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王太子は頑張れない!  作者: tsuyu
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1.プロローグ

オリジナル長編小説、初連載です。

投稿は不定期で、たまった分からupしていく予定です。


4話までは今夜中にupしたいと思います。



「おい!しっかりしろ!ブルーノ!」


温かい何かに包まれているような、ホッとする居心地の良さの中、耳元で甲高く怒鳴る呼ぶ声に「煩い…」と眉間に皺を寄せる。

「煩いじゃない!おい!起きろ!」

濡れているのか、身体が冷たくベタベタして気持ち悪い。 今度は頬をペチペチと叩かれ、手を払う。

「ブルーノ!!」

「だから煩いってば!!」


ガッ!と目を開けたら目の前に見た事もない、知らない男の子の顔が自分を覗き込んでいた。

「へ?」

「やっと起きたか。ブルーノ、傷は?痛い処は?」

声の主が呆れた顔で問い掛ける。

少し身体を放し、あちこちを確認し最後にまた顔を向けてくる男は不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。

「ブルーノ?」


「あ、えっと? あなた誰?」

今紫色の瞳で見詰められ居たたまれなくなり、ボソッと呟いた。

「おい、頭でも打ったか?」

「ブルーノって私?」

「私ぃ~?」

引き気味に語尾が上がる。


「殿下!!エヴァン!!」

「あ、プラシオ兄上!ブルーノが!!」

黒馬に乗った少年が近寄って来ると、自分を支え抱えていた少年が兄に叫ぶ。


馬から降りた兄上と呼ばれた少年は、すぐに横に膝をつき私の顔を見下ろす。

「殿下!御無事で良かった!」

頬に添えられた手が熱く、エヴァンとはまた違う本紫色の瞳が何処かホッとした様子で頬笑む。


「兄上、ブルーノ頭でも打ったのか、俺の事も自分の名前も解ってないみたいで…」

「なんだと?!殿下、私の事も解りませんか?」

両肩をガシッと掴まれ険しい顔で見詰められる。


「えっと…はい。ごめんなさい。どなたですか?」

「……」

絶句する少年達には申し訳ないが、全く何が何だかわからず首を傾げる。


「私は貴方様にお仕えしております騎士、プラシオ・プルーニアと申します。こちらは弟のエヴァン・プルーニア。殿下の騎士候補でございます」

「…あの、プラシオさん」

「プラシオで結構です、殿下」

「えっとプラシオ、その殿下って?」


「ブルーラピス・ノル・サフィア王子殿下、それが貴方様のお名前です」





「はぁぁぁーーーーーーー?!」





思わず大声で叫んでしまい、目の前のプルーニア兄弟は目を瞬き驚く。


「くしゅんっ!」

「殿下、このままではお風邪を召されます。こちらを」

肩に掛けていた水色のマントを私に巻き付け、抱き上げると、

「殿下ーー!!」と叫び駆け寄ってくる数名の騎士らしき男たちに指示を出し始める。


「御無事ですか!!」

「静かに。まだ周辺に潜んでるかも知れないでしょう? マックス、クラド、貴方たちは近辺の捜索を。レスター、リカルドは私と共に西宮へ!」

「「はっ!」」



プラシオが指示を終えると、抱っこされたまま大人しくしていた(キャパオーバーで放心状態の)私ぎゅっと抱き締める。

「殿下、まずは城へ戻りゆっくり休んでください」

「……」

「エヴァン、お前も濡れているが大丈夫か?」

「あ、うん。平気」

「王城に父上が待機しているから、そちらに報告を」

「了解!」


反応のない私を馬に乗せ、後ろに乗ったプラシオに抱えられ畦道を駆ける。

振動とプラシオの温かさ、思考が混乱していたせいか、気が付いたら知らない部屋のフカフカの寝台の上だった。


次回は「2.ブルーラピス・ノル・サフィア」ブルーノが熱で朦朧としています。短いです。

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