EP20:義兄弟対決
一方でゴーキンも奥に進むとそこには身軽な格好をしたゴーキンよりも少し身長が高い大人が立っていた。「やあ、久しぶりだね。ゴーキン」とその人は言ってきた。ゴーキンは「…翔連兄」と言った。翔連、彼はゴーキンの姉の旦那さんであり、日本だけでなく世界でも有名なボクサーである。
「翔兄、その…えっと…」とゴーキンが言葉をつまらせていると、「謝罪ならいいよ。まあ、君のおかげで見事に骨折をしてしまって選手生命を閉じることになったのは腹が立つけどね。そのせいで恨みを持っていたやつに殺されてしまったこともね」と翔が言ったことに対しゴーキンは何も言えずにいた。
翔は続いて「だからさ、俺と一緒に…逝こっか」と、言うと翔はゴーキンに一気に近づいて連打してきた。ゴーキンはすかさず相打ちにした。
「翔兄、やるしかないんですね」とゴーキンが聞くと、翔は「ああ、そうさゴーキン。向こうに行く前の俺と君の最後のスパーリングさ!」と到底恨み相手と戦うような口調ではなく、再びゴーキンとのスパーリングを楽しみにしているような元気のいい口調で答えた。
二人はお互いに呼吸を整えると正面衝突をして殴り合いを始めた。ゴーキンは翔の脇腹やスネあたりを的確に殴ったり蹴ったりし、翔はゴーキンの顎や頬を重点的に殴っていた。だが、いくらお互いにやり合ってもなかなか当たらずにいた。「なかなかやるようになったな、ゴーキン」と翔は嬉しそうな口調で言った。
だが、次の瞬間「…程度を知っていたら尚な」と言うと、目が無邪気な子供が楽しんでいる目から怒りの目に変わっていた。
「言っとくが、俺はレイ・グランティナスっつうやつの計画に賛同しちゃいない。俺はただ君とスパーリング(やること)できたらそれで良かったんだよ。そのためには力が必要だった。…だがな、力をもらった瞬間からな、無性に腹が立ってきてな、さっきは一緒に逝こうとは言ったがな、ゴーキン、君だけが逝ってもらうことにするよ」と翔は深く呼吸をしそして構えた。その構えはボクシングのように軽々しい構えの中に想像よりも遥かに多い気の量をゴーキンは感じていた。
「行くぞ、ゴーキン!絶対に防がせないぜ!『天翔連撃』!」と叫ぶと猛スピードで突っ込んできてゴーキンに一発殴りかかった。ゴーキンはそれを防いだが、すぐに次の攻撃が飛んできた。その一発一発が重く、段々と防ぎきれなくなり遂にはもろにくらい続けるようになってしまっていた。そして気づけば、ゴーキンと翔の体は空中に翔んでいた。そして翔は「これくらいかな。そ〜〜〜らよっと!」といい、かかと落としでゴーキンを一気に地面に叩きつけた。
翔は戻ってきて「ゴーキン、まだまだくたばってないだろう?立って続きをやろうぜ!」と元気よく言った。「翔兄、本当はこんなことしたくないんじゃないの?俺にはただただ楽しみたいように思えるんだけど…」とゴーキンが言うと、翔は「まあ、君とこんなふうに楽しめたら良かったなって思ってこんなテンションでやっていたけど…今はもうそのことも忘れてしまいたいんだ。それなのに…忘れられないんだよ。ただ純粋に楽しみたいんだよ…モヤモヤするんだよ…」と返した後「だからさ、もう決着をつけたいんだよゴーキン。このモヤモヤから脱したいんだよ。だから、君の全力の一撃を見せてくれ!」と言って翔は立ち尽くしていた。
ー翔兄は本当に心から冥世に行こうとしている。…でも、俺独自の拳法はまだ未完成だ。かといって、翔兄が『貫通弾』や『怪力弾』だけじゃ無理なことも分かってる。ある程度ダメージを与えてからじゃないと…とゴーキンが思っているとその思いに呼応するかのように技の兆しが出てきた。
その瞬間、ゴーキンはあることを思いついた。そして、翔に向かって「行くよ、翔兄!『秘拳:投影弾』!」と言いながら翔に近づいた。翔は「どんな技だ?ゴーキン」と期待をしていた。すると、ゴーキンはまるで翔の『天翔連撃』を動作・威力共に全く同じな殴りをし始めた。翔は「投影…俺の技をコピーしたか!いいね、最後に君が俺の技を会得したみたいで嬉しいよ!」と喜んでいた。
だが一方で、ずっと殴られ続けているので相当痛いはずだ。ある程度ダメージが入ったことを確認すると、ゴーキンは最後の一撃として『秘拳:貫通弾』を放って翔の核を貫いて破壊した。
翔は核を貫かれたのにも関わらず、仁王立ちのままであった。しかし、その体は徐々に崩壊し始めていた。「翔兄はさ、結局の所どうしたかったの?俺を倒したかったの?それとも…」とゴーキンが言いかけたときに翔は「純粋に…スパーリング…したかったのかもな…ほら、死んじまって幽体になっただろ?…だから、これなら君と…やりあえるんじゃないかって…思ったんだ。…そのときに彼は来た。彼を見ると…対象に…俺の場合なら、ゴーキンに対しての…憎しみの感情が出てきてしまってな」と崩壊しながらも話し続けた。
「でも…今となっちゃ…これで…心置きなく逝けそう…だ…よ…」と翔は静かに目を閉じた。翔は最後に「気を…しっかり…保て。計画は…必ず…止めてくれ」と言って、消えていった。ゴーキンは「ありがとう。そしてさよなら、翔兄」と言いながら涙をこぼした。それに気づいたゴーキンは涙を拭い先へ進んだ。レイ・グランティナスの計画を止めるという義兄との最後の約束を守るために…
天翔連撃 打蹴撃を滞り無くやり続ける。その名の通り続けていると空中まで行ってしまう。ある程度の高さまで来てから中断し、下に落下させるという追加ダメージも与えることが可能。だが、あまり決定打にはならない。
秘拳:投影弾 自分とほぼ同等の力を持つ相手の技を完全にコピーできる技。ただし、自分より強い相手の技に対して使おうとすると、力の差に耐えきれなくなり動けなくなってしまう。一方で自分より弱い相手の技に対してはその技がゴーキンの力に耐えきれずに消滅してしまう。




