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57.アダルベルト

夏休みも終わり、新学期早々俺は王子の私室に呼び出されていた。


「殿下、本日はどのようなご用件でしょうか。」


王子はため息をつき、従者達に目配せして退出させた。


「今さら体裁を取り繕ってどうする皆もう知っているというのに。…他に人はいなくなったぞ。」


「…わざわざ私室に呼び出したのは何事かなって。」


「別に私室でも寝室でも好きに呼んでいいだろう。そろそろお前も17になるからわかるよな。」


「寝室はさすがに問題があるよ。」


「なんでだ?俺とお前では子を宿すこともないのに。何も気にすることはない。」


「いやいや、色々と問題しかないよ。」


「色々、とは。」


「俺は男だし、王妃というのはおかしい。それに交際もしていないのに子がどうとか…理解が追いつかないよ。」


「王妃の座に男が据えられた例は過去に何度かある。便宜上王妃と呼んでいるが、他に呼び名がないから仕方がないのだ。2つ目は交際すれば問題ないという事だろう。色々、はどちらも解決だ。」


「そんな単純な事では…。」


「他に何があるのか。」


「臣下…腹心として支えたいという気持ちはあるのは間違いないけど、その先、一線を超えた関係というのはまた別というか…。」


「そんなものはどうとでもなる。が、僕だってルシオが本心から望むのであればしばらくは清い関係でいてやってもいい。」


16、17歳が言う言葉ではない気がするが…、王子はやはりそういう教育も受けているのだろうか。


「お互いの人生どころか国にすら影響があることなんだから、まだ決められないよ。」


「ここまで言ってもまだ駄目か?

…あとはルシオの気持ちだけなんだ。懸念事項がまだあるなら言え、全部払拭してやるから。」


そういえばゲームの時、悪役だったアンナに邪魔された時もなんかあの手この手で乗り越えてたな。

逆境に燃えるタイプなのか…。

今の方が、より強引というか俺様感強い気がするが。


「もはや今のアダルこそが懸念事項だよ。…で、結局俺はなんで呼ばれたんだ?」


「お前が俺に会いに来ないからだ。夏休みは早々に収穫も終えたかと思ったらジェローラモに会いに行って、僕の所に来ないとは何事だ。」


「それは…ごめん。」


「まあ怒ってはいない。お前は誘われて行っただけだからな。

…一見来るもの拒まずの八方美人に見えて、実際は誰にも靡いていない。本当に面白い男だ。」


「なんで俺の動向を詳細に知っているのは気にしないことにするよ。」


「僕は王子だからな、気にしても無駄だ。それにしても入学式の日、お前達が来る前に他の生徒達にルシオに変な気を起こさぬよう釘を刺していたが、まさか学外でたらし込んでたとはな。」


「入学の時の自己紹介で皆の目線が痛かったのはそういうことだったのか…。」


来年は試験もあるし、夏休み前には結論を出さないとこのままでは勉強にも集中できないな。

今週末、最終話の予定です。

エンディングキャラ以外のifストーリーや、最終話の後日譚もいつか書きたいと思っていますが略奪や年齢制限がかかりそうな内容になりそうで、どのような形式にするか悩んでいます。

もしくは全く新しい別のお話から書くかもしれません。

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