告白はスタートライン
彼女から告白されたのは何時ぐらいからだっただろうか。
それは温かな春の日。僕は風の吹く校舎裏へ来いという手紙に従って、向かっていった。が、そこには見ず知らずの女性がそこには立っていた。
「ずっと前から好きでした。付き合ってください」
短い髪にヘアピンが良く似合う、可愛らしい女性が僕に向かって盛大に告白をする。
「えっとごめんなさい、どちら様ですか?」
「す、すいません、ずっと追いかけていたんで知らなくて当然です」
「え?それってストーカーってこと?」
「はい、なのでこれから知ってもらえれば良いかなって」
彼女は曇りなき満面の笑みでそう告げた。
「…ごめんなさい。よく知らない人と付き合うのはちょっと」
「そうですよね。なら、私の気持ちを知ってる前提で、お友達から始めましょう」
手を僕の前に出して、にこやかな笑顔のまま彼女は言った。え?何言ってるかわかんない。
「え?何言ってるのかわかんないです」
「私の名前は神崎 花蓮。君の1つ先輩だよ」
「あ、はい僕の名前は、って何ですかそれって」
「ああ、君の名前は知ってるからいいよ。まあ、これからよろしく」
そう言うと神崎先輩は走って行ってしまった。
その一件以降、彼女は凄く積極的だ。今日も下校時に校門に行くと先輩は待っていてくれた。
「やあ、奇遇だね。一緒に帰らないかい?」
「奇遇って先輩、十分前からここに居ましたよね」
「気づいているなら、早く来てくれよ。これでも恥ずかしいんだぞ」
そう言って先輩は顔をそっぽ向けてしまう。
「すいませんでした。ケーキ御馳走しますんで、許してください」
僕と先輩はすぐに意気投合してしまい、僕の中では冗談を言い合えるほどに仲良しになっていた。
「あーあの君がよく行く喫茶店か、あそこのモンブランが君の好物だったな」
「なんで知ってんすか」
「愚問だな。君のストーカーだからに決まっているだろう」
「何を誇らしげに言ってんですか」
先輩のどや顔にあきれつつも、こんな会話が僕は気に入ってしまっていた。
「それより、行きましょう。放課後デート」
「…急にデートとか言われると照れるのだが」
鞄で顔を隠しながら小さい声で返事をする。
「何、照れてんすか、先輩がいつも言ってるじゃないですか」
先輩の態度に言った僕まで顔をそらしてしまう。
「うー、こんな気持ちにさせた君が悪いんだからな」
「えっちょっ先輩!」
「喫茶店までこのままだ」
そう言って、夕日でもわかるような真っ赤な顔の先輩は、僕の手を引いて一歩前を歩いて行く。
いつもはグイグイ来て押しには弱いって話書こうとしたら、すっごい脱線してしまった。けどこれは、もっと書いてもいいなーって思うぐらい楽しかった。と言うかやっぱ、短編だからって少なすぎるかな?もっと増やすべき?