EP70:福岡県の物型霊
東へと向かって福岡県に着いたセルキは「で、今回は?」と言うと、「今回は向かう方だ。太宰府市に向かってくれ。」とアビスが言うと、「太宰府?ってことは…福岡の物型霊は…」とセルキが言うと、「まあ、流石に分かっちまうか。とにかく、行くぞ。」とアビスが言ったので、セルキは太宰府市に向かった。
太宰府市に着いたセルキの前に美しい社がと門があり、その門の上に平安時代かそのあたりの時代に出てきそうな格好をしている幽霊がセルキの方をじっと見ていた。「あれが…が、学問の神…」とセルキが言うと、「ああ、彼が知っての通りの『菅原道真』公だ。気をつけろよ…どうやっても戦えねぇだろ?とか思うんじゃねえぞ。彼の攻撃方法は以外にも奇妙で多種多様だからな。」とアビスが言うと、突然セルキの目の前に『菅原道真』が現れた。
ーなっ!?いつの間に!?とセルキが驚いていると、「…君が、大仏様がおっしゃっていた瀬溜木・末干都裏衣君ですか…あなたは、全国各地にある水塊が変身した物型霊と私のように人類がなってしまった物型霊を全て根絶させようとしていることは、大仏様から聞いています。」と『菅原道真』が淡々というと、「話がわかってるんなら早えっすわ。あんたを破壊させてくれ。」とセルキが言うと、「ああ、話を知っているだけであって、私はあなたに破壊されるわけにはいきません。私にはやることがあるのですから。」と『菅原道真』は言った。
「やらなきゃいけねえこと?俺だってこれはやらなきゃいけねえことなんだ。あんたのやることなんざ知らねえ。俺ぁ一刻も早くあんたをぶっ倒さなきゃいけねえんだ。」とセルキが言うと、「ええ、ええ、わかっておりますとも。…ですが…私はね、藤原時平を祟らなければならないのです!死に至ったとて、私に濡れ衣を着せ、太宰府に左遷させたあの男のことは死んでもなお恨みは晴れずに私の中で渦巻いているのです!」と『菅原道真』の急に口調が変化したと思うと、『菅原道真』の周りに雷が集まり、『菅原道真』は先程までの面影は残らずに、化け物へと姿を変えた。
「ありゃ…天神だ!怨霊としての恨みや呪力と言った類の力は弱まってるはずだが…それでもこれだけの力がまだあったっていうのか!?」とアビスが驚いていると、『菅原道真』はセルキにめがけて電撃を放った。「がぁっ!」とセルキは直撃し、気絶した。そしてそのあとに「…出てきてください。闇を操る呪術を持つとされる『絶望の神』と呼ばれし彼の中に巣食うものよ。話しとうことがございますゆえ。」と『菅原道真』が言うと、アビスは「いいが…こいつの体だ。戦うんならあまり傷つけないでくれよ。」と言ってセルキの体を借りて現した。
「そのようなことはいたしません。ただ、私の問いに答えてもらうだけです。」「…断ったら?」「力づくにでも。」「勝てる算段は?」「勝てる見込みなしで答えるとお思いで?」「…まぁ、穏便に済ませれるんならそのほうがいいな。ただし、あんたの質問が終わり次第こっちも質問させてもらうぞ。」「私の問いに正直に答えてくださるのでしたら、構いませんよ。」と『菅原道真』とアビスは会話したあと『菅原道真』の質問が始まった。
「まず、なぜあなた方は冥世にいる全ての物型霊を倒すのです?その目的は?」「絶望神の力をぶっつけ本番で使っちまったせいで暴走しちまって、現世に絶望神の破壊の波動の影響が及んじまったんでな。それによって破壊された建造物を全て元に戻すために絶望神と希望神の歴史を繰り返すことで元に戻るんだ。だから、そのための布石というか下準備として物型霊を倒して回ってんだ。」
「なるほど。では次に、あなたが彼を依り代にした理由は?」「それは…あいつが五つん時だったか…彷徨ってるときによ、全てに絶望して復讐鬼となっちまって溢れ出してる闇の気配を感じたからな。何回も人を依代にしてきたが…こいつ以上に負の感情を持ってた人間を初めて見たからな。まあ、俺が見てねえだけでいるとは思うんだが。まあ、俺が見てきたやつんなかで一番闇の量が溢れていたからだな。そんな単純な理由なのさ。」
「…では、最後に。先程、彼があなたの力を暴走させたと言いましたが…神であるあなたが自分の力とはいえ、人一人を抑えることは容易のはずです。なぜそのようにしなかったのですか?」「……答えは『無理だった』だ。いくら神といえど、俺ぁ魂だけの存在だ。全盛期のような力は出せねえし、何よりも依り代もとい俺を中に抑える器だ。こいつが今みてぇに気絶でも何でもしてなけりゃこうやって出てこれねえし力も使えねえ。よって、暴走時は完全に気絶していなかった。だから、こいつを抑えることが無理だった。そんだけだ。」
「…そうですか。」と質問を終えた『菅原道真』が言うと、「この質疑応答は大仏にでも報告するか?」とアビスが言うと、「そうですね。そのために記録もしましたし。」「…出来れば、俺がくたばった後にしてくんねえかな。」「先程も言ったはずです。私にはやることがあると。」と『菅原道真』とアビスの会話が終わると、「じゃっ、次は俺の質問に答えてもらうぜ。」とアビスは言い、質問を始めた。
