クビ
とある駅の端に男が二人、壁にもたれて話している。
「吐いたのか」
「あぁ、すまねぇ。また迷惑をかけちまったな」
「仕方ねぇだろ。社の本心だ。『失態は連帯責任』」
「お前はしっかりしてていいな。俺がお前の立場なら殴りかかってるぜ。いくら酒の勢いといってもさ……」
「おいおいそういうこというなよ。……って、もういいのか」
「そうだな。……コーヒー、飲むか?」
「ああ、もらうよ」
男の一人が自販機でコーヒーを二つ買った。
「これを飲みきったら、行くか」
「だな」
「にしてもひでぇよな。コレからは特権なしの一般人だぜ」
「まあ、ただ同然で得た特権だしな。失うのも一瞬だよ」
「そんなものか……」
しばらく、二人は何かを考えながら、無言でコーヒーを飲んでいた。
「そろそろ、だな」
「ああ。また会うかな」
「どうだろう」
「じゃあな」
「ああ」
二人は背中の羽をむしり、人ごみのなかに紛れていった
説明がとてもとてもたりませんが、二人は「天使」として働いていて、
嘘を「吐いた」ためクビになった というお話です
天使は嘘を吐かないと言う偏見