引率依頼(帰還そして・・・)
馬車はヒロたちを乗せて王都へと帰還していた。
「さて、じゃぁ狼牙が気にしてた俺たちがEランクにいる理由だが・・・簡単だ、依頼を熟してないからだ。あと、このあたりの魔物に余裕で倒せるようにならないと見知らぬ土地で出くわした魔物に歯が立たないこともあるからな。やってやりすぎってことは無いからな。見ての通り、俺たちは二人パーティーだからメンバー募集を新人の中から探すのもある。それで、Eランクだよ。後は、お使いクエストを終わればランクは上がるんだが・・・まだ上がれないかな。この研修期間で俺たちのパーティーに入ってくれる人がいれば
いいんだがなぁ。」
ヒロは、馬車が動き出してから狼牙達三人に話し始めていた。
「・・・先輩。本当に俺は、研修してくれないのか?」
狼牙は、ヒロの話を聞いてぼそりと聞いてきた。
「狼牙が心を入れ替えて真面目にクエストを熟すなら、さっきの話は無しだよ。まだ、ギルドに報告してないしね・・・と言っても、今日の行動は報告するけど見捨てることはしないよ。それで、狼牙は今後どうしたいんだい?」
「俺は・・・先輩のパーティーに入りたい!!だから、お願いします。俺を鍛えてください、兄貴。」
その場で土下座してヒロに懇願する狼牙は許しを得るまでは梃でも動かないぞというオーラを出していた。
「いや、鍛えるのは良いんだけど・・・兄貴?」
「ありがとうございます。兄貴のパーティーに入れるように頑張ります。」
がばっと起き上がり、感謝する狼牙はヒロの質問に答えていなかった。そして、答えることもなかった。
狼牙以外はぽかんとして開いた口がふさがらない状態になっていた所で、馬車が止まった。王都の門に着いたようである。そしたら、狼牙はいの一番に馬車を降りて行った。
「あっ・・・行ってしまった。まぁ、やる気になってくれたようだからいいか。さて、皆王都に着いたみたいだから各自手続きしてギルドに集合だよ。」
「「はい。」」
***ギルド***
「さて、皆集まったね。では、珠代はクエスト完了報告を受付でしてきてね。それと、報告は基本的に受けた者がすることだが、緊急時にはパーティーメンバーがしてもいい。例えば、リーダーが負傷して治療している間にメンバーが報告とかね。あとは、魔物の群れを見つけたときとかは誰かがその場で見張りつつ誰かを報告に行かせる等、多岐にわたってある。一番は今回の様に全員が無事に戻って、リーダーが報告することだけどね。それと、臨時パーティーの時は気を付けることだよ。完了報告の時にいるのは当たり前だけど、受付の時にパーティーに入れないで連れて行って報酬をパクる人もいるから受付でパーティーに入ってるか確認が必要だよ。」
ヒロは、完了報告やそれにまつわるプチ情報を教えた。
「よし、終わったようだね。報酬は三人で分けるといい、俺たちは研修というクエスト中だからね。今日はこれで終わりだから解散するけど・・・明日も同じ時間にギルドに集合でクエストは狼牙、君が受け付けといてね。無理のないクエストを頼むよ。では、解散。」
「了解しました、兄貴。」
「わかった~。」
「はい。」
三人それぞれの返事をして解散した。
「それにしても・・・兄貴ねぇ~。ずいぶん懐かれたんじゃない
の?」
ユーリはニヤニヤとしながらヒロをからかう。
「う~ん、なんもしてないんだけどね。ただ、Eランクのままの理由を言っただけなんだけどさ。そしたら、ああなった。」
ヒロは狼牙の態度がああも変わったことに驚いていた。こういう所で鈍感なヒロだった。
「それよりも、ギルドに報告はすましたの?ユーリ。」
「これからよ。ヒロも行かなきゃならないでしょ?だから、待ってた
のよ。」
「あぁ、そうだな。悪かったな、待たせたようだ。行こうか、ユーリ。」
二人は揃って受付で途中報告をした。
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「さて、遅くなったが晩飯食べてから宿に行くか。」
「賛成〜!!もう、ペコペコだよ〜。」
報告が終わった二人はすっかりと日が沈んだ王都内を歩いていた。