「まず、あんたがさっきから言ってるやらなきゃいけねえことは何だ?」「…私に濡れ衣を着せ、太宰府に左遷させた藤原時平を祟るために今は弱ってしまった私の中を巡る呪力を貯める旅に出て呪力をため、完全に時平を消滅させる…それが、私のやらなければならないことです。」
「それは…勝手にしてくれりゃいいけどな。次に、あんたはなぜ神と呼ばれているのにもかかわらず、神業会議的格間室に参加しなかった?あんたも十分に参加資格はあっただろ?」「…一度『神業会議的格間室』に参加したら冥世に戻れないのでしょう?あなたがた兄弟も参加しませんでしたし。それは、彷徨うという名の旅を出来なくなってしまうから。違いますか?」「まあ、違わねえけどな。俺もあいつも旅は好きだしな。」「そうでしょう?私も同じような理由です。それは、先程の答えとも繋がります。」
「なるほどな…で、最後だが…ここに来て思ったことだ。おめえ…福岡県の物型霊じゃねえのか?もしかして。」「…なぜそう思ったのでしょうか?」「質問を質問で返すなー!…ってこいつといるときは言うんだろうが、今は真面目な席だ。今までの人物いによる物型霊からはほのかに…亡霊とは違った生きた人間味臭い匂いがしたんだ。だが…あんたからはそんな匂いは感じねえ。普通の亡霊の匂いとそれと同じくらいの怨霊の匂いがしただけだ。怨霊の匂いで紛れてるだけと言うかもしれねえが、他のやつからは怨霊の匂いとは別に人間味の匂いも同時に感じたからな。あんたからそれを感じねえってことは…おめえは、福岡県の物型霊じゃねえって思ったんだよ。」「…匂いで判別できるのですか。そうです。私は、ここの物型霊ではありません。真の物型霊は太宰府天満宮です。」「…つまり、これを破壊すればいいんだな?」「ええ。そうなりますね。別に壊してもらって構いません。私からしたらここは仮住居ですので。それに私はこれから自分の元いた場所へ帰るので。」
「そうかい…おめえがそういうんなら別にいいが…なんで、物型霊と偽った?」とアビスが聞くと、「こうでもしないと、貴方方は私と面と向かって話さないでしょうし、貴方から聞けそうな情報も聞けないと考えてみた結果というだけです。」と『菅原道真』は答えた。
「…俺たちゃおめえの手の上で踊ってたのかよ…まあ、いいか。今まではセルキが破壊してたが、今回はこいつも気絶してることだし、今回は俺がぶっ壊してみるか久しぶりに。」とアビスが言うと、「でしたら、拝見しても?」と『菅原道真』が言うので、「別に構わねえが…地味でつまんねえぞ?」とアビスは言った。「そんなにですか?」と『菅原道真』が聞くと、「あまりにやりすぎるとここらへんの地形を壊しかねねえからな。」とアビスは言った。
そのあと、「じゃあ、いくぞ。…よっと。」とアビスが太宰府天満宮にちょんと触れた後、「うっし。これで終わりだ。」とアビスが言うと、「こ、これで終わりなので?まだ…壊れてないようですが?」と『菅原道真』が聞くと、「だから言ったろ?地味だって。じゃあ、俺は希望神から逃げながらセルキを起こさなきゃいけねえからな。じゃあな。」とアビスは言って去っていった。
「破壊していないのに…立ち去ってもよかっ…た…の…!?な、これは!?」と『菅原道真』が太宰府天満宮の方に再び目をやると、先程までそこにあったはずの太宰府天満宮が核もろとも塵一つ残さずに消えていった。
「あ、跡形もなく消え去っている!?それに…ふ、深く陥没してもいる…少し触れただけで…この威力…『やりすぎるとここらへんの地形を破壊してしまう』…恐ろしい神様ですね…絶望の神。敵にならなくて良かったです…さて、待っていなさい藤原時平の子孫よ。恨むのであれば、貴方がたの祖を恨むことです!」と『菅原道真』が言っていた時に「あ、あなたは?新たな亡霊か何かですか?」とゴーキンが言った。
「君は…ああ、瀬溜木・末干都裏衣が言っていた光を操りし希望の神をその身に宿す子ですか。」と『菅原道真』が言うと、「せ、セルキを知っているんですか!?あいつは…今どっちに行きましたか!?」と剣道が言うと、「彼なら…東へ向かっていきましたよ。」と『菅原道真』が言うと、ゴーキンたちは向かっていった。「…さて、行きますか!」と『菅原道真』は京の都へと向かっていった。
「おい、セルキ!そろそろ起きろ!セルキ!」とアビスがセルキを起こしたときにはすでに別の場所にいた。「うーーーん…はっ!そうだ!『菅原道真』は!?」とセルキが言うと、「安心しろ。俺が物型霊を破壊したからな。」とアビスが言うと、「そうだったのか…すまねえな。で、ここは?もう福岡じゃねえのか?」とセルキが言うと、「ああ、ここは…山口だ。」とアビスは答えた。




