EP3:この苦戦は何かの予兆
一週間が経ち、彼等はすっかりこの仕事に慣れた。はじめこそ辛いところはあったが慣れてしまえばなんてことなかった。そんなとき、彼等の次の任務が決まった。「次に君達に倒してもらいたいのは『GG』と呼ばれる個体だ。アルバン、説明を」とアルバンが説明を始めた。「この個体は体長が長く、遠くからでもわかるくらい大きいです。その分、スピードは遅いですが、巨体なのでパワーと破壊力はかなりあります。今まで通りの方法だと厳しいです。心してかかってください。」と言い、五人は任務を始めた。
委員会を出ると、それらしきものが遠くから見えた。遠くに見えてもとても大きいので早速向かった。近くまで行ってみると、体長は55mはあると思う。しかし、長くは観察できなかった。GGが此方に気づくと急に襲ってきた。確かに、スピードは無い。が、避けたあとのところを見ると、少し大きめの穴が開いていた。GGは攻撃をするたびに「トウサ…ン……ニク…イ……センセ……イ…ドウ…シテ………ボク…ヲ…ワタシヲ…!」など複数人の恨みの声が聞こえる。おそらく、恨みの集合体だろう。魔導は『魔炎:火炎球』を放ってみるが、全くと言っていいほど効いていない。
ー今までの亡霊なら効いていたのに…もしかして恨みの数や重さであいつらのステータスみたいなのが変わるのか?と思い、他の四人を集めて説明した。
説明を聞いたあとに、「そりゃ厄介だな。大川、あいつの核の位置は?」とセルキが大川に聞くと、「あいつの核は脳の辺りだけど、大きさは普通の亡霊と同じ大きさなんだ。体が大きいから核はとても小さく感じてしまう。狙って攻撃することはできないと思う。」それを聞いた途端、皆耳を疑った。
今までの奴らに比べて遥かに大きいのに対し、核の大きさは普通のと変わらない?そうだとすると、厄介や苦戦どころじゃない。しかも、こいつがあと10体もいるというのだから、非常にまずいことだ。が、そうは言ってはいれないのでとりあえず、セルキ、ゴーキン、剣道の近接軍が核まで行って、魔導は援護といういつもの形で挑んだ。無論、大川は核の位置を教えるとそれでおしまい。だが、大川は一人で技の習得を試みていた。
一方で三人は核の位置に辿り着いたが小さくてなかなか当たらない。それどころかまたパンチが飛んできて、ゴーキンがそれを受け止めようとするが、弾かれて地面に叩き落されてしまった。
もちろん、セルキと剣道も苦戦しているのが目に見える。
「まずいな。このままじゃ今日一体も倒せなくなっちまう!」「でもだからと言って慌てたら慌てたでもっと不利になるかもしれない」「じゃあどうするってんだよ!」セルキと剣道が言い争う。その声は下にまで響いた。確かにそうだ。早く倒そうと焦ってもやられてしまったら意味はない。そのことは皆分かっている。でも今は焦らないといけないのも分かる。
そんな中、大川は技の習得を試みていたが、やはり使えない。それどころか兆しすら見えなかった。それでも大川は諦めなかった。
ー皆やられてるけど、皆戦っているんだ。それなのにそんな中でおいらは見ることしかできない。おいらも皆の役に立ちたい。と大川は思いながらボンゴを叩いていた時、突然光り始めた。おそらくこれが技の兆しなのだろう。大川はどのリズムに反応したのか丁寧に叩くと、”ポポン”の音に反応があった。この音を四回鳴らしてみると、GGが急にひざまずいた。すると魔導の魔法も効くようになった。上の方では剣道が飛んできたパンチをくらうも先程よりは効かなくなった。
セルキが「下の方で音があった。大川がやってくれたんだ。」と言った。好機と捉え一気に畳み掛けた。大川もGGに必死で弱体をかける。『付加曲:弱体化』。この技は重ねがけすることができるらしく使い続けるが、体には負荷がかかり、途中で限界を迎えた。それでも段々と攻撃が入るようになってきてようやく核のところまで来た。最後はセルキと復帰したゴーキン、剣道が核を破壊して倒した。
結局この日は3体倒した。報告をすると、3体でも十分だと言われ、安堵して寮へ戻った。
戻ったのを見送ると福田は「大川は諦めずに技を習得しようとした結果、ついに技を習得したか」と喜んだ後に神田に「あの二人の中に眠る者の解析はできたか?」と聞くと、神田は「やはり私達の思っていたとおりね」と答えた。
「絶奇の二神か。覚醒したらとんでもねえぞ福田」と中田が言うと、ネフェリが「大丈夫だよ中田。すでに拘束用コテージはできてる」と言った。
福田は「いずれにしてもそれを止めるのは我々ではない。もう片方だ。それよりも、そろそろ『零』が動き出す頃だ。あの子達には気張ってもらわないとな」と議題は『零』の話になった。
一方で此処は千代田区のどこかの地下。そこで何者かが話している。「Giantが今日だけで3体やられた。そろそろ俺達が行ってもよろしいんじゃないんでしょうか?我らが亡霊神レイ様。」と額にNo5と書かれた者が言った。「構わない。私の目的を妨げる死神たちは大抵君達が晴らしたい存在。死なないように頑張ってくれ」と玉座らしきところに座る一人の男が言った。
GG:「Giant Ghost」の略。とにかくでかく、体長は55〜70m。
付加曲:弱体化 読み方は「エンチャミュージック:ダウンポイント」。重ねがけ可能なデバフ技。
発動条件は右右左の順番で4回ボンゴを叩くこと。
魔炎:火炎球 魔導の技の一つ。そこそこ高火力の火の玉を放って攻撃する。