噛みしめる勝利と恥と土の味
続きです。
書けば書くほど自分の文章力に対する自信がなくなっていきます。誰かタコ殴りにしてください。
そして撫でてください。
俺は今猛烈にしんどい。
身体に2つ穴が空いているからだ。腕と手のひら。手のひらは貫通してたりもする。意識があるのは魔術のおかげだろう。模擬って言ったくせにちゃんと殺しに来た。
治るのだろうか…
不幸中の幸いか、めちゃくちゃ長引いたおかげでいったん休憩が入った。いつ終わりにするんだと聞いたら決着がつくまでと言われた。
……殺し合い(模擬)における決着とは?
「クソぉ…」
床に手と膝をつき四つん這いになった。
なんでこんなことをしているんだ俺は。
この殺し合いの意図はまずなんだ?!
安心安全はどこへ行った?
しんどい…
「そろそろいいかぁ?」
アマンがやって来た。めちゃくちゃウズウズしている。顔がほんのり上気してなんか怖い。
「もうちょっと…休憩を…」
「かれこれ5分は経つぞ!
もう待てん!」
腕を引っ張られ立たされる。
「よし!いくぞ!」
「くぅ…」
アマンの表情がまた消えた。急にスイッチ入るの怖いからやめてほしい。いやそもそもこの状況が怖い。この謎の殺し合い(模擬)をやめてほしい。
「死ね」
死ねじゃないんだよ
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「ブクブクブク」
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ………しゃあっ!!
ザマァみろ!!!!」
どうやら相手を気絶させるまでが1ラウンドだったらしい。俺が気絶したとき気づいた。
計5ラウンド行い2勝3敗だった。
俺の最初の傷はアマンの魔術で壮絶な痛みを伴いながら治癒できた。また新しい穴が空いたから意味ないけど。
「はぁ…はぁ…ふぅ…」
呼吸が整ってきた。アマンはまだ気絶している。気絶となると首を絞めるくらいしか方法がなかったからめちゃくちゃ苦労した。落ちるまですごく時間がかかるのだ。そのせいで背中におびただしい数の穴が空いた。
流石に終わらせてもらおう。いや終わらせよう。
これ以上は本当にやってられない。
俺はアマンを持って小屋に帰った。
アマンはベッドで寝かせた。
毛布があったのでかけるとすごく気持ちよさそうにしていた。
俺は血塗れの服を脱いで身体を拭きたかったが、タオルが使えなくなるためソファで背中をつけないよう座って待つことにした。アマンが起きるまで。
「……」
ここに住むとしたら…今のを何回もやるのか。まぁ…正直少し楽しくはあった。戦っている間は何も考えずにいられた。勝ったときの充足感は言いようもなかった。案外コレが俺の1番良い生き方なのだろうか。
ベッドの方から音がした。アマンが起きていた。
「おはよう」
「ん…私…あれ?」
「俺が寝かせた。そろそろ終わり時かなともおもって」
「そうか…ありがとう」
呆然自失といった感じだ。ぽけーとしてる。
「なぁ…聞きたいんだけど、なんで急に殺し合いを?」
「…」
ぽけーとしていたアマンが急に目を見開いてシャキンとした。
「なぁ…なんで?」
「…魔族にはな…人間の3大欲求とは違い4大欲求がある。
食欲
睡眠欲
性欲
そして…」
「そして…?」
「そして…そしてぇ…闘争欲…………だ!!!」
めちゃくちゃ恥ずかしそうだ。顔が真っ赤だ。
「そんなに恥ずかしいのか?」
「恥ずかしいと思うのも違うと思うが…何というか、その、私は話題にするとどもるタイプだ…」
「人間で言うとこの、性欲に近い感じなのか?」
「そ、そうと聞くが…」
「じゃあ魔族にとって性欲ってどんなもん?」
「それは戦闘欲に近いが、もっとデリケートかも…よくそんなスラスラ喋れるな。性欲に関しては人間も魔族と同じ価値観と聞いたが、もしや向こうの世界は所構わず……」
「いや!ちゃんと3大欲求はあるし最低限の恥じらいというか何というか…そのへんはちゃんとしてます!!!」
「そうか…」
「なんでちょっと残念そうなんだ」
「いやそんなことはない」
要はあれか?なんか高ぶっちゃって異世界の、しかも人間なら貞操観念いや、闘争観念緩いんじゃね?と思ってダメ元で言ってみたらいけちゃった…てことか。
チャレンジャーだな……
すごいモジモジしてる…
「そういや本番はどんなんなんだ?」
純粋な疑問だった。
「え!!!!!!??」
すごくびっくりされた
「え?」
「模擬だったんだろ?さっきの。結構激しかったけど…じゃあ本番はどうするのか気になってな。
まさか本当に殺すわけでもあるまいし」
「それは…えー」
なんか考え込みだした。
……………………………
このとき、アマンはこんなことを考えていた。
………………………………………………………………………………………
(闘争に模擬もクソもないし思い切りあれが本番なんだけどなぁ…仮に知ってたとき用の保険で模擬って言っただけで…ここまで価値観違うとはなぁ。どうしよう。このまま模擬で通せるか?もし知ったらドン引いてもうやってくれなくなるかも…えぇもったいないなぁ!知らないなら知らない方がお互い都合いいんじゃないか?なんか出て行くかもしれないんだよな。ここまで闘争にだらしない生活もう一生できないかも…もうこのままいっちゃえ!)
