EP67:覚悟できてるものvs覚悟できていないもの
鹿児島県:種子島。宮崎のときに多少追いつかれた気はするが、今回に関しては完全に一筋縄では出し抜くことができない状況にセルキはなっていた。「セルk…」とゴーキンが言おうとしたときに、「セルキ・マッカントリー。抵抗して抜け出してしまったあなたをここで拘束します。大人しくしてくれますか?」と剣道が言うと、「それは、ぜってぇにいやなもんだぜ剣道。俺にはやることがあるんだからな。そっちこそ、大人しく東京に戻りやがれ。でねぇと…俺は、てめえらを傷つけることをしなきゃなんなくなっちまう。」とセルキは言った。
「あなたにそんなことが出来るはずがないでしょう。俺達を今までそういうことをすることができなかったあなたが。それでも嫌だというのなら力づくでもあなたを連れていきます。」と剣道は言いながらー本当はハッタリです。セルキ…大人しく一緒に帰りましょう。と思っていた。「だからよぉ…嫌だつってんだろ?てめえらこそ、大人しくどきやがれ。俺が逃げようとしたときに『天地回帰』使おうと待機してる魔導、てめえもだ。じゃねえと…まじでぶっ殺すぞ。」とセルキは脅しをかけた。
そのセルキの眼は今までゴーキンたちが見てきた眼とは違っていた。今まで現世でも、冥世でも自分たちに対して見せず、敵対する者たちにだけ見せていた許さねえというような眼をセルキは自分たちに対して向けているのだ。剣道は冷や汗を垂らし、大川は怯え、魔導は目を見開いている中で、たったひとりゴーキンだけは表情・態度・雰囲気を一切変えることなく「ならセルキ、教えてくれないか?お前が何をしようとしてるのか?それだけ聞くのはいいだろ?」とゴーキンは聞いてきた。
「…悪ぃが、今は答えることができねえな。まだ、準備が終わってねえんだ。準備が終わるまで俺からてめえに話すことは何もねえ。……というか、希望神から、何も聞いてねえのか?てめえは。」とセルキが言うと、「…何も聞かされてないよ。宮崎のときのあの女性との会話と、お前を助ける方法は聞いたけど、それだけじゃ何もわからないんだ。セルキ、お前はなんで各県に残ってる亡霊たちを倒しているんだ。亡霊神は倒して、お前も今は何の以上も見られない。それなのに、なんでこんなことを?」とゴーキンが聞くと、「俺は…あん時、暴走しちまった時に現世に及ぼしちまった影響ひいては俺の〈罪〉を償うために俺はこれをしてるんだ。」とセルキは答えた。
「…罪って何なの?セルキ君、君は何も罪なんて…」と大川が言うと、「てめえらには何もわかんねえだろうな。そりゃそうだ。あん時、俺が暴走した時に現世の建物にも絶望神による破壊が小規模とはいえ出ちまったんだ。そんなとき、俺は少なからず罪の意識を持っちまってんだよ。その償いは…俺の死。それ以外に何もねえんだよ。」とセルキは言った。
「じゃあ何で、他の亡霊を倒す理由になるんだよ。」とゴーキンが言うと、「それは…てめえの聞いてんじゃねえのか?ゴーキン。」とセルキが言うと、「…何のことだよ?俺は、何も知らねえんだ。」とゴーキンは言った。
「…なら、俺がこうする理由はまだすべてを明かすことは出来ねえな。てめえが何も聞かされてねえんなら。…俺は、これ以上てめえらに話すことは何もねえんだよ。てめえら、そこをどけ。どかねえんなら…さっき言った通りだ。てめえらを傷つけてでも俺は計画を進む。」とセルキは『邪舞:黒炎邪剣』を構えながら絶望神の模様をつけた。
「セルキ!おめえ、仲間に絶望神を使うのか!?」とアビスが言うと、「”かつて”のな。今は俺達の計画を阻止して俺を連れ戻そうとする敵だ。それにこいつらには絶望神の片鱗を味わってもらわねえとな。」とセルキは言った。
ゴーキンたちは今まで見たことのない邪悪な力とオーラを放つセルキを見て恐れていた。そんな中で「あれは…まさか、絶望神の!?彼はこの短期間の間にあそこまで…」とホーパーが言うと、「希望神、少しだけの時間俺に力を貸してくれませんか?セルキは本気です。だからこっちも本気で止めなければなりません。だから…」とゴーキンが言うと、「まあ、それしかないですよね…いいですよ。ですが、無理はないように。」とホーパーは言って、ゴーキンから光が溢れ出した。
