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【短編】あなたの願い叶えます~町はずれの魔法具店03~

作者: たすく

シリーズ化するべき?

街のはずれに、一軒の魔法道具を扱う店がある。

客が入っているのを見た者はいないし、ほとんどの住人は、

「そんな店、あったっけ?」

と首をかしげる。


本当に困った者だけが、

気がつくと誘われるようにドアを開けている。

そんな店だ。


ある日、お店に男が訪れる。見た目は完全に浮浪者。

年齢不詳、服はくたびれている。


「俺、好きな人がいるんです」


男は真顔で言った。


「よくいく居酒屋の看板娘の美人で、皆からも好かれていて。

でも俺がお店にいくと、絶対目が合うし、俺にだけ挨拶するし、

 それに……俺のエール、いつもちょっと多めなんです」


 店主は何も言わず、うなずいた。


「きっと向こうも、俺のこと……」


「それで何をお求めなのでしょうか?」

店主が促す。


「デートに誘う勇気がなくて。勇気の出るなにかないですか?」


 店主は棚から、ラベルの貼ったボトルを取り出す。


「願いの叶うエールです」


「エールですか??」


「願いを口にしてめば、飲む相手に対して効果が得られます。

 中身は二杯分残ってます。一杯は告白する勇気が欲しいと願いながら飲みなさい。もう一杯は――」


「相手に?」


「ええ」


 男は瓶を大事そうに抱えた。


「ありがとう。今夜、使います」


 その夜、居酒屋。今日も店内は忙しそうだ。

奥の調理室で、女性の料理人たちがせっせと何かを煮込んだり、切ったりしている。

 男はいつもの席に座り、エールを注文した。

「はーい、エール一丁」お目当ての美人の店員が注文を通す。

やっぱり今目が合った。彼女は僕のことが絶対好きなんだ。

確信を得た男は、家から持ってきたグラスに

先ほど購入した、「願いの叶うエール」を注ぐ。

 

「……告白する勇気をください」


 ごくり。


「エール、お待たせしました!」


 笑顔の美人店員。


「あ、あの……よかったら、今度一緒にご飯……」


「ありがとう! 今ちょっと忙しいから、後でね!」


 軽やかな笑顔。

 断られてはいない。


(でも確かに、勇気は出た。効果はあるのか)


 男は拳を握った。


(次は、彼女に飲ませる番だ)


「どうやって飲ませようか?そうだ……変な味がするんだ。

ちょっと飲んでみてくれない?と聞いてみよう」


今しがた届いたエールを飲み干して、

男は「願いの叶うエール」を注ごうとした。



 調理場では、女料理人が必死に客の注文をさばいていた。

看板娘の美人店員とは言わないが、素朴で優しそうではある。

そんな彼女は妙に汗をかきながら、鍋を掻き回していた。

今日は注文が多いのか、はたまた別の要因か。


調理場のドアが開く。


 浮浪者風の男が、立っていた。

女料理人はどきりとして、その汚らしい男を見る。

目が合った瞬間、男は言った。


「一目惚れしました。

 僕と、結婚してください」

 

女料理人は、少し驚いて、

 それから――照れたように笑った。


「……はい」


調理場の上には、一本のエールが入った瓶がおいてある。

「願いの叶うエール」

 


町はずれの魔法具店では。

店主は帳簿に一行、静かに書き足した。


――二人の願いは、どちらも叶えられた。


 店の外では、今日も誰かが道に迷っている。

第3弾です。

第2弾は、寝ぼけて消去しました。

とある冒険者の話でした。


気になったら☆とかいいね( `・∀・´)ノヨロシク

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