……………………………
ニノマエはコレを知る由もない
………………………………………………………………………………………
「……本当に殺したりはもちろんしない。
だが本番はな、もっとすごいことするぞ。
言えないくらいだ。
私たちのは人間にもわかりやすく言うと子供同士のチューみたいなものだ。」
あれが子供同士のチュー?
本番はあれよりもすごいことだと?拷問か?
「お、教えてくれ!」
「へぇぁ!!!!????」
びっくりした…
「お、お前にはまだ早い!!!」
文化が違う以上知っておかなければ後でとんでもないことになるかもしれない。あれ以上なんてどうなるやら。
「俺もう大人だ。」
「みりゃ分かるさ!!!!
しかしほら、人間、しかも異世界の人間にはちょっと刺激がつよいかなぁって、な」
「だが、一応何をするかくらいは知っておきたい。21にもなって子供の価値か……」
「21!!!!!!!!!?????????」
今までで1番変が更新された。
「おま、おまおま、まだ子供じゃないか!!!」
「この世界じゃ知らないが俺の世界ではもう大人だ。仕事にもついていた。」
「嘘だろ……」
「…魔族って寿命いくつだ?」
「……こっちの世界は人間も魔族も平均300年だ」
てことは…だいたい俺のの世界の3倍か。
えーと、じゃあ俺の歳の3分の1すれば、こっちの世界の年齢に置き換えれるのか。
21÷3は…7。俺この世界じゃ7歳か。
じゃあ、アマン…………………………あちゃー
「あちゃーだな。」
「クソっ!どう見ても成人してるじゃないか!!!」
また見たことない顔をしている…
「まぁ落ち着けよ。俺の世界では俺は大人だし、まだ本番じゃないんだろ。軽くチューするくらいのもんでそんな大げさな」
「う」
なんてバツの悪そうな顔をするんだ。
それでも幼児に手を出した判定なんだろうか。本当に真面目なやつだ。いや真面目か?
