EP46:茨城県の物型霊
セルキは南東へと飛んで、茨城県に着いた。セルキはしばらく立ち尽くして、アビスからどの市に行けという指示を待っていたが、一向に来なかったので、「なあ、絶望神。いつになったらどこに行けばいいって指示出すんだよ?」としびれを切らしたセルキが聞くと、「ああ、そろそろ向こうから来るから、待ってろ。」とアビスから言われたので、もう少し待っていると、むこうから何やらネバネバした物がやってきた。
それは、藁に包まれた中から出ていて、なにか丸っこいものの間にそのネバネバしたものを伸ばしながら、這うように近づいてきた。
「な、なあ。これってよぉ…納豆だよな?」とセルキが聞くと、「ああ、そうだ。名前はロットビーンズっつうがな。」とアビスが答えた。
ーロットビーンズ…腐っている豆か。でも、それが美味いんだけどなぁ。にしても…で、でかすぎんだろ…。とセルキは思っていた。ロットビーンズの大きさは、Giant Ghostよりも一回り小さいほどで、それでもかなりでかい。こんな相手はGG以来だったので、セルキは大丈夫かと感じていた。
ーとりあえず、こいつの拠り所から探していくか…って思ったけど、どう考えてもあの藁だよなぁ…とセルキは考えていた。
拠り所らしき藁にセルキは向かおうとした。が、そこに行くまでには普通、納豆の豆粒一つ一つとあのネバネバをかいくぐっていかないといけない。そう、普通は。
セルキは飛ぶことが出来る。もちろん、セルキも分かっているので、セルキは飛ぼうとしたが、足が上がらない。下を見てみると、ロットビーンズのネバネバがすでに足元まで広がっていた。これでは、足が上がらず、飛ぶことも当然できない。歩く手段は匍匐前進か、足摺だ。
匍匐前進はすでに却下した。それもそうだ。這って進めば、全身にネバネバが纏わりつき、もう二度と立ち上がることは出来ないだろう。なので、セルキは足摺で少しづつ進んでいった。
「動きづれぇなぁ…。」とセルキは苛立ちながらも仕方無しに進んでいくと、少しづつ自分に近づいてくるセルキに気づいたロットビーンズは、藁の中から更に納豆を出して、セルキに直撃させようと放ってきた。
「ちっ、動きづれえから当たっちまうな…燃やしてみるか…『邪舞:黒炎邪剣』!」とセルキは黒炎邪剣を出して、ちょうど向かってきた納豆を燃やしてみると、その炎がネバネバを伝って、次々と納豆が燃えていった。それを見たセルキは、ニヤリと笑い、足元に絡まっているネバネバを燃やした。
そして、セルキはとうとう空を飛ぶことが出来、一気にロットビーンズへ近づいていった。ロットビーンズは、それでも納豆をセルキの方へと飛ばしていった。が、攻略法を見つけたセルキは、納豆をすべて燃やしていき、気がつけば、ロットビーンズの目の前までやってきた。
「じゃあな、燃えやがれ!」とセルキは黒炎邪剣を振り下ろし、藁を燃やした。その時、ロットビーンズは納豆をすべて外へ出した。その行動にー何してんだ?とセルキは思ったが、そう思っているうちに、藁はすべて燃え上がった。
これで終わったと思っていたセルキだが、何者かに殴られた。しかも、殴られたところにはネバネバがついていた。振り返ると、そこには先程藁から出てきた納豆の粒たちが重なり合って、一つの巨大な人の形をした何かになっていた。
「おいおい…まさか、これ全部やんなきゃいけねえのかよ…。」とセルキは少し引きながらそう言った。ーけどまあ、攻略法は分かってるし、そこまで苦戦はしないだろう。とセルキは高をくくって『黒炎邪剣』をうつが、ロットビーンズには全く効いていないように見えている。それどころか、その炎がロットビーンズの拳あたりのところに行き、炎の拳が出来上がってしまう始末になった。
「おいおいおいおいおいおいおいおい!マジかよぉ…これでいけると思ったのによお。」とセルキは悲しげに言うが、セルキはすぐに目の色を変えた。そう、セルキは3度目の絶望神の力を開放したのだ。
ロットビーンズは少し恐れたが、一度バラバラになり、セルキを包むかのように周りを囲んだ。そして、セルキを閉じ込めた。
「そっちから来てくれるんなら都合がいい。触れて無力化してやるよ!」とセルキは言い、ロットビーンズに触れようとするが、ロットビーンズから出てきたネバネバがそれを止めた。セルキはそれに触れるが、ロットビーンズの能力であろうネバネバが消えない。つまり、このネバネバはロットビーンズの身体部分ではないと言うことだ。
セルキは納豆の粒部分に触れようとするが、触れようとした部分がうまいこと避けている。更に、狭いので『黒炎邪剣』を振ることも出来ないので、セルキは困り果てていた。
「くそっ…どうこうしようにも『黒炎邪剣』は振れねえし、触れようにも避けてきやがる。それでいて、球体状態は崩さねえままだ。更に、めんどくせえのは、ネバネバが常に付いてるから無理に動くことも出来ねえ。どうすりゃいいんだよこれは…」とセルキはイライラした顔で言った。
「ならよぉ…一点突破出来るやつはねえのか?例えば…『極舞:百手怨弾撃』とかよ。」とアビスが助言してきた。「いけっかなぁ…」とセルキは疑心暗鬼になりながら『百手怨弾撃』を使うと、百手はロットビーンズのネバネバをメキメキとネバネバじゃ聞かないような音を出しながら徐々に突破していって、ついには球体状態を崩壊させた。
そして、セルキはロットビーンズが人の形に戻る前に『仏断斬流』を使ってほぼ全ての納豆の粒を一刀両断して破壊した。1個だけ残った粒が体からネバネバを必死に出そうとするが、セルキが近づいてきて恐れるかのように身を震わせた。
そうしているうちに、セルキが近づいてきて、そのままセルキによってその最後の一粒も破壊されていった。そして、セルキは飛んでいった。
その20秒後、遠くから炎が立ち上がるのを見ていたゴーキンたちが着くと、そこは炎のあとだけが残っていた。大川はまた風の音を聞き、セルキは南に向かっていることを伝え、全員で南へと向かった。
「なあ、ほんとにこっちで合ってるのか?目的と、その目的を果たすための場所からは遠のいているような気がするんだけど?」とセルキが言うと、「大丈夫だ、目的からは逸れてねえ。いま、全国の物型霊を倒してるのも目的の下準備に過ぎねえ。」とアビスは言った。
「下準備?結構長そうだが、なんでこれをする必要があるんだ?」とセルキが聞くと、「全部零の状態にする。物型霊は、これまでの日本の時代の流れや文化の発展で犠牲になっちまった人たちの魂の拠り所だ。その拠り所すらも破壊していかなきゃ零の状態にはならねえ。目的を果たすための舞台づくりを今俺達はやってんだ。」とアビスは言った。
「……あ、そういうことかよ。」とセルキは言い、「で、次は方向的に千葉か?」とセルキが言うと、「ああ。」とアビスは答えた。
ロットビーンズの特性:納豆のようにネバネバを出してそれを自分の周囲30mにネバネバをばらまいて足止め等をするだけではなく、藁を拠り所だと思わせて、真の拠り所である納豆一粒一粒を飛ばして生き長らえることも可能。そして、その一粒一粒がネバネバを通じて合体し、形態を変化させながら戦うことが可能となる。




