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金の斧と銀の斧とよく切れる普通の斧

作者: 蛸らしさ

 ドツッ、ドツッ、森の中に斧の鈍い音が響いています。斧を振るっているのは、一人の若い木こりの男でした。彼は代々家に伝わる斧を黙々と振るっています。木こりは正直者で心の優しい男で、木こりの仕事に誇りを持っていました。幸い彼の住む地域の木材はとても質が良く、金持ちというほどではありませんが、両親と父方、母方の祖父母を養いながらでも食うに困ったことはありませんでした。


 しばらくすると、木が倒れたので彼はそのまま木を担ぎ歩き出しました。そして、近くの泉で喉を潤すと、「もう一仕事するか」と呟き、気合いを入れ直すと泉のそばの木に斧を振りかぶりました。すると、気合いを入れすぎたのか斧は一撃で木を砕き折り、その勢いのまま斧は手から離れて飛んでいき、大きな水柱を立てて泉に落ちてしまいました。


「あー...またやってしまったなぁ。しかも今回は泉の中に落としてしまった。じい様や親父が見てたら、また怒られそうだ。」と、ため息をつきながら泉の中に斧を拾いに行こうとすると、泉が輝き出し、金色の斧と銀色の斧を持ったとても美しい女性が現れました。


 そして、「あなたが落としたのはこのオリハルコンの斧ですか?それともこのミスリルの斧ですか?」と木こりに笑顔で尋ねました。木こりは、その女性を泉の精霊なのだと思い「いいえ、精霊様。私が落としたのはもっと良く切れる普通の斧です。」と言いました。するとその女性の笑顔は少し引きつり、しばらく固まった後、「あなたは正直者です。正直者には褒美をあげましょう。しばらく待っていて下さい。」というと金色の斧と銀色の斧を泉の淵に置いた後、泉の中に消えていきました。


 しばらくすると、とても重そうに木こりの斧を持って泉から出てきました。そして、疲れた顔で「あ、あなたの斧をお返しします。そしてこの二つの斧も差し上げます。」というと泉に消えて行こうとしたので、木こりは「いえ、手加減に失敗して斧を泉に落としてしまった上に拾ってもらっておいて、褒美を受け取ることなどできません。」と言いました。


 すると女神は先ほどより疲れた顔で「お願いします。受け取っておいて下さい。」と頭を下げたのでした。驚いた木こりは、女神様に迷惑をかけてしまったのかと思い、「分かりました。では受け取られせていただきます。ですが、女神様には大きな恩が残ってしまいますので、また何か私に出来ることがありましたら、何でもおっしゃってください。」と言い、感謝の言葉を述べると三つの斧と二本の木を担いで家に帰って行きました。


 ――――――――――――――――――――――――


「イヤイヤ、アレはヤバいわ。」と極度の精神疲労を抱えた女神は言いました。「泉の中にいたら急に旧時代の神殺しの斧が降ってきて危うく死にかけたわ...、私よりずっと高位の神を殺せる武器よ、あれ」


「あんな危ないもの人に持たせておきたくないから人が喜ぶもので交換しようと思ったのに、よく切れる普通の斧って何言ってんのよ!?それはまぁ、オリハルコンやミスリルより切れるだろうけどあんなものが普通の斧な訳ないし、人が持てるはずないのに!!」女神は我慢していたことを叫びまくりました。


「っていうか、見た目からしてまず木こりの斧じゃなくて完全に戦斧じゃない!手加減しないと木が砕けるって何よ!しかも、ここに生えてる木って神の力の欠片が含まれてるから、めちゃくちゃ堅いはずなのに!ゼェ...ゼェ...」女神は疲れながらもスッキリしたような顔になりました。「まぁ、なんか貸しが出来たみたいだし、向こうは何故かこっちを敬ってくれてるみたいだから、とりあえず大丈夫ってことでいいか!」女神は考えることをやめました。



木こりと女神の旅が始まる...かもしれない。

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