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8.王城での茶会(前編)

夏の終わり、俺は王子に呼ばれ王城に来ていた。


既に他の参加者は揃っているようだ。


「ご機嫌麗しゅうございます、アダルベルト=イヴレーア王子殿下。本日はお招きいただきありがとうございます。」


「ああ、ごきげんよう。ルシオ=アルタヴィラ殿。挨拶はよいからこちらへ座れ」


「失礼いたします。」

侍女に案内された席に座る。


「アンナ=カロリング公爵令嬢殿におかれましてもご機嫌麗しゅう。」


「ええ、ご機嫌麗しゅう。」


俺が席に着き一呼吸おいたタイミングに合わせて侍女達がお茶とお菓子を運び込み、速やかに退出していった。


「もういいか。いいな!?」

最後の侍女がドアを閉めた瞬間、堅苦しい雰囲気に窒息しそうな王子が真っ先に声をあげた。


「ここには3人以外おりませんのでもうよろしいかと。」

すぐにアンナ様が応えると、殿下がはあと大きなため息をついた。


俺は呼び出しの意図がわからないため黙って2人の出方を伺っていた。


「ほら、どうしたルシオ。もういいぞ、そのよそ行き顔の仮面もさっさと外せ、気味が悪い。」

なんともひどい言われようだ。


「本日私を呼んだのは殿下でしょうか?」


「お前、記憶喪失か?」

…拳をぐっと握り悪態をつきそうになるのをなんとか我慢する。


「今日呼んだのはアダルですか?」


「いいや、アンナだ。」


「アンナ様が?どのような御用向きでしょうか。」


「実は、殿下が昨年のルシオ様の誕生日以来ほとんどお言葉を交わしていない伺いまして。」


「大きな催しは長男である兄と父が参加いたしますし、そもそも殿下の参加する場に居合わせることはございませんでしたね。」

実は12歳以上であれば次男以下でも参加可能だったのだが、必須でもなかったためあえて参加していなかった。


「ですので!本日この場を設けたのですわ。せっかく詰めた距離も時間が経てばまた開いてしまいますの。」


「なんだ、てっきりアンナがルシオと仲良くなりたいのかと思ったぞ。」


「まあ、まさか!ご心配なさらなくても殿下から奪ったりしませんからご安心くださいませ。」

そういえば、悪役令嬢がとても友好的でゲームの印象と少し違う。

王子を取られることがないという自信からなのか、入学前や王子ルート外は元々そうなのか。


「私はアンナ様に仲良くしていただけたら嬉しいですよ。」


「なに?お前は僕よりアンナを選ぶというのか。」


「いえ、私はアダルの友人としてその婚約者候補であるアンナ様とも仲良くしたいだけです。」


「…ふん、そうだお前は僕の友人なんだ。節操なく愛想を振り撒くな。」


「してませんよ。気味の悪い仮面しか持っていませんから振り撒く愛想も持ち合わせていません。」


「自覚がないのか、そんなだから僕は…。まあいい、この話は終わりだ。それでアンナは呼んでどうしようと思っていたのだ。」


「うふふ、特には。ただ楽しくお茶会ができればそれで良いと思っておりましたの。」


あえていうなら微糖って感じのお話になりました。

甘々になる日はくるのでしょうか。

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