EP53:岐阜県の物型霊
北へと向かい、岐阜県にたどり着いたセルキは「で、今回は?」といつも通り聞いてきたので、「ああ、今日はこっちが向かう方だ。白川村荻町まで行ってくれ。」とアビスは言ってきた。セルキは言われた通り岐阜県白川村荻町に向かっていった。
何度も迷いながらセルキはなんとかたどり着いた。「ったく、村とか言われても、ほとんどおんなじ景色だったからかなり迷っちまったぜ…」とセルキは声を漏らした。すると、なにか白いものが飛んできてセルキは直撃した。
「な、何だよこれ!?……これは、雪か?」とセルキは言いながら前を向くと、そこには同じような屋根をした建物がいくつもとめどなく並んでいて、その上には雪がどっしりと積まれていた。よく見ると、セルキの近くにあるその建物には雪が積まれていなかった。
セルキが一歩踏み出すと、近くにあった違うその建物がセルキに向かって投げてきた。「なんじゃこりゃ!って言ってみたが、これ『白川郷』だよな?よく雪が積もるって聞いてたが、冥世にあるもんたちは近づいてきたやつに雪をぶん投げてくるのか?」とセルキが聞くと、「ああ、そういうことだ。あと、岐阜県の物型霊は『白川郷』一帯だからな。名前は、『スノウカントリーサイド』…雪田舎ってことだな。」とアビスは答えた。
「…雪田舎って、北の方にいきゃめっちゃあるよな?」とセルキが言うと、「まあ、言ってやんな。」とアビスは苦笑いをしていながら言った。
「じゃあとりあえず、あの雪を全部投げさせてから討伐にかかるかな…。……てか、こいつらどんだけいるだ?まじで見えねえんだけど。」とセルキが言うと、「ああ、一昔前だけでも110軒ぐらいあったんだけどな…どんくらいあるんだろな。」とアビスは言った。
「は!?一昔とはいえ110!?こりゃ、結構増えてても文句は言えねえな…とりあえず雪落とすか。」とセルキは言って、『スノウカントリーサイド』の周りを飛び回りながら雪を落とさせていった。セルキは投げられた雪がかからないように近づいた判定になり投げられると思った瞬間に遠くへと離れるを徹底していた。ただそれでも、密集しているところでは離れたと思っても他の屋根が雪を投げてくるのですべての雪を避けることができずにかかって落ちてしまいそうになることが多々あった。
そんなことをしているうちにもゴーキンたちはセルキへと近づいていることをわかっているセルキは、スピードを上げて屋根の近くまで行き雪を投げてもらうことを繰り返した。数分してなんとかほぼ全ての屋根から雪を取り除いた。
「なあ、セルキ。なんで一軒二軒の雪を残してんだ?」とアビスが聞くと、「ああ、あいつらはゴーキンたち用だ。ちょっくら足止めしてもらいてえからな。」とセルキは言った。「だがな…俺達はすべての物型霊を破壊する必要があるんだぞ?あいつらがそう壊すとは思えねえけどな。」とアビスが言うと、「ああ、だからこれだ。」とセルキは言いながら、『邪舞:黒炎邪剣』を出した。
「こいつの炎をほんの少し残りの奴らにつけんだよ。ああ、近づいた判定にならねえギリギリのところから着火するから大丈夫だろうけど、まあ最悪のことを考えて火の粉を飛ばすようにするけどな。」とセルキは言った。そして、セルキは言ったとおりに残りの『スノウカントリーサイド』に気づかれないように火の粉を飛ばして飛び去っていった。
それから少ししてゴーキンたちがやってきた。大川がいつも通り風の音を聞き分けて「セルキは西に向かったよ!」と言ったので、ゴーキンたちはいつも通り向かおうとしたが、いつもならセルキがいた場所にはなにもないはずなのに、今回は家が残っていた。
不思議そうにゴーキンたちが近づくと、一軒がゴーキンたちに向かって雪を投げてきた。ゴーキンと剣道は冷静に避けて、魔導は驚いた大川を『魔水:大滝』でゴーキンと剣道の方に寄せるように運んで避けさせた。そして、ゴーキンたちが戦闘態勢に入ったところでその一軒に変化があった。それは、セルキが『邪舞:黒炎邪剣』を使って放った火の粉が目に見えるくらいまで燃え広がっていたからである。
剣道は『盗剣:清龍水』で消火したが、その一軒は跡形もなく燃え尽きてしまっていたあとだった。その様子を見ていたもう一軒が、『…立チ…去レ 他所者ヨ…』とゴーキンたちの脳内に直接語りかけてきた。ゴーキンたちが困惑しているとまた『私ダ…今、貴様ラノ前ニイルダロウ…』と語りかけてきたのでゴーキンたちは驚いていた。
「あ、あなたが話しかけてきているのか?」とゴーキンが聞くと、『アア、そうだ。』と答えた。「なあ、ここに鎌かなにか黒い炎をまとった剣を持った男が来たか?」と剣道が聞くと、『アア、先程来タナ…来テ少シ様子ヲ見テイタラ、仲間ヲほぼ全テ壊シソノ後二先程貴様ラヲ攻撃シタモノト私二これをつけたアトニ飛ビ去ッテイキオッタ。』と火の粉を見せて言った。
続けて『アヤツハ…貴様ラノ仲間カ?」と聞いてきたので、「あいつは仲間だが…訳ありであいつを捕まえなきゃいけないんだ。」とゴーキンが答えた。『ソウカ…ナラ、あ奴ヲ止メテクレ。私は…モウ長クハナイ。同胞ノ敵ヲ…。」といいながら最後の一軒は燃えて消えていった。
その光景を見て「ゴーキン…もうセルキを捕まえるだけじゃ済まないぞ。」と剣道が言うと、「うん…でも、それでも、あいつは俺達の仲間であり友達だ。説得はしてみるつもりだ。」とゴーキンは言った。「…まあ、君がそう言うなら止めないよ。今、このチームのリーダーは君だからな。」と剣道は少し腑に落ちないように言った。
「とにかく、今はセルキを追いかけよう。あいつには説明してもらいたいこともあるから。」とゴーキンが言うとみんなは頷き、大川が言った通り西の方へと向かっていった。
一方で同時刻、「お、あいつらは燃え尽きたようだな。」とセルキが言うと、「そうか、結構持ったほうじゃねえのか?」とアビスが聞いてきたので、「ああ。まあ、大きさが大きさだからな燃え広がるまでに時間がかかったんだろうな。」とセルキが言った。
「そうなるように残してたんだろおめえは。」とアビスが言うと、「まっそうなんだけどよ。」とセルキは言った。「で、次はどこだ?」とセルキが言うと、「話変わりすぎ…まあいいか。次は滋賀だ。」とアビスは言った。
スノウカントリーサイドの特性:特になし。冬のときは雪が積もるので、積もった雪を近づいた人に投げる。




