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王太子は頑張れない!  作者: tsuyu
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4.ノルディア王国

異世界「ノルディア王国」の説明回です。

「おはようございます、ブルーノ様」


シリウスの声で目覚める事に、未だ照れくささが残る。


「おはよう。シリウス」



あの日、プルーニア兄弟に保護され王城に連れて来られた日から一週間。

熱は3日目に下がり、そこから自分の事や保護される前の話、この王国の事を教えられた。



ノルディア王国、それがこの国の名前。


隣国からは「湖と森の王国」と呼ばれる緑豊かな国で、「星石(せいせき)」という珍しい魔力を含んだ石が採掘され、貴族の治める領地では様々な鉱石、宝石の原石が産出され、錬金術師や魔術師がいるファンタジーの世界らしい。


そのノルディア王国、ラティス・ノルディア・サフィア国王の第一王妃の嫡子が、

蒼井桜姫(あおい さき)改め、ブルーラピス・ノル・サフィア第二王子。

白縹色の長い髪に、瑠璃色の眼の美少年だ。



鏡で自分の姿を見たときは、ポカーンと口を開き凝視してしまった。

いやいや、考えても見てよ?

31歳のアラサー女子、いや、貴腐人が目覚めたら14歳の王子様になっていたんだよ?

本の蟲、というか活字中毒で、TL、BL、異世界転生モノ、悪役令嬢転生モノは大好物ですよ?


でもまさか自分がそうなるなんて、いくら夢の世界に片足突っ込んでても、そこはほら、現実逃避する為のファンタジーな世界じゃない?

現実にそんな話が身に起きてもすぐには信じられない。


熱が下がっても夢から覚めないし、どれだけ長い夢を見ているのか、と現実逃避したい気分だった。

面白そう!なんて気軽に読んでた自分が恨めしい。

もっと役に立つ知識を勉強しておけば、新商品とか開発したりして、産業革命起こしちゃったり、億万長者とかも夢じゃなかったのに!

あ、でも王子ならお金持ちだろうし、公務とかで忙しかったら大変だよね。



話を戻して。


国王には第一王妃、ブラン公爵家から嫁いで来た国王の再従妹、サフィニア・ノイエ・ブラン王妃との間に、第一王女スピニア姫 17歳、第二王子ブルーラピス 14歳、第二王女フィニア 7歳。


そして第二王妃のジルヴァーナ伯爵家令嬢シルヴィア妃との間に、第一王子ジオラピス14歳がいて。


ブルーラピス(わたし)の母であるサフィニア王妃は、ラティス王の先々代である祖父の弟の孫。

幼い頃から仲が良く、王太子時に嫁ぐが子が中々できず、やっと産まれたスピニア王女出産後に大病を患い、側妃シルヴィアがジオラピス王子を出産した半年後に、やっと王子(わたし)を産む事ができ、今は蒼妃宮(王妃の宮)で王女二人と暮らしている。