「来たか。あれが、ゴーキンの中にいるアビスの弟の力か!」とセルキは言って、ゴーキンたちに突っ込んだ。「来ましたよ!魔導君!」と剣道が言うと、魔導は『魔氷:氷壁』でセルキを閉じ込めるも、「んな小細工はよぉ…効かねえんだよ!魔導!」とセルキは言って『黒炎邪剣』で氷壁を破り、剣道と剣を交えた。セルキの黒炎に対して、剣道も炎を刀に込めて応対していた。「セルキ…あんたは一体何がしてぇんだ!?なんで俺達に何も言わずに一人で勝手にこんなことをするんだ!そんなに俺達のことが信用できねえのか!?俺達に対する友情は、信頼はそんなにもなかったって言いてぇのか!俺は、今、猛烈に怒りが収まらねえんだよ!セルキ!」と剣道の怒りに呼応するように烏丸から発せられる炎の熱量が上がり、セルキが押され気味になっていた。
「…『盗剣:陽炎獄滅弾』!ちったぁ焼かれて反省しろぉ!」と剣道が思いっきりセルキに向かって刀を振るも、セルキが「待ってたぜこうなることを」と言わんばかりに徐ろに笑みを浮かべながら左手を突き出していることに剣道は何かはわからずとも、恐れて一歩引いた。「ちぇっ、せっかく亡霊神みてえに何も出来なくしようと思ったのによ。」とセルキが呟いている一方で、剣道は落ち着きを取り戻していた。いや、というよりかは、怒りよりも恐れの感情が勝ってしまい、怒りが引いていったのほうが正しいのだろうか。剣道からは恐怖に滲んだ顔と多量の汗が流れていた。ーあ、危なかった。恐らく、あそこでそのまま振り下ろしていれば、烏丸の力はきっと…そうなれば俺は、レイ・グランティナスと同じように…何も出来なくなっていた。
そのあとセルキは動かなくなってしまった剣道の足を浅く斬り、「動かねえんだったら、ここで少し大人しくしててもらうぞ。」とセルキは言った。その様子を遠くから見ていた大川はガタガタと震えて何も出来ない状態になっており、その横で魔導は『天地回帰』を出して遠くから『魔炎:火炎球』を巨大にした『火炎砲』を打ち出すも、セルキの『仏断斬流』で斬られ、『天地回帰』に向かってセルキは突撃してきた。魔導は、『天地回帰』で攻撃するも、セルキは尽く回避して「こいつぁ所詮、土の塊だ!斬ろうと思えば、簡単に斬らちまうんだよ!『仏断斬流』!」と『天地回帰』を袈裟斬りで破壊した。
「…あとはてめえだけだぞ、ゴーキン。」とセルキはゴーキンの方を向くが、「だがな、てめえとは今は殺りあいたくはねえんだよなぁ。」とセルキが言うと、「じゃあ、どこでやればいいんだ?俺は…お前をどうすればいいんだ?セルキ、やっぱり…」とゴーキンが言うと、「希望神に言われたのか?俺を倒せって。それが、てめえがやるべきことなんだよ。敵。」とセルキが言うと、ゴーキンはやっぱりという思いと、そうであってほしくなかった思いが混じった顔をした。
「場所は…黙って俺を追いかけるんだったらわかるはずだ。というかよぉ、ゴーキン。てめえは、俺を倒す…いや、殺すことに躊躇してねえよな?俺と戦って殺す覚悟は…出来てんだから俺を追いかけてるんだよな?」とセルキが言うも、ゴーキンは何も返せなかった。「…はぁ、俺ぁもう行くぞ。覚悟できてねえやつが、俺を止めるなんて言ってんじゃねえぞ。俺を殺す。それしかてめえに出来ることはねえんだよ。他の方法とかは考えんじゃねえ。」とセルキが言って飛び去ろうとすると、「…待て、セルキ・マッカントリー。」と剣道が言った。
「あ?何だよ、剣道。」とセルキが言うと、「あんたは…雪さんに会いたいとは思わないのか!向こうで!誰よりも!あんたの帰りを待っている人だ!その人をあんたは!一人にする気か!」と剣道が激昂すると、「剣道てめぇ、雪の名前出しゃ俺が止まると思ったか?俺が現世に与えた影響は、俺達が思ってるよりも凄まじいんだよ…悪いが、これが俺の今の覚悟だ。」とセルキが飛び去った。
「……魔導君!『天地回帰』の修復にはどれくらいかかります!?」と剣道が言うと、「もう少しで終わる。」と魔導が答え、「なら、使えるようになったら大川君といっしょにセルキを追いかけて!俺も足が治ったら行く!」と剣道が言うと、魔導は頷き、大川もまだ怖がりながらも頷いた。
「…ゴーキン・リカマラ。」とホーパーもなんと言えばいいのかわからずにいた。「セルキ…お前は、本当にこれで良かったのか?」とゴーキンは悲しみながら呟いた。
「雪さんを一人にする気か!」とセルキの頭の中では剣道のその一言が渦巻いていた。「…今更、んなことでうだうだ言ってられねえよ。俺は…この道を進むしかねえんだ。」とセルキは呟いたあと、「アビス、次はどこなんだ?」と聞くと、「次は…長崎だ。」とアビスは言った。




