雪女
もしも私が雪女になったら
迷わずあなたを氷漬けにするでしょう
私の部屋に凍ったあなたを置いて
ひたすら見つめて過ごしてみたいの
そんな独りよがりな恋を
許してほしいなんて言わないから
叶えたいなんて思わないから
冬の間だけあなたを独り占めさせて
だってあなたは春になったら
何もなかったかのように暖かい世界へ
行くのでしょう
瑞々しく光る世界へ
もしも私が雪女になれても
あなたを氷漬けにはできないでしょう
あなたの笑顔が、優しさが
私の冷たい心を溶かしてしまうから
あなたの温かさに触れるたび
私は泣きそうになってしまう
独り占めできなくてもいいから
消えていく私をどうか忘れないでよ
きっとあなたは春になったら
何もなかったかのように暖かい世界へ
行くのでしょう
私には届かない世界へ
それならせめてあなたの孤独を
私の部屋に置いていってよ
氷漬けにして叩き割ってあげるから
その欠片を私は拾い集めて飲み込んで
あなたのために死んでみせるわ
きっとそうしてみせるわ