EP38:現冥:零(リセット)計画、始動 後編
セルキは与えられた時間の中で必死になって考えた。残りの人たち全員を反対派に持っていく主張を。少し時間が経って、レイは「そろそろ時間だよ、セルキ・マッカントリー。さあ、君の意見を聞かせてくれ」と言ってきた。するとセルキはレイに「なあ、お前は何時から亡霊神になったんだ?」と聞いた。レイは少し唖然としたあとに「私がこうなったのは1866年の9月あたりになる。」とレイは自分の過去を話し始めた。
「私は、ヨーロッパに支配されて搾取され続けていた国に生まれてきた。家は昔から貧乏で、両親は必死になって働いた。それでももらえるのはほんのわずか。だから、私のような子供でも働いていた。私もそうだった。そのせいで学校にも行けず、ただひたすらに毎日仕事、仕事、仕事、仕事…休む日まなんてなかった。家に帰れるのは夜遅く、食べ物はほんの少しの穀物とドブ川で汲んできた水。更には食べ物をめぐっての争いなんて当たり前の世の中だった。そんな中で私は11歳のときに食べ物を奪われ、抵抗した両親は殺され、一人残った私は時の流れに身をまかせてそのままお腹を空かせて死んでしまった。」と語った。
すると、賛成派の人々はもちろんのこと、悩んでいる人々の一部も涙を流した。続けてレイは「私は死ぬときに思ったのだ、『私が、私達家族がこうなってしまったのは、支配をする者たちがいるこの世界そのものなのだ』と。そして、その思いは死んだあとも忘れきれずに私は亡霊になった。その後私は徐々に計画を進めていった。そして、1946年の第二次世界大戦後に大量の亡霊が生まれたこと、そして、その中で一段現世への恨む事が強かった私が全員の指導者になり、やがて冥界を支配する亡霊神へとなった。そして、とうとう私は計画を実行に移した。そして今このときがある。…だが、セルキ・マッカントリー、急にどうしてこのような質問をしたのか?」と聞いた。
セルキは「いやな、ただおめえがこんな世界規模の計画はできていても、世界の仕組みに関しては勉強する前の子供と同じくらいの頭だったということだな。」と言うとレイは「私が、だと?」と言った。
セルキは「レイ・グランティナスと悩んでいる野郎ども、おめえらがこいつの考えに乗っちまったら不幸な暮らしになっていっちまうんだよ!」と言うとレイは「君は何を言っているんだ?私の理想郷は不幸になっていくだと?」と少しキレ気味になってきた。
セルキは「ああそうだよ、おめえはどうせ『税金』だとか、『年金』だとか知らねえんだろうがよ」と言うとレイは「『税金』は知っている。歴史の中ではそのような言葉はいつの時代も聞く言葉だ。私の理想郷ではそんな搾取するだけのものは排除されるのだ。」と言うとセルキは「わーってねえな。いいか、悩んでいる野郎ども確かに搾取されるものかもしれねえ。けどな、そのおかげで俺たちは環境や公共施設の衛生管理が良くなって、俺たちの生活が快適になってんだよ。もし、こいつが排除されたら不衛生になって汚え環境で生活しちまうことになるんだよ」と言うと人々はあっと急に気づいたかのような反応をした。
セルキは続けて「年金だってそうだ。俺たちが税金などを払ってっから老後に平和に過ごせるんだよ。お前ら…とくに若え野郎ども、未来ではおめえらは年金を守らねえから働かなきゃなんなくなっちまうんだよ。それでもいいのかよ?」と言うと若年層が一気に反対派になった。それでも、まだ賛成派が勝っている状況だった。レイが急に「だが、それだけでは私の理想郷が駄目だということへの根拠としてはまだ弱い。まだあるとでもいうのか?」と言うとセルキは「ああ、あるぜ」と言った。
セルキは「おめえらは、自分たちが幸せならばいいって思っているやつもいるんじゃねえのか?」と聞くと、賛成派の一部は「ああ、そうだ。自分たちが幸せになって何が悪いっていうんだよ?」や「家族といる時間が増えるんだ。それが幸せなんだ」と言う人たちがいた。
