プロローグ
燃え盛る炎が村を飲み込み、木造の家屋が次々と音を立てて崩れていく。
空は赤く染まり、煙が厚く立ち込めていた。
「助けて……!誰か、お願い!」
「死にたくない……!」
村人たちの叫び声が辺りに響き渡る中、襲撃者たちは無慈悲に人々を蹴散らし、女や子どもを連れ去っていく。
(こんなときに、私は――)
そう思いながらも、体が動かない。全身に冷たい汗が流れ、足はまるで鉛のように重かった。
胸が押し潰されそうで、呼吸も苦しい。
「早く……動かなないと……!」
頭では分かっているのに、足が震えて一歩も踏み出せない。
心は叫び、叫び続けているのに。
そんなとき、ふと視線を感じた。
目の前には、涙でぐしゃぐしゃの小さな少女が立っていた。
細く震える手をこちらに伸ばし、必死に助けを求めている。
「お願い、助けて……」
けれど、私は足がすくんだままだった。
(ごめん……ごめん……)
襲撃者の腕に無理やり引きずられ、少女はあっという間に遠ざかっていった。
私はただ、その光景を見つめることしかできなかった。
――あの夜のことは、今でも鮮明に覚えている。
あの日、初めて味わった“恐怖”。
そして、自分がどれほど無力だったかを思い知った。
神血の英雄伝プロローグを読んでいただきありがとうございました。
私は文章を書くのが得意ではないので分かりにくい箇所も沢山あると思います。申し訳ありません( ՞߹ – ߹՞ )
まだまだ未熟者ですが暖かい目で見守ってくださると嬉しいです!