるときよりいろいろ考えて頼れる仲間になっていた。
「剣士、ギルドで募集してるんだけどな。なまじ二人で魔物を狩りまくってるから、後回しにされてるんだよな。今じゃぁ、普通にDランクの依頼(新米Eランク冒険者の引率)までやらされているしなぁ。」
「その中でも見つけられない私たちは人を見る目がないのかしら?」
などと会話しているが、その間にも低位の魔物を倒しつつ薬草を採取する手を止めてはいなかった。
「そろそろ、バックが一杯になるし街に戻るぞユーリ。」
「わかった。じゃぁ、こいつを剥ぎ取ったら帰ろうか。」
ユーリは最後に仕留めたグレーウルフを解体し始めながら了解の意をしめした。
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「お姉さん、依頼完了したよ。はい、これプレートね。」
「はい。ヒロさんとユーリさんパーティーですね。確認しました・・・ゴブリン7匹オボルト5匹にあら?今日はグレーウルフを1匹討伐ですか。もうDランクでも中堅のレベルですね。はい、討伐料の銀貨2枚と銅貨7枚です。」
「ありがとうお姉さん。」
ヒロは受付のお姉さんから討伐料を受け取りギルドを出ていこうとしたら、ギルド職員に呼び止められた。
「あっ、ヒロさんに引率依頼をまたお願いしたいんですけど・・・いいですか?」
「大丈夫ですが、詳しい話は明日の朝でいいですか?これから、ストラトスさんの所に薬草類を卸してこないとならないので。」
ヒロはこの後の予定をギルド職員に伝えて、明日の朝にしてほしいとお願いした。
「はい、明日の朝なら大丈夫ですが・・・そのまま依頼に入ってもらう形になりますがいいですか?向こうには伝えておきますから。」
「あっ、それは大丈夫です。よろしくお願いします。」
二人はギルドを出てストラトス薬局に向かった。
「ねぇ、ヒロ。薬草卸したら晩御飯食べて帰ろうよ。私お腹減っちゃった。」
「いいよ。薬草卸してからね。」




