夢のつづき
香絵は生理痛に苦しみながらも
ようやく再び眠りについた。
香絵はまた夢をみた。
どうやらさっきみた夢の続きのようだ。
場面は変わって、
夕方の時間帯になっていた。
例の兄と香絵は2人でテレビをみていた。
母親は違う部屋で夕飯の準備をしているようだ。
香絵はテレビに集中していた。
その時。香絵は、はっとした。
いつの間にか兄が背後から香絵を抱きしめていた。
そしておもむろに香絵の体を触りはじめた。
香絵の陰部に触れようとした時、
何してるの!
2人の母親であろう女性が物凄い剣幕で
近づいてきて、2人を引き離した。
場面が変わって、
夜、父親と母親であろう人物と香絵が
リビングで団欒していた。
そこで香絵はふと思った。
お兄ちゃんがいない。
そこで香絵は母親に問う。
お母さん、お兄ちゃんどこいったの?
すると母親は答える。
お兄ちゃんなんていないわよ。
意味が分からなかった。
あの大好きだった兄が突然いなくなったのだ。
その上、まだ幼い子どもにとって一番信頼している
母親に、その兄は存在しない。
と言われたのだ。
それからどうやら月日が経ったようで、
また場面が変わった。
香絵は大人になっていた。
夕暮れ時で、部屋が半分ぐらいオレンジ色に
染まっていた。
その部屋に香絵はひとりいた。
ふと、玄関の方を見ると、見知らぬ男性が
ドアの前に立っていた。
香絵はぽつんと呟いた。
...お兄ちゃん?
その男性はハサミを開いた状態で
強く握りしめていた。
だから手から血が出ていた。
そして、気がつくとその男性は
香絵の目の前にいた。
前髪が長くてよく顔が見えない。
髭も生えている。
よく分からない。でも、香絵は思った。
やっぱり私にはお兄ちゃんがいた。
これは私の大好きだったお兄ちゃんだ。
その時。
兄の握るハサミが香絵の腹部に刺さっていた。
夢だからか痛みは感じない。
何度も刺されて、気がつくと、
香絵は床に倒れ込んでいた。
それを見て血まみれの兄は自分の腹部にも
何度も何度もハサミを刺した。
それを見て香絵は思った。
もう苦しまないで。
そんな事したら痛いよ?
自分も刺されているにも関わらず、
香絵はその男性の辛そうな表情をみて
涙が止まらなかった。
そして、その男性はついに力尽きて
香絵の側に倒れ込んだ。
その男性は香絵を抱きしめた。
どちらの血か分からない、混ざり合った血が
大きな水たまりみたいになっていた。
そのままふたりは目を閉じた。
香絵は腹痛と共に目が覚めた。
目から涙が流れていた。
また夢をみてた。
とても悲惨な人生のふたり。
兄妹で体の関係をもってはいけない。
倫理的にもタブーだ。
ただ香絵は思った。
あの男性は間違いなく
私を愛していた。
ただそれだけだった。
香絵はあの"お兄ちゃん"の事を
思うと涙が止まらなかった。
どうか今は安らかでいて。
そう願ってやまなかった。
次の朝、昨日までの生理痛が
嘘のように香絵の身体は回復していた。
香絵の日常はまた元に戻っていく。
その時、香絵は大晴のことを思い出す。
そうだ。病院の予約取り直さなきゃ。
香絵は病院に電話をかけた。
すると、留守番電話に繋がった。
女性の録音された声が流れる。
諸事情により、しばらく休診させていただきます。
ご迷惑をおかけいたします。
突然の休診報告だった。
香絵は自分の心臓がぐっとしたのを感じた。
もう大晴には会えないのだろうか。
そう思った瞬間、計り知れない大きな不安と
恐怖が香絵をおそった。




