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だってそれはそうだから  作者: 坂村すみれ


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10/10

苦しみの果て

香絵は毎日憂鬱だった。

一分一秒大晴の事ばかり考えていた。


優しい夫とこの先もずっと一緒に

平和で穏やかな毎日を過ごしていくと思っていた。

なのに、出会ってしまった。

香絵の心の奥底を揺さぶる相手に。

そんなことはもう自分の人生に望んでいなかったし、

たとえ、どこか平凡な毎日に不足感を感じていたとしても

それでよかった。

それが幸せだった。

ずっと手にしたかった安息の地。

やっと手に入れたのに。

なのに。


香絵は少しずつ、夫と距離を置くようになっていた。

変わらず優しい夫。

変わらず香絵のことだけを見てくれている。

この上ない幸せ者な香絵。

しかしそんな夫に対して裏切るような気持ちを

大晴に抱いてしまっている。

そのことから香絵の中で夫との心の距離が

できてしまっていた。

夫もうすうす何か最近香絵の様子がおかしいことに

気づいているようだった。


あぁ、神様。

どうして私にこんな試練を与えるのですか?

私は自分の夢と夫だけを一生大切にして生きていく

つもりでした。

なのに、何故、彼と出会わせたのですか?


香絵は幼い頃から幸せで何不自由ない生活を

送ってきた。

でも何かが足りないとずっと思っていた。


香絵は考え始める。

私は何か足りない。

いつも満ち足りてるようで満ち足りてない。

大晴さん、あなたがそれを埋めるために私と出会ったの?


そんな風に思った。


そして夫への罪悪感とただ、ひたらすらに

実りようがない彼への思いをひとり抱えて

もうどうしたらいいか、今どうすれば私は私として

生きていられるのか、香絵は眠れぬ夜を過ごしていた。


ある日、香絵は久々に小説を書くことにした。

最近、大晴のことばかり考えていて、心身共に疲れ果てており、とてもじゃないが書くエネルギーがなかったのだ。

しかしそんな中、逆に今の自分のこのぐちゃぐちゃな

カオスな状態をありのままに書いてみるのはどうだろうと

ふと、思ったのだ。


自分の魂の叫びを。


何かものすごい感情が香絵から湧き上がっていた。



物語を書くにあたって、色々下調べしていたところ、

ふと、魂の片割れである"ツインレイ"というワードを目にした香絵であった。


ツインレイとは前世や過去世でひとつの魂だったふたりが今世でふたつに分かれて、その片割れ同士が再会すると統合への道に進み始める。

というスピリチュアルな解釈であった。


香絵は感じていた。

ツインレイ。

もしかして大晴は、そうなのかもしれない。

半ば疑念の思いを持ちながらも、

ツインレイについて調べて行くにつれ、

大晴と自分が当てはまる要素がぽつぽつと

出てきた。


スピリチュアルな事に、全く興味がないわけではなかった香絵だが、占いなどもエンターテイメントのひとつで、自分に霊感があるわけでもないし、前世や過去世、来世など、不思議な話はたまに聞くことはあるが、完全にそちらの世界を信じ切っているわけではなかった。


そんな中、いつもの様に、近くのスーパーに

お昼ご飯を買いに行こうと思い、お店に向かった

香絵。

お店に入る自動ドアの前でふと、顔をあげると、

そこには大晴がいた。

香絵は一瞬何が起こったか分からなかった。

まるで時が止まったかの様だった。

ずっと会いたくてしかたがなかったでも

会えないどうしようもない相手が今、

目の前にいる。


香絵は取り乱した心を平然に装い、

先生!お久しぶりです!となるべく

自然な感じで明るい雰囲気を精一杯作り出して、

軽く手を振った。


対して大晴は少し気まずそうな表情をしていたが、

香絵の明るい空気感に合わせて、

ご無沙汰しています。まさかこんなとこで

会うとは。びっくりしました。

と言って、店内に入り、買い物カゴを香絵に

取って渡してくれた。


そんなちょっとした優しさから、

やはり彼はいい人なのだなと

思った香絵であった。




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