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雪の女王のようです②

フーピテル夫人と初対面したアイリスたち。

その時、何やら廊下の方が騒がしく…

使用人の諫める声とともに、ドタドタとうるさい足音が近づいてくる。


「な、なに?」


うろたえながら、アイリスは扉の方に目をやった。


「も、申し訳ありませんでしたぁ!」


バンッと勢いよく扉が明けられると共になだれ込んできた男女は、開口早々謝罪の言葉を述べた。


「多大なご迷惑をおかけいたしました!」


そう言って地面に頭が付きそうになっているのは、何ともずるがしこそうな目をした男性だ。


「どうか寛大なお心を…!」


ヒステリックに叫んでいるのは、気の強そうな女性だ。


一目見ただけで、あの少女の両親だとわかる。


「お二人ともお静かに願います…」


二人を案内してきたのだろう使用人がそう注意するも、


「申し訳ございません!!」


「お許しくださいっ!」


彼らは聞く耳持たずで、泣いているのだかわめいているのだかわからない声で平謝りを繰り返している。


そのあまりのうるささに気圧されてしまう。


「お二方。」


わあわあとうるさい中で、フーピテル夫人の静かな声が通った。


その言葉を聞いて、二人はびくりと体をすくめた。


「謝るのは私ではないのではないでしょうか。」


そう言って、夫人はクレーヴェルに目を向けた。


「メルキュール様…。」


彼らはクレーヴェルを見て初めてそこにいると気が付いたのか、大慌てで謝罪し始めた。


「いえ、もう、大丈夫ですから…。」


そんな二人の様子に呆れたのか、クレーヴェルは疲れたようにそう言った。


すると、彼らはそうですかと言わんばかりに再びフーピテル夫人に向き合い、またあの騒がしい謝罪を続けた。


(なにあれ!子供だからってバカにしているの?)


あまりの変わり身の早さに、アイリスは言葉も出てこない。


ルビーも二人の様子に驚いたのか、眉をしかめている。


「うちのバカ娘が本当にご迷惑を…!」


「どうか爵位剝奪だけはお許しください!!」


この期に及んで爵位か、とアイリスはため息をついた。


その時、


「今、なんておっしゃいましたか?」


ピシッと言う音がして、部屋の空気が凍り付くのが分かった。

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