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27.入学準備

狩猟祭は前年の失態もあり俺は留守番、兄が参加した。

狩りの許しも出なかった。


年末は仮病も通じず避寒地に行くことになったが、2年ぶりに再会した孫が成長期真っ只中の男だったため流石に女の子にならずに済んだ。

とはいえ寂しそうにしている祖父母も可哀想ではあるので兄に娘が生まれることを祈っている。



そうして、いよいよ学園入学、ゲーム開始の時期が近づいてきた。

俺は今リカルドと寮の下見に来ている。

間取りや設備を確認、家具の不足があれば買い足す必要があったからだ。

しかしさすが王族や貴族も入学する学園、貴族向けの部屋は王族向けのものと間違えたのかと思うほど豪華だった。

ゲーム内ではもう少し簡素な作りだった気がするが、ただの自室背景ということで簡素化されていたのかもしれない。

ここでの生活に慣れてしまうと独り立ちした後は大変だろうな…。

そこそこの生活を維持するためにも勉学に励まなければ。


「リカルド、どうだった。」


「さすが、設備も申し分ございません。」


「リカルドの部屋もすごかったな。」


「ええ、過大だと感じるほどです。」


「ダンテも驚くだろうな。」


「いいえ表情ひとつ変えることはないでしょう。」


ダンテの仏頂面を想像して笑ってしまった。


「あはは、最近はどんどん眉間の皺が深くなって硬貨が挟めそうだよな。」


「そうですね、ダンテ様も色々と大変みたいです。」


「そうなのか?騎士の過程はもう全て修了済みだろう。」


「ルシオ様は気になさらない方がよろしいかと。」


「なんだそれ、かえって気になるな。」


まあ、プライベートに関わることなら踏み込まない方がいいかもしれないと思いそれ以上は聞かなかった。


「リカルドは大変なことはないか。」


「ええ、日々充足しております。」


「そうか。」


カルロのおかげで素性は知れたが、リカルドからは特に何もない。

なぜ仕え続けるのか、将来はどうするのか、故郷に帰りたいとは思わないのか等本当は聞きたいことは沢山ある。

それこそ個人の繊細な問題のため踏み込むことはできずモヤモヤしている。

…俺ではなくても誰かに相談できていればいいんだが。


「これはなかなかですね。」


教材や制服などを取りに行っていたダンテが合流した。


「ダンテの部屋はこっちだ。」


「私にはこの半分でも広いくらいです。」


リカルドの予想通り表情は変わらなかった。

俺はそれを見てつい笑ってしまった。

そうするとダンテの眉間の皺が一層深くなった。


「ああごめん、悪気はなかったんだ。許してほしい。」


「いえ、怒っておりませんので。」


「そうか?じゃあこれはなんだ。」


ダンテの眉間の皺を指でほぐす。


「や、やめていただけないでしょうか…。」


目を背けて恥ずかしそうにしている。


「あはは、ダンテでもそんな顔するんだな。」


横で見ていたリカルドは自分の眉を両手指で寄せて皺を作っていた。

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