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雪の女王のようです③

フーピテル侯爵夫人と会話中、訪問者が訪れた。

しかし、彼らはとても不遜な態度をとっていて…

「今、なんとおっしゃったのですか?」


部屋の空気がピシッと凍り付いた。


一変した雰囲気を感じたのか、二人はハッと顔を上げた。


「今、なんとおっしゃったのです?」


優しくそう繰り返す夫人だが、声には全く優しさがこもっていない。


「で、ですから、爵位剝奪だけは…と…。」


消え入りそうな声で、女性が言った。


横では男性がうんうんと頷いている。


「爵位…確かに大切ですものね。では、私が爵位を剥奪しない代わりにお嬢様に罰を与えると言ったら?」


その言葉に、彼らはブルブルと首を振った。


部屋の中は、花瓶に生けられた花に霜がつくほど冷えている。


「わかりました。ではお嬢様はお渡ししましょう。その代わり、あなた方は准男爵に格下げします。」


「そんな!!」


女性が甲高い悲鳴を上げた。


准男爵は最も低い爵位で、貴族ではなく平民として数えられる。


准男爵に格下げするということは、貴族から平民にすると言っているのと同様であり、帰属にとってそれは屈辱的なことだった。


二人の顔がどんどん青ざめていっている。


娘を取るか、爵位を取るか、心の中で葛藤しているのだろうということが良くわかる。


「―と、言いたいところですが、今回侵入を許してしまったことは我が家にも非があります。それに、爵位を同行できるのは公爵家だけですから、私にそのような権限はありません。」


フーピテル夫人がそう言うと、二人の視線が再びクレーヴェルに向けられた。


「め、メルキュール様。」


先ほどとは打って変わってすがりつくような二人の表情に、アイリスはもはや同情すらわかなかった。


「今回の件は…」


クレーヴェルが静かに口を開いた。


「今回の件は、僕だけでは判断しかねます。父とよく相談したうえでまた改めて考えます。」


そう言うと、二人は一瞬納得できないといった顔を見せたが、すぐに頭を下げて礼を述べた。


恐らく、子供ならすぐに許してくれると踏んでいたらしい。


公爵家当主が入ることで、適切な処置がとられるのを嫌がったのだろう。


(でも、これが妥当よね。)


アイリスは心の中で頷いた。


お読みいただきありがとうございます。

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