42.収穫祭
夏休みになった。
今まで育ててきた野菜達の収穫の時だ。
きゅうりやピーマン、オクラは少し前から毎日収穫している。
きゅうりとオクラは特に大きくなると味が落ちるから、少し小さめでも収穫している。
芋とカブは今日で全部収穫してしまう。
ひまわりも全盛だ。
こちらの収穫は休み明けになるだろう。
採れた野菜達は一旦俺が引き取り、寮で酢漬け作りをする。
芋は加工すると日持ちしないため俺らの食糧になる予定だ。
酢漬けの瓶は多めに作って、施設用と自分達用とお裾分け用に等分する。
顧問の先生や王子、ジェローラモにも渡さないとな。
もちろん俺の夢だったバーニャカウダ分は別途確保している。
芋は…ポテトサラダやじゃがバター、ポテトチップやフライドポテト…。
油と炭水化物の化物だらけだが今日くらいはいいだろう。
エリオットだけではなく、リカルドやダンテも巻き込んで酢漬けや夕食の準備をした。
おかげで入寮初日並みのフルコースが出来上がった。
「達成感がすごいな。」
「ああ、土造りからやったからな。」
「その辺りはほとんどエリオットさまさまだけどな。」
「ルシオは生徒会で忙しいのに毎朝水やりしただろ。それにこの瓶詰めも。それにしてもよく作れたよな。なんかピクルスとも違うし。」
「多分昔作ったか調べたりしたんだと思う。少し甘めになるけどこっちの方が日持ちするんだ。」
「…そっか、昔から色々勉強してたもんな。」
「まあな。せっかく蒸した野菜が冷める前に早く食べよう。」
「待望のバーニャカウダはどうだ?」
「野菜の新鮮さが際立って美味しいよ。エリオットはどれが好き?」
「やっぱり蒸したての芋だな。溶けたバターの塩味が最高。」
「ダンテとリカルドは?」
「私はポテトサラダです。」
「私はバーニャカウダですね。普段こんなに野菜主役で作ることも食べることもないので2つの意味で新鮮でした。」
「ははは、そうだろうな。俺のとこではたまに芋だらけになるけどな。」
「そういえば寄贈用の瓶は顧問の先生に預けておけば大丈夫?」
「ああ、学校から他の物資と一緒に送られるはずだ。」
「それなら明日持って行こうか。」
「ああ。初回からこれだけ上手く行くとは思ってなかっただろうから驚くだろうな。」
「俺も結構驚いたよ。オクラとか最初は結構間隔広くて植える数少なめだなって思ったら一株一株が俺の背丈くらいまで来てるし、想像の2倍はあった。」
「そうだよな。そして寒くなって枯れるまではまだまだ収穫できる。」
「将来庭付きの家に住めたら自分でも育てたいな。」
「…将来か。」
ふと真剣な顔つきに変わった。
俺もだが、エリオットは大きな決断が迫っているんだったな。
ダンテやリカルドも手が止まる。
「後2年以上あるから焦らずいこう。」
「家を出るのは決めているのか?」
「ああ。父からはまだ甘えてもいいと言われているが、それありきで考えるのはな。いざというときは頼ろうとは思っている。」
「そっか、こうして一緒にいられなくなってしまうのかな。」
「なんだ、大分先の話だろう。そんな寂しそうな顔するなって。ほら、次に何植えるかとか考えよう!」
エリオットにまたスイッチが入りそうだったので急いで話を逸らし、収穫祭も無事に終わった。




