あいしてるシンデレラ
風呂上がりの女の子が部屋に来るだと…大丈夫か僕の理性!勉強するんだぞ!信用してるからな!
風呂に入り、落ち着かずに待っているとシンデレラが来たので部屋に招き入れた。ノートや筆記用具などを持ってきてくれたようだ。可愛い寝巻き姿は破壊力抜群過ぎる!くっ…思った以上に強敵だ…ちょっと違う服装だけでここまで違うものなのか?リビングにある大きなテーブルで勉強を始める。
「何から始めましょうか?なにぶん、私も人に文字を教えるのが初めてで…」
石鹸の香りだろうか?甘い匂いが漂ってくる。何から教えてもらえば…そうだ。子供の頃のようにあいうえおから教えてもらおう。あ、あ、あの付く言葉…あい!これなら次のいまで覚えれる!
「あ…うんとね。じゃあ「あい」を教えてもらって良いかな?」
口に出してみて気付いた。何を言ってるんだ自分?なんか愛を教えてみたいじゃないか!
「あ、はい。「あ」こうやって書きます。「い」はこうやって書きます」
シンデレラが書いてくれた文字を自分もノートに書いてみて、横にあ、いと書く。こうやって覚えておけば何度も復習すれば習得できそうだ。ん?
恋愛運スキルが点滅してるな…今は勉強に集中して後で見よう。
「次はどうします?」
順番でいけば「うえ」が良いだろう。ん?恋愛運スキルが高速点滅しているぞ…今は勉強に集中して後で見よう。と思ったら勝手に画面が最大化された!
「次は「してる」を教えてもらって!」
え…何で…あ…あいの後にしてる…あいしてる…先生…課題が高レベル過ぎます…僕の今のレベルでは無理だと思います…それにシンデレラに気付かれたらオーバーキルになると思います…
「大丈夫!気付かないって!先生を信じて!」
本当でしょうか…
「あっ…じゃあ、次は「してる」を教えてもらえるかな?」
「え…はい。してるはこうやって書きます…」
少し俯き加減で文字を書いていくシンデレラ。先生!気付いてるっぽいんですが!
「気付いてないって!意識し過ぎだよ。次はシンデレラでいってみようか?」
あれ?先生?もしかして楽しんでます?「し」はさっきの「してる」で教えてもらったので、それはさすがにやばいと…
「ギリギリのドキドキ感を楽しもうよ?」
楽しもうよって言っちゃってますね…
「あの…次はシンデレラを教えてもらえる?」
「あ…えっと…その…」
頬を真っ赤に染めるシンデレラ。先生…うちらの負けです…ギリギリを踏み外しました…完璧に気付いてますよ?恋愛運ウインドウは最小化していった…先生…置いてけぼりですか?
「シンデレラはこうやって書きます…」
「あ…うん…なるほど…」
ぎこちない雰囲気が流れる中で文字の勉強は進んでいった。
「あまり夜遅くになるといけないから、今日はこの辺で終わりにしようか?」
「そうですね…じゃあまた続きは明日で」
「うん、ありがとうね」
シンデレラはノートや筆記用具をまとめて部屋を出ていこうとする。
「じゃあ、おやすみなさい」
「うん、おやすみなさい」
ふぅ…何とか乗り切った…大分、文字も教わる事もできたし…あれ?僕が書いていたノートも無いぞ…シンデレラが全部持っていたのか。困ったな。反復して書いて覚えようとしてたのに…と考えていたら、恋愛運スキルのウインドウがまた最大化した。
「さっきはごめん!あのさ。思ったんだけどシンデレラがノート持っていったのってもしかしたらあなたの書いた(あいしてるシンデレラ)をゆっくり眺めたかったからじゃない?きっとそう!」
えらく饒舌になってきましたね…そんな訳無いじゃないですか?たまたま全部持っていっただけですよ…
「可能性はゼロじゃなくない?一度、想像してみようよ。部屋に戻って嬉しそうに眺めてる姿を」
はぁ…想像してみますね。実際、イメージしてみるとシンデレラの事が凄くいじらしく感じて愛おしく思ってしまった…胸がキュンキュンすると同時にシンデレラのハートマークが15まで上がった。そういえば10の報酬を受け取ってなかったので入手するとまたガラスのブレスレットだった。
「効力とか調べてないな…どれどれ…」
シンデレラ専用アイテムです。防御力+1000。魔力を帯びた強力なガラスの防御壁を出せます。
「初期段階で結構、凄いアイテムなんじゃ…よし。明日にでもシンデレラにプレゼントしよう」
そう考えながら眠りについた。翌朝。朝食の片付け終わりにシンデレラに声を掛けた。
「これ…良かったらプレゼントなんだけど…勉強とか色々と教えてもらってるし…受け取ってくれる?」
「え…こんな綺麗で高そうなもの…本当に貰って良いんですか?」
「うん、是非。シンデレラにしか付けられない特別なものらしいし」
「私にしか…ありがとうございます!一生、大切にしますね!」
シンデレラは両手首にガラスのブレスレットを付けて、とても嬉しそうにしている。喜んでもらえて良かった。