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誕生
あるよく晴れた秋の日。
カラッとした風が強い日だった。
10月9日、2828g、47cm
元気な産声をあげて、この世に香絵は誕生した。
両親にとって待望の第一子。長女だ。
香絵はとても頭のいい子だった。
乳児の頃の身体的な発達はゆっくりな方ではあったが、
とにかく言葉が出るのが早かったし、
誰から見ても落ち着いていて賢そうな印象。
女の子らしく穏やかでよく笑う。
内弁慶でこわがりな反面、家や慣れたところでは
我の強さが出たりする、感受性豊かな子である。
父親も母親もそんな香絵を愛おしくてしかたなく
思っていた。この上ない宝物である。
祖父母をはじめ、親戚や周りの人たちにも恵まれ、
何不自由なく大人になった香絵。
しかし、そんな香絵自身は、
間違いなく自分は幸せである。でも、
何か、何かが違う。
何かが不足している。
なぜだろう。。。
そんな風に思う事がよくあった。




