鼓動/ 残光/
鼓動/
夕立の終わり
梢についた雨粒
光を溜めれば
そこらじゅう
泡になるような気配
雲の合間から
覗いた夕陽
射す光に
どくどくと
どくどくと
つられるように
上ろうとする
私の血潮
鼓動は
ひとたび
前へ打ち
そしてすかさず
この胸に戻る
とくとくと
とくとくと
すべては私を
引きとめるために
残光/
繋いだ手の硬さ
口笛の掠れていく感触
微笑みのさいごの角度
はなれていく
髪を梳く手
遠くに
残しておいた
わたし宛の眼ざし
忘れかけては今も
瞬きの中に潜むもの