引率依頼(完了)
引率を始めてから一週間がたって、今日が最後の引率クエストだった。
「今日で最後だが、予定より一日長引いたな。だが、良い一週間だったと思うよ。俺らのパーティーに欲しいくらいだけど・・・君たち三人でパーティーを組んだほうがいいだろう。なぜなら、君たちはすでにランクを上げるクエストを終えているから、研修が終わり次第Dランクになることが決まっている。狼牙も、最初に比べれば劇的に変わったからね。三人なら良いチームになるよ。Aランクも夢ではないと思うよ。俺らはまだEランクで燻ってるみたいだしね。ユーリ、僕らもランク上げない?」
ヒロはユーリに無駄だと思いつつも、聞いてみた。
「う~ん。いいけど、メンバーがねいないのが問題だよね。多分、ヒロの冒険スタイルに合わせられないと思うんだよね。この三人も、結局は私たちが見てただけでヒロが狩りするところを見てないし・・・下手したら武器もしらないんじゃない?」
「そうなんだよなぁ~。君たちが優秀すぎて俺らが手助けするところがなかったくらいだからね。」
ヒロも苦笑しながら三人が優秀で自分の狩りを見せることが出来なかったので、今日はヒロたちの狩りを見せるための一日で三人は断わっても問題はなかった。
「そういえば、兄貴はどんな武器を使ってるんですか?」
「あぁ、やっぱり知らなかったんだね。ヒロ~一回くらいは見せてあげないと駄目でしょう?どうせ、ナイフしか使ってないんでしょ?」
ユーリは溜息をつきながら、ヒロに文句を言っていた。
「そこまでの魔物出なかったしね。だから、今日は俺らの狩りを見せる日だよ。いやなら、断わってくれてもいいよ。ちなみに、俺のメイン武器はこれだよ。」
ヒロは、SRを三人に見せたが、三人はただ長い筒を見せられただけで訳がわからなかった。
「兄貴、これはなんて武器ですか?ただの筒にしか見えないんですが・・・」
この一週間でリーダーの位置になっていた狼牙は代表としてヒロに聞いた。
「この筒の中には魔方陣が刻まれていてな、魔法を発動させて弾を飛ばす武器だ。魔法のみの発動だと命中率が皆無でなぁ。でも、この武器が気に入って他の武器にしてないんだよ。まぁ、見てな。」
そう言ってヒロはSRを構えて、『ばすっと』音と共に1キロ先にいた猪型の魔物を倒していた。
「相変わらず、銃を使うと化け物じみた性能だね。一キロ先の猪の眉間を一発かぁ~。」
手をかざして、遠くを見るユーリの一言でユーリが裸眼で一キロ先が見えていることの証明だった。
「眉間を打ち込む先輩も凄いけど・・・それを裸眼で見えるユーリ先輩がすごい。」
ヒロの活躍の場面がユーリにもって行かれた様にちょい落ち込むヒロであった。
「さて、この調子でサクサク狩って行こう。遠くは俺が倒すから・・・近場はユーリにまかせるわ。」
「了解。任せて!!」
*****
「こんなもんだろう。ユーリ戻ろうか。」
「ん~、わかった~。」
ある程度、魔物を倒すと三人の所に戻っていく。
「どうだった?これが今の俺たち二人でのパーティーの動きだよ。前
衛がいないからどうしてもユーリに任せっきりでね。心もとないから、ランクも上げてないよ。まぁ、Dランクなら上がっても大丈夫だとは思ってるけどね。上のランクに研修されたら、新人が自分の力を出しきれないことがあるのも理由の一つではあるよ。」
唖然として、二人を見ていた三人はしばらくアクションが出来ずにいた。
「・・・あぁ、なるほど?てか、めっちゃ強くないですか?兄貴たち。」
「ん?そうかな。周りと比べたことないからわからないな。皆は新人教官風情って言ってるけどね。」
この程度は、普通どころか低いほうだと思っているのは周りの評価をもろに影響を受けていたからだった。
「ヒロ、そろそろ時間だから王都に戻って研修完了報告しないと・・・」
「そうだな、遅くなっても悪いから帰ろうか。行くよ、三人とも。」
「「「うん。」」」
******
「さて、完了報告も済ませたし、これで研修は終わりだよ。これからは、自分たちの責任のもとに行動してほしい。マナーもそうだし、暗黙のルールと言うのもあるから気を付けてね。わからないことがあったら、俺らに聞きに来るといいよ。大抵、夕方には戻ってくるからね。じゃぁ、解散!!」
ギルドに戻ってきたヒロたちは、報告をして今後の注意時点等を伝えて解散した。これをもって、研修以来も完了したことになる。
「「「ありがとうございました。お疲れ様でした。」」」
三人は、元気良く返事をして最初のころの短所がずいぶんと少なくなって成長を見せて解散していった。
「さて、あの三人は今後はどうするか。しばらくは考えるかもしれないね、俺らのパーティーに入りたいと言ってくる人はいるかな?狼牙辺りは、何も考えずに入れてくれって言ってくるかもね。」
「そうね。どちらにしろ、引退するまで死ななければいいよ。」