ニャー
僕の名前は大山山夫。いたって普通の中学生だ。今日もいつもと変わらず学校に行って、授業を受けて、今は学校に帰るところだ。いつもと何ら変わらない帰り道。目の前でワイワイはしゃいでいる同級生たちを尻目に、真横を通り過ぎる。僕にはいっしょに帰るような友達がいない。物心ついた時から僕は一人でいることが多かった。
多分、人見知りな性格と、僕がこれといった趣味や興味を持っていないから、人とかかわる機会がなくなっていったんだと思う。まあ僕に話しかけたいと思うようなルックスを持ち合わせていないというのもあるだろう。
でも別にいい。一人でいるほうが気を使わなくていいし、自由に時間を使える。まあこれは強がりだ。
友達と帰ると、いつもと変わらないこの帰り道も、もしかしたら楽しいと思えるのだろうか。まあそんなこと僕が今後知る機会は訪れないに決まってる。
そうだ今日は少し寄り道をして帰ろう。いつもは先にある大通りを右に曲がるのだが、今日は二個手前の小さな路地を左に曲がろう。
「きゃっ」
路地に入った瞬間奥から走って来た、同い年くらいの女の子とぶつかった。不意のことで僕は気が動転していたが女の子にけがはないかと思い、倒れていた女の子を起こした。
「ごめんなさい。私急いでて、ケガとかないですか」
「あ、大丈夫です。そちらこそ大丈夫ですか」
「はい、とくには。あ、私あゆみって言います。それじゃ、またね」
そういうと女の子は走っていった。一瞬の出来事だった。
いつもと違う道を歩いたことで、あゆみという女の子と出会った。何か始まるかもしれない。女の子との出会いはなぜだか知らないが、そんなことをそんなことを思わせられずにはいられなかった。
僕はもう一度彼女を一目見たい、そう思い彼女が走っていった先を追いかけた。すると
「ごめーん、レン君、おくれちゃったー」
「こっちも今きたとこだよ」
そこにいたのは一組のカップルだった。