たダいマ
「今回の<葬華>も、無事に終わって何よりでした」
4日後の深夜の廊下。
自分の斜め後ろに続く相手に、ソカは微笑んだ。
「お帰りなさい」
スアは、満面の笑みで答えた。
「ただいまです」
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「改めて、お疲れ様でした」
スアが体をソファに沈ませるを待ってから、ソカも腰を下ろす。
「どんな感じですか? その新しい体は」
顔を緩ませるスア。
「この5周期の体、最高です♪」
自分の頭に右手を当てながら立ち上がる。
「ほら。見てくださいよ、この背! こんなに伸ばしてくれたんですよ!!」
スアの左手は、自分の胸の前近くの空間に移動した。
「あと、ここも成長させてくれたんです☆」
自慢げに胸を張る。
その視線は、斜め下で微笑む人物の顔から胸の辺りに移動した。
「…」
唇を噛むスア。
力なく腰を下ろし、再び体をソファに沈ませた。
「……でも………まだ…………ソカ姉様には……………負けてますねぇ」
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「人格情報の移動処理に──」
ソーサーに、ソカのティーカップが戻る。
「問題はなさそうですね。安心しました」
スアは笑顔で、自分のティーカップの持ち手に手を伸ばした。
「はい☆」
持ち上げられたカップが、口に近づく。
「<葬華>の担当者さんも、大丈夫だって言ってくれてました☆」
もう少しで端が唇に着く寸前で、スアはその動きを止めた。
「もしかして『あなたは、相変わらずですねぇ』って意味で言ってます?」
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「なんで、脳に情報を入れる時に」
お茶を全て飲み干したスアは、空になったカップをテーブルに置いた。
「私の人格情報だけでなく、色々な知識とかも書き込んだら良くありません?そうすればもう勉強とかも不要に出来るじゃないですか??」
自分のカップも空だったソカ。
再び2つのカップをお茶で満たすべく、テーブルの端にあるティーポットに手を伸ばした。
「それは── 人格情報を破壊してしまう事になりますから、禁止されてるんですよ」
「え?!」
「勝手に知識情報を付加した場合、人の脳には、それが経験で得たものか勝手に増やされたものか判断出来ません。結果的にそれは、人格情報の肝である経験や思い出を改変してしまう行為ですから」
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「ところでぇ──」
3杯目のお茶を飲み干したスアが、上目遣いでソカを見る。
「明日は…<替祝>ですよね?」
「はい」
「なのでぇ……前に、私がお願いした件をぉ」
頷くソカの姿を目にして、スアが顔をほころばせた。
「やったー☆」




