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31.顧問

次の日。

早速今日から授業が始まる。

ひと月ほど基礎のおさらいをした後に試験があり、その後本格的な授業が始まる。


入学試験はないが、各節目毎の試験で所定の点数に満たなければ追い出されることになる。

即ゲームオーバーとなる要素だ。

ゲームでは放課後と週末の行動選択で勉強ばかりを選択すると攻略対象の好感度パラメータが上がらず、スチルイベントも発生しないためバランス良く選択しないといけなかった。


今の俺は上げるべき好感度も回収すべきスチルもないため、基本的に勉強に全振りする予定だ。



午前中の授業が終わり今はお昼休み。

リカルドが持ってきた昼食をエリオットと中庭のテラスで食べている。


「早速園芸部用の資材の見積もりができたんだ。」


「昨日の今日でか?流石に早いな。」


「作物毎の用土や肥料はほぼ配分が決まっているから、後はそれぞれ何株ずつにするかといった調整だけだ。」


「なるほどね、ずっと一緒にいたけど全然知らなかったなエリオットのそういうところ。」


「見直したか?」


「見直すも何も、今まで見損なったことはないからな。」


「そういう話じゃないだろ。」


男爵位を継ぐためにこんなに勉強してきたであろうエリオットが、すごく勿体無いと思う。

これは部外者の俺が勝手に感じていることなので本人には言わないが。

彼には彼自身が後悔しない道を選んでほしい。


「そういう話でいいんだ。それより、場所は決まってるのか?」


「ああ、学園のはずれの日当たりがいい場所があるんだ。先生がずっと園芸部用に確保していたらしい。」


「いい場所があるならよかった。」


「それと、部活という名目上取れた作物の一部はそのままか加工して施設とかに寄贈して活動実績を残す必要があるらしい。」


「そっか、加工ね。酢漬けとかなら作れる…かも。」


「…え?」


「そういえばカブもきゅうりもオクラもピーマンも酢漬けが美味しいよな。」


「…。」


「…ん?エリオット?」


「ああ、なんだっけ。」


「今回植える作物って全部酢漬け向いてるよねって話だよ。日持ちもするし寄贈するなら最適じゃないか。」


「そうだな、そうしよう。」



その後、午後の授業を終え俺はエリオットと園芸部の顧問に申請書の提出をするため会いに行った。

俺はまだ会っていないため顔を合わせも兼ねている。


初老の穏和そうな先生だった。


エリオットの渡した申請書を見てその資材の量と指示の細かさにとても驚いていた。

一見大雑把そうな大男がこんな丁寧な書類を書くのだから、人は見かけでは分からないものだ。

俺達が本気だということが伝わったようでとても喜んでいた。


手配にはひと月ほどかかるらしい。

ちょうど試験の時期なので、終わったタイミングで着手できそうだ。

それまではしばらく勉強に専念することにしよう。

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