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終結。

「さてと。」

そう言うと、キイチさんは高山に向き直る。

「面倒だからな、単刀直入に言いましょう。」

ごくり。

高山も顔を強張らせて、キイチさんの言葉を待っているようだ。

「高山宗志、守口美咲を絞殺したのは、あんただな?」

その宣言に、僕と村上亨と相棒刑事(山川さんというらしい)は、ぽかんとしてしまった。

高山はというと、目を見開いって衝撃を受けている。

な。何言ってんですか?だって、宮内は?

キイチさんは、そのまま言葉を続けた。

「十八日、美咲と現場マンションで会ったな?監視カメラを気にしてか、出入りは建物裏の窓からだ。まあ、高山が昼間にでも何処かへロープを置いて、美咲がそれを紙袋に入れてマンションへ持って行ったんだろう。その、ロープを美咲が窓から下へ降ろした。」

ふえ。あの現場に残されていた紙袋!!

「ロープを使って、壁を登るくらい簡単だろ?消防士さん。」

と、壁登り訓練を行う建物に目を向ける。

つられるように、僕もそちらを見ると、垂直な壁にロープが垂らされているのが見えた。

「勿論、帰りもロープを使って、降りたと。二階の住人はまだ未入居だ、見られる事は無い。」

「でも、どうやってロープを回収するんですか?」

手すりに結んでたら、残っちゃうじゃないですか。

「ああ、ロープの端を自分の体に巻きつける、それから手すりを潜らせて、もう一方は束にして持つ。」

ふむふむ。それから?

「束にしたロープを少しずつ、伸ばしていけば・・・手すりに結びつけなくても可能だ。」

地上に降りたら、ロープを引っ張って回収する。と、説明してくれた。

「手すりに、擦った後もあったしな。」

そこで、山川刑事がジロリと睨みを利かせる。

わわ、ごめんなさい。すみません。しょっぴかないで下さい。

そんな事はどうでもいいとばかりに、キイチさんはスルーして続ける。

「とにかく、美咲の部屋へ入ったあんたは、美咲をロープで絞めた。美咲の結婚が政略と知って、説得でもして失敗したか?あんたは、美咲を諦められなかったんだな。」

高山は、固まったままで動かない。

「カナメ、葉っぱ。」

キイチさんが手を出したので、そこへポケットから取り出した葉っぱを二枚、乗せる。

キイチさんは、その葉っぱを摘まみながらまた高山に視線を遣って、話を続けた。

「この葉っぱな、一枚はこのドアホの靴の中から出て来た。その日、こいつが靴を脱いだのは、現場に入った時だけだ。つまり、現場に落ちていた、という事になる。そして、もう一つは・・・。」

そこで、言葉を区切ると僕に、言えと促す。

「あ、はい。先日にお会いした時に、高山さんのジャケットから落ちて来たんです。」

うんうん、とキイチさんは、頷く。

「この葉っぱ・・アベマキな、マンションの庭には植えられてなかったが、C棟の後ろの雑木林に生えてた。」

「な・・、何を言っているんですか、私は十八日は、出勤していました。刑事さんも確認しましたよね?日誌を。」

と、刑事二人に顔を向けて、言い募る。

「ああ、確かに出勤してると確認した。」

片眉を上げて、こちらの出方を窺うような山川刑事。

それに対して、キイチさんは不遜に笑う。

「ふん。最近、この辺りで不審火が二件ほどありましたね。」

ね。と、高山に確認するキイチさん。

「そ・・そうです。どちらもボヤで済みました。それが?」

明らかに動揺してる高山。

「で、こちらの署の隊員で見回りをしている。と、先日にたまたまその見回りしている所に出くわしたんだよなぁ?カナメ?」

「は、はい!キイチさんが不審者と思われ・・・痛い。」

盛大にげんこつが落ちてきた。

「余計な事はいい。見回りは、十八日よりも前から始めたそうだな。手空きが、自主的に見回ってるとか。」

そこまで言って区切ると、高山から表情が抜けていった。

刑事二人は、眼光鋭く高山を睨む。

キイチさんは、続ける。

「十八日の夜、二十三時三十分にマンションで会う事を約束。そして、当日その時間が近づくとあんたは、見回りをしに署をでたはずだ。そして、ロープで美咲の部屋へ入り、殺した。それから、そのロープで窓から逃走。平然と署に戻った。」

「そ・・そんなの、推測じゃないですか。葉っぱに関しても、証拠にはなりえません。」

そう反抗を試みた高山。

「そうさな。ロープは、出てくるんじゃないか?消防署からな。」

と、言うと・・・、高山は完全に諦めた表情になった。

決まりですね。キイチさん。

「高山さん、署まで同行してもらえますね?」

村上亨は、静かにそう言うと高山を促した。

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