王太子時代は正妃、側妃と呼ばれ、王位を継ぎ子を授かると正妃は第一王妃に。側妃は子が生まれた順に第二王妃、第三王妃となるが。


元々、ラティス王は妃はサフィニア妃だけとしていたが、王子が生まれず上級貴族からの圧力におされ、迎えたのがシルヴィア妃である。


数代前の王は艶福家で九人の王妃と十人の側妃がいたこともあり、ラティス王は愛妻家で通っている。



また、この世界では地球のように各国で沢山の宝石が産出されるようで、王家や貴族の家紋代わりに「家石(かせき)」という物が決められている。

ノルディア王家の家石は「王石(おおせき)」と呼ばれ、ラピスラズリを多様される。


各家の当主には代々継承される家石の指輪があり、王家は金の指輪にラピスラズリが、公爵家以下は銀の指輪に各家石が填め込まれている。


それとは別に、王族と貴族は生まれた時に家石と、母方の家石が当主から贈られ、二つの石が填め込まれた指輪が作られる。

3~4歳で指輪を授かり、ネックレスに通し、肌身離さずに御守りとして身に付ける。

7歳を迎えると右手の薬指にはめ、結婚するときに相手に左の薬指にはめてもらうのだ。


既婚者と未婚者を見分けやすくなっている。

貴族は一夫一妻制ではあるが、愛妾は認められており、嫡子が継ぐ事が決められてはいるものの、庶子でも養子縁組により継ぐ事も出来る。



ブルーラピスに仕えるシリウスは、ルージュ子爵家嫡男で16歳。

髪はワインレッド、眼の色は深紅。右薬指にガーネットとグリーンガーネットの指輪をはめている。

兄弟の多い場合は次男以降、母方の家石ではなく、水晶を埋め込めるのが一般的だが、家によっては、次男はこの石、三男はこの石と、細かく決まっている家もあるそうだ。


ブルーラピスの右薬指に収まっているのは、金の指輪でラピスラズリと蒼いサファイア。つまりブラン公爵家の家石はサファイアということだ。


国が毎年発行している貴族名鑑には、家石が掲載されており、それを覚える事は貴族の常識だそうだ。

王家のラピスラズリ、二十三の貴族の名前と家石、近隣諸国の王石をブルーラピスの近侍長であるグイード・ディアノに教わって覚えている最中である。




「殿下、本日のご予定ですが、ジオラピス殿下より一緒に昼食を、とお誘いが御座いましたが、如何なさいますか?」


このグイード・ディアノは、三公爵家の一つ、ディアノ公爵家の次男で25歳。

ブルーラピスが生まれたときから仕える侍従で、シリウス達ブルーラピスの側近を統括している。


「グイードはわたしが行っても大丈夫だと思う?」


ブルーラピスの記憶が全く無い状態から、たった一週間。

熱で寝込んでいたから実質四日間で、テーブルマナー、生活する上で必要な一般常識は教わったものの、各国の歴史や情勢、14歳の第二王子として知っていなければいけない知識は、一週間では全く時間が足りていない。


言葉は喋る分には困っていない。最初から日本語で通じているけれど、どうやらノルディア語を喋れているらしい。

ただし、字や文法は英語とドイツ語が混ざったような、そして装飾文字もあったりして苦戦している。

取りあえず、名前と国名だけは熱の下がった初日に覚え、ノルディア文字28文字と、装飾文字28文字、句読点や最低限の単語はこの数日で少しずつわかるようになった。


こんなに必死に勉強したのは、大学受験以来かも。

大学での講義は趣味一直線だったし、苦じゃなかったし。サブカルチャーは好きだから、そっちも無問題!

歴史は好きだけど、小学生の頃から年表は覚えるの苦手だったから、それが辛いところ。



「ジオラピス殿下との関係は今のところ、友好的な関係を築かれていらっしゃいますし、ジルヴァーナ伯爵は視察で王都を離れていらっしゃるので大丈夫かと存じます」


王妃同士、子ども達の間に軋轢は無いのだが…

第二王妃の父であるジルヴァーナ伯爵は、子が中々授からなかった国王に自身の娘を嫁がせようと根回しした野心家で、第二王子であるブルーラピスが王太子に立つことに納得しておらず、自分の孫である第一王子のジオラピスを王太子に推している。


ノルディア王家は成人を迎える15歳を過ぎてからしか、王太子の継承が出来ない事になっている。現在14歳の二人の王子は来年成人を迎える。


通常であれば正妃である第一王妃の子が嫡子だが、第二王妃の息子であるジオラピスが優秀で在ればあるほど、外祖父であるジルヴァーナ伯爵はジオラピスに王位をと考えているらしい。



「昼食だけでいいんだよね?剣術の稽古はまだジオと一緒には無理だよ?」

「はい。ブルーノ様は病み上がりで、王宮医よりまだ許可が降りていない事になっておりますので」

「明後日には母上の茶会があるし、その練習にはいいかもね」

「はい。では、ジオラピス殿下にお受けする旨、ご返答して参ります。昼食まではシリウスとスピカを教師とし、こちらを進めておいてくださいね」


ニッコリと怖い笑顔のグイードから渡された束をペラリとめくる。貴族の本家と分家の関係や諸外国王家との血族が事細かく纏められている。



「…ガンバリマス」

引き攣る顔でガックリと項垂れた。

次は「5.ジオラピス・ノル・サフィア」、第一王子ジオラピス殿下(異母兄)の登場回です。

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