まぁ置いとこう。
ここまで話を聞いていると1つ重大な疑問が頭をよぎった。
「てか待て。それじゃあ魔族は今起こってる戦争にめちゃくちゃ興奮してるってことか?」
「………」
もしそうなら他の魔族との付き合い方を真面目に考えなければ。そう思っていると
アマンの顔が真面目になった。
「………戦争に快楽を求めてる連中も一定数は存在するだろう。だがほんの僅かな一部だけだ。この戦争は憎しみであふれかえっている。これは魔族にも人間にも言えることだと思う。」
「そうなのか?」
「今の戦争には愛がない。相手を慮ることさえない。ただ効率的に殺すだけだ。そんなモノは我々の闘争ではない。
闘争には愛がなくてはならない。愛のない闘争はただの虐殺だ。醜く穢らわしい。」
むっつりで軽率なところもあったが、根元はやはりあのアマンだ。高潔で美しい。
「…少し、安心した」
「…?そうか。よく分からんが、ならよかった。」
「またやりたくなったらいってくれ」
「え!!!!!!!!!!!!!!!!!」
オモロ……
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2週間後……
「本当に出るのか…?」
アマンが心配そうにこちらを見ている。
俺は今森の外に出ようとしている。
「あぁ。いろいろ考えたけど、やっぱなんかしらしたいなと思ってな」
この2週間ずっとアマンと殺し合い(模擬)をしていた。最初はめちゃくちゃしんどかったが、だんだん慣れてきていいストレス発散になった。
ストレスフリーの状態で心が晴れやかになったからか今までにない素晴らしい考えが浮かんだ。
自分が自分を尊敬できる生き方をしたいと思ったのだ。きっかけはアマンだ。
アマンを見ていて、アマンと話していて、彼女のぶれない軸の土台にある自分の種族に対する高潔な誇りに気が付いた。
重要なのは誇りなのだ。
俺にはアマンと違って人間であることに誇りは感じない。
だから俺は、゛俺 ゛であることに誇りを持てるようになりたい。そのためには自分が尊敬するに値する行動を俺自身が取る必要があるのだ。
なんて前向きなことだろうか。
はじめての感覚だった。
幸せへの第一歩を踏みしめたと確かに感じた。
「この2週間…アマンには本当にいろんなことを教わった。俺はよくぶれる奴だから不安でいっぱいだったけど、アマンのおかげで俺は自信を少し手に入れた気がする。ありがとう」
「そんな…私は何もしてないぞ
ただ殺し合ってただけで…」
「その殺し合いも俺の不安をかき消してくれた。
それにアマンの行動も言動も俺にとって尊敬に値するものだった」
「ははっ殺し合いで発散とはすっかり大変態だな」
「ははっ大げさな」
「…本当に行くんだな」
「あぁ」
「分かった。じゃあ最後の準備だ」
アマンがカッコいい装飾のナイフで俺の腹を突然掻っ捌いた。痛みはなかった。驚きはなかった。この前俺の腹に風穴が空いたときこうやって内臓を修復していた。
だが今回は野球ボールくらいの透明なガラス玉を腹に入れて閉じた。
今のはなんだろうか。
聞きたいが喋ると痛みがやってくるので喋らない。彼女があり得ない手さばきで腹を縫い直すと俺の両肩に手を置いて何か力を込めだした。
「さっきのは?」
「保険みたいなものだ。万が一の時の。」
「今やってるのは?」
「とりあえず向こう30年は動けるよう魔力を込めている。補充ができないからな。今の私の精一杯の魔力をお前に込める。」
「大丈夫なのか?」
「2日は動けなくなるがそれだけだ
すぐ戻る。それに家に帰れるくらいには残しとくさ」
「わるいな…ありがとう」
「いいってことだ。もう友人のようなものだろう?友人の出発祝いは大盤振る舞いしなければな」
涙が出そうだった。こんなに素晴らしい出会いに心から感謝した。俺は今とても幸せだ。
「……よし!準備はできた。今からお前を森の入口のあまり誰もいないところへ地中経由で送る。土の層があまり厚くないから寝そべってもらう。呼吸はできないだろうが生命は維持できるから心配するな。」
「あぁ。ありがとう…俺頑張るよ!」
「あぁ!頑張れよ!!」
俺は寝そべった。すると俺の身体が地面に潜り込んでいくのが分かった。不思議な感覚だ…。身体がすっかり地面に入ってしまうと、俺はさっきアマンが言ったことを思い出した。
【呼吸はできないだろうが生命は維持できるから心配するな】
確かに呼吸ができない。それはまぁ聞いていたから分かっていた。ただ予想外なのが、ちゃんと苦しいということだ。呼吸しようとすると土が喉をつっかえてまともな呼吸にならない。腐葉土の味は昔誤って食べたカブトムシの幼虫にそっくりだった。
土が動き出した。出発したようだ。どんどん口に土が入って来る。息が。消化器官が土でいっぱいになってしまう。殺し合いのときの教訓だがゾンビなのでどんな状態にあっても意識はなくならないそうだ。……余裕ぶってなんとか苦しみを紛らわそうと思ったがちょっと無理だ。許容を超えた
助けてヤバい早く終われ畜生
「オェ…オッ!…オェ!!オッ……」
読んでくれてありがとう御座います!!
本当に読んくれてる人いるんですかね。
いたらいいなぁ。
お菓子とかあげたい。




