消された人格
俺のさ、ま古い友人なんだけどもな。
言うと悪いんだけど、頭のネジが何本か飛んじまったような、そんなやつがいるんだ。
まあ、そいつがな、面白い話をしてくるんだ。
奴曰く、消された人格があるんだと。
なんでも、この世界は、元々たくさんの世界が重なってできていたそうだ。
イメージとすれば、積み重なったコピー用紙のような感じらしいな。
でも、あるとき、そんな世界間での大戦争が起こったらしいんだ。
それによっていくつかの世界は崩壊して、いくつかの世界は忘れられて、そして、この世界だけが残された。
でもな、その時に、人格が一つの体に入ったらしいんだ。
普段は眠っているんだけど、たまに出てきてしまうことがあるらしいんだ。
で、その眠っていた人格って言うのが、今回消されるはずだった人格らしい。
どこまでが本当なのかは、全く分からないんだがな。
あ、そうそう。この話、続きがあるんだ。
人格が消えるというのは、その魂が死神に連れ去られるということらしいんだ。
死神って言うのが、実在するかはさておいて、奴に言わせれば、有無を言わさずにつれ去ってしまうらしい。
そして、それ以後、その人格は消えるっていう話だそうだ。