最強のお友達のようです③
侵入者を魔法で追い出したラナ。
アイリスたちはその強さに唖然としてしまい…
辺りが再び静かになると、ラナがアイリスたちを振り返って恥ずかしそうに笑った。
「失礼いたしました。お見苦しいところを。」
丁寧にお辞儀をするラナに、アイリスたちは何も言うことができなかった。
「ラ、ラナも怒ると怖いのね…。」
場を和ませようとアイリスは口を開いたが、横にいたクレーヴェルが慌てたように肘でつついた。
(姉さん…。)
(アイリス様…。)
頭を抱えるルビーたち。
「あら、そうですか?」
ラナは自覚がないのかキョトンとしている。
「でももう安心ですわ。あの少女は屋敷へ連れて行きましたから。」
「どういうこと?」
恐る恐る聞くアイリス。
「今日は、屋敷にお母様がいますから。もう二度とうちに入らないように言い聞かせてくれますわ。」
(言い聞かせる、ね…)
その意味を考えておびえるアイリスたちを尻目に、ラナはフフッと無邪気に笑った。
「本当に、戻らなくていいんですの?」
森の小道を進みながら、ラナはアイリスたちに念を押した。
「本当に大丈夫よ。クレーヴェルも大丈夫って言っているし。」
「はい。それよりも、お二人は大丈夫ですか?」
クレーヴェルに言われたルビーとラナは、何のことかと顔を見合わせた。
「クレーヴェル。さっきのを見たでしょ?この二人はあなたが思うよりずっと強いのよ。」
アイリスがクレーヴェルの肩をポンと叩いた。
「ま、まあそうだけど…。」
しかし、クレーヴェルは目の前で起きたことを信じられないでいるようだった。
すでにルビーの身体能力については知っていたアイリスは、ルビーの先ほどの行動に
は際して驚いていなかった。
「ルビーも、ラナも、本当にありがとう。助かったわ。」
「僕のせいで危険な目に合わせてしまい、申し訳ございません。」
「いえ!私など、お役に立てずに…。」
「むしろ侵入を許してしまったのは我が家の責任ですもの。」
アイリスとクレーヴェルが頭を下げると、二人は慌てたように手を振った。
「ですが、ルビー様は本当にお強いのですね。動きが全く見えませんでしたわ。」
ラナの言葉に、ルビーは恥ずかしそうに笑った。
「いえ、私など…」
「でしょう?今まで何度も助けてもらっているのよ。」
「何で姉さんが自慢げなの…。」
ぼそりと呟くクレーヴェル。
「それに、ラナの草魔法もとてもすごかった!きれいだったわ~。」
「ええ。思わず見とれてしまうほどでした。」
「ありがとうございます。でも、あんなことに植物を使ってしまうなんて、父に怒られそうです。」
ラナは指を口に当てて言った。
「わかったわ。侯爵様には内緒ね。」
アイリスたちはくすくすと笑い、自分たちだけの秘密を共有しあった。
お読みいただきありがとうございます。
また、ブックマーク登録もありがとうございます。励みになります。