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第8話
次に目を開くと、アルコール殺菌の清潔な匂いと共に白い景色が目に入った。背中の温もりと体に被さる毛布から、僕は寝ていたのだと気づいた。
『・・・あ、起きた?』
カイザーが横から僕の顔を覗き込んでいる。
少し放心していると、開けますよ、と声がして、養護教諭のクルミ先生がカーテンから顔を覗かせた。ここは保健室だったらしい。
「気分はどうかしら、どこか痛くない?」
「えぇと、特には無い、です」
「そう、良かったわ」
『私、ナカジマ先生に知らせてきます』
カイザーが教室に向かっていってしまった。
「随分と寝てたようだけど、普段ちゃんと寝てる?」
「いや、それが・・・その、バディが届くと思ったら楽しみで眠れなくて」
「あら」
クルミ先生はクスリと笑って、
「じゃあ、良いバディを持ったわね」
「あはは・・・」
クルミ先生・・・そんな事無いんです。
一先ず僕は教室に帰ることにした。