表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/18

5:チューリップは何色

 私が自転車に乗っていた時、自分用のチューリップの球根を一つだけ、パーカーのポケットに入れていて、こっちに転移した時に砕けてしまったけど、緑目ウサギさんがなんかいい感じにしてくれたよ。ウサギさん逹は有能だね。


 四匹の黒ウサギを撫でながら、芝の生えてきた地面に座り込んだ。

 柔らかい新芽が足をくすぐっている。

 水と草木のざわめきが心地よい。

 おばあちゃんとお母さんに会えなくなるのは寂しいけど、ここは自分のいる世界だって本能で分かる気がした。そんなことを思いながら、ぼんやりウサギさん逹の作業を見つめた。



 水の青目黒ウサギさんは、土の茶目黒ウサギと共同作業で噴水を造ってくれた。

 木の緑目黒ウサギさんは、赤いチューリップを整えてくれた。

 火の赤目黒ウサギさんは、することないみたいで踊っていた。


 四つ脚でお尻フリフリしてるから、猫が獲物を狙ってるみたいだった。

 ついでに私も隣でフリフリダンスしておいた。フリフリ。ウサギ尻尾が揺れて結構面白い。


 四精霊さんにはお礼のウサギ小屋を建てることにした。


 土で砂場トンネルみたいな、ちっちゃいカマクラを。

 木で百葉箱みたいな、ちっちゃいログハウスを。

 火はキャンプファイヤーみたいな、ちっちゃいカマドを。


 水は噴水があるから省略した。チョコレートフォンデュのタワーみたいに水が流れているからそこを住処にすればいいと思った。


 くるくるポンッとちっちゃいそれぞれを噴水の周りに造ったら、皆、喜んでくれた。


『『『『おお!我らの祠!』』』』


 私もおばあちゃんのチューリップが復活して嬉しい!

 チューリップの上に優しい雨が降りますように!


 お祈りしている私の周りに薄い霧が広がって、砂漠の空気から草原の空気へ変化した。


 おおスゴイ。


 ちゃんとおばあちゃんのチューリップも一輪咲いた。赤をベースにキラキラ虹色に輝いていた。

 普通なら花がしおれた頃に茎の上部を切るんだけど、球根を休ませてあげたくて茎の上部をパキンと折った。


 なんだか、おばあちゃんの優しさと思いやりが詰まってる気がする。

 ふわふわホワホワした光がちっちゃな蛍みたいで可愛いな。


 うん。おばあちゃん。私、ここでちょっと頑張ってみるよ。

 雨を降らすことしかできないけど、まずはこの砂だらけの場所をオアシスにしてみるよ。

 おばあちゃんのチューリップと一緒に頑張ってみる。


 手のひらの一輪のチューリップ。大事にしよう。

 それでこの花で指揮棒みたいな杖作ったら、魔法少女みたいじゃない?って思ったので造ってみた。


 ギュッとキラキラが収束して最後にピカッと光ったら、なんだか土産物屋にある、花のついたボールペンみたいになった。


 うんこれはこれで競艇場のおじさんの赤ペンのように、耳の上に置けば髪飾みたいでいいか。


 近所にあったんだよね競艇場。


 なんかでもごめんおばあちゃん。


 さてと。衣食住は確保したけど、これからどうしよう?


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