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(ベアトリスは死ぬほどマーヴィンが好きだったのね)



第三者から見ればマーヴィンのベアトリスの行動が怖くて鬱陶しいという気持ちも理解出来るし、ベアトリスのどうしてもマーヴィンに振り向いて欲しいという気持ちも分かる気がした。


(だからといって、シセーラ侯爵家の援助を受ける為に、ベアトリスの気持ちを利用しながら婚約関係を続けるなんて‥‥ベアトリスを脅しながら浮気し放題。普通に打算的でムカつくわ)


ベアトリスになる前は、病弱で学校にも通えずに、ずっと病室で過ごしていた。

だからベアトリスの健康的な体は涙が出るほどに嬉しい事だった。


息を吸って吐くのがこんなに気持ちいい事なんて知らなかった。

身体が自由に動いて、行きたい場所へと行ける。

少し瞼が腫れていて頭が痛いが、薬の副作用に比べればなんて事もない。


(ああ、神様‥‥ありがとう)


生まれ変わったベアトリスの心は晴れやかだった。



「‥‥最高の気分よ」



熱い気持ちが込み上げてくる。

ベアトリスの目から涙が伝う。

   

(ベアトリス‥絶対に貴女を幸せにしてあげるからね)


高熱を出しながらベアトリスが願った事。

『こんな事なら、マーヴィン様への恋心など全て消えてしまえばいいのに‥!』


今はベアトリスとの記憶が織り混ざって、マーヴィンへの恋心はすっかり無くなってしまった。



「こうなったら、人生を楽しむ為にもすぐに婚約破棄するしかないわ‥!」



ベアトリスは鏡の中の自分に向かって話しかけた。

マーヴィンの心を射止めようなんて微塵も思わなかった。

ベアトリスは迷わずマーヴィンのいない人生を選び取る。


折角手に入れた新しい人生。

夢にまで見た健康な体と自由。


再びマーヴィンに狂酔して、断罪されるなんて勿体なくて出来はしない。



因みにゲームの結末は、不特定多数の相手ではなく、ハンナと真実の愛に目覚めてしまい、それをストーカーしていたベアトリスが目撃。


どうしてもベアトリスに振り向いてくれないマーヴィン。

ベアトリスは悔しくて堪らなかった。


笑い合う2人の姿に危機感を覚えたベアトリスは、ハンナを感情のままに問い詰めるのだ。

そしてマーヴィンの愛を得たハンナに嫉妬したベアトリスはハンナを消そうと動き出す。


その時のベアトリスの執念深さたるや‥。


そして2人が乳繰り合っている時にナイフを持って乗り込んでいき、王女であるハンナに刃物を向けて殺害しようとした。

マーヴィンがハンナを守った事で未遂に終わったものの、今までやってきた数々の行為が明るみになり、牢屋にぶち込まれてベアトリスの人生は幕を閉じるのである。


愛に狂ってしまった可哀想なベアトリス。


他の婚約者達もそうだが、ベアトリスは王女ハンナとマーヴィンの当て馬として存在している。


確かに付き纏いまくるベアトリスもベアトリスだが、ベアトリスが嫌だからと不貞行為をしまくるマーヴィンもマーヴィンである。


要はマーヴィンはそういうキャラクターなのだ。


性格も温和でベアトリス以外の令嬢にはとても優しい。

けれど、どこか寂しげで影のあるマーヴィンは放っておけない気持ちにさせる。


(‥‥そのまま放っておけばいいのよ、そんな糞みたいな男)


それには色んな理由があるのだが、王女にしか癒せない問題なので割愛しよう。

簡単に言えば、金と愛と優しさで解決出来る。


マーヴィンとベアトリスの最初の出会いもマーヴィンがベアトリスに思わせぶりな態度で優しく接したのがキッカケだった。


ベアトリスの場合、甘やかされて世間知らずだった分、マーヴィンが与えてくれた優しさが新鮮に感じて、思い込みも激しかったようだ。


(そもそも誰にでも優しいなんて勘違いさせるような事ばかりして‥‥自分だけだって勘違いする令嬢だっているわよね!そういうスタンスが腹立つのよ)


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