セルキは「確かに、『今その時だけ』は幸せかもしれねえ。だがな、賛成したおめえらは未来が見えちゃいねえんだよ。今の自分が幸せに・何にも縛られずに暮らせても、今このときの家族との時間が増えて幸せに感じれることができるようになったとしても、じゃあ未来はいってえどうなるんだ?経済は徐々に衰退していって、金は手に入らずに、作物の量もどんどん減っていく。次第に飢えてきて、家族は愚か自分だけでさえも食事を毎日取ることもままならなくなっちまう。水を飲水に変えるための施設も止まり、水は汚く何の汚染物質を持っているのかもわからなくても飲まなければならない。それで体調不良を起こしても、今度は助けてくれる病院も仕事の効率が回らなくなって多くの人たちが、その中にいるかもしれない自分たちの家族が助からねえかもしれねえ。おめえらはそんな未来が待ってるかもしれねえ世界に本当に行きてえのか?本当にそんな世界が幸せになれるのか?確かに、今は搾取され続けている世界かもしれねえ。けどな、それでも必要最低限・もしくはそれ以上の安全性が保証されているんだ。未来が安全かも分からず・幸せな時間はほんの少しの間だけの世界と、搾取され続けていても安全に生活できて・家族との幸せない時間を多く過ごせる世界…おめえらはどっちを選ぶ?そりゃ、世界には貧困などで困っている国だっている。そういった人たちはレイの世界のほうが幸せに感じるかもしれねえ。多分、レイもそこらへんの出なんだろう。だが、そういった国々を支援する動きだって出てきているんだ。おめえらがそういった人たちを助けるためにも少しでもいいからおめえらと同じくらいの幸せをそういった人たちのも見せるためにそういった動きに協力だってできるはずなんだ。それによ…俺達の平和が成り立っているのは、俺達の先祖たちが俺達のために自分のことを犠牲にしてなってるもんなんじゃねえのか!それをてめえらは自分たちのためだけにその後世に繋いだ先祖たちがやってきたことをてめえらの子どもたちにもしようとしねえのか!てめえらがレイ・グランティナスの計画に賛同するんならてめえらが嫌ってる独裁者のやってる私利私欲の考えとおんなじなんだよ!…まあ、こんだけ言ったが俺も何を口走ってるのかもわかんねえが…もし、俺が言ったことがなんとなくでもいい…心に響いたなら、自分たちや後世の人達の幸せを共有できる今の世界を望むひとは反対をしてくれ。俺が言えるのはこれだけだ。あとは、おめえらが自分たちの幸せの、家族を幸せをどうしたいのかだ。心に思いとどまらない奴らがいるんなら、レイ・グランティナスの理想郷に行きてえ人は賛成をすればいい。」と言って終わった。
そう言い終わったあとレイは「セルキ・マッカントリー、私の力で世界中の食料・資金・生活品は私が用意することができる。これでも不幸になるのか?」と取り乱しながら言うとセルキは「でも、その力も有限なんだろ?てめえの力も無限じゃねえ。いつか限界が来ちまう。少し幸せな時間が出来ただけで、結局のところ破滅への未来は変わらねえんだよ。」と言うと、レイは歯を食いしばった。たしかに、自分の力は無限ではない。いつか限界は来てしまうことはもう分かりきっていた。だが、レイは自分の理想を思想を叶えたいがあまり、そんあことにも気づいていなかった。
そうしている間に悩んでいる人たちはすべて反対派になり、勢いで賛成派になっていた人たちからは「なあ、変えることってできないのか?」と次々に言われてしまう始末だった。こうしてレイの計画は失敗に終わり、現世と冥界をつなげるゲートは閉まった。
閉まるときに、セルキは花咲に近づいて「もう少しでそっちに行くからな。待っててくれ」と言うと花咲は「うん、待ってる。頑張ってね、セルキ君」と言い、セルキの頬に淡いキスをした。そして、再び現世と冥界は分かれた。
レイは「わ、私の計画が…何十年も練りに練った計画が…それが、あんなバカのたかだか十年と少ししか存在していない者に…!」と悔しがっていた。そんなレイに対しセルキは赤らめた頬を戻して「これではっきりしただろ、レイ・グランティナス。おめえは目の前の利益しか考えずに、未来のことなんざ全く見ようともしねえ。まるで金に目がくらんでその後に人生がめちゃくちゃになった馬鹿な人間と同じだ!いや…てめえは神なんかじゃねえな…ただのわがままで頑固な俺以下のクソガキだ!」と言い放った。その言葉にレイは「セルキ…マッカントリー…!」と憤慨していた。
セルキは「さあてっと、レイ・グランティナス。おめえの計画は失敗に終わり、おめえの絶望面も見ることができた…あとは、おめえをぶちのめすだけってことだ!」と言い、ゴーキンたちも構えた。レイは冷静さを取り戻し「…いいだろう、セルキ・マッカントリー…いや、AK…私の計画を無下にしてくれたことを、その命を絶つことで償ってもらおう!」と言い、戦闘態勢に入った。
一難去って決戦へ。
…こうやってすぐに手のひら返しをする人もいるから気をつけろ!




