表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/18

4:第一星人発見ならず

 そんなこんなで、衣食住がなんとなく整ったので、私は周辺を探索してみることにした。

 黒ウサギさんが言うには、この場所は、三種族の中間で、1km程南下すると魔人族、人間族、獣人族へ繋がる街道があるらしい。

 街道からは、それぞれの管理する土地まで、馬車で一週間位なんだって。


 まずは街道を目指してみよう。


 テクテク歩いて行くけど、見渡す限り、砂、砂、砂で飽きてきた。微妙に高低差があるらしく、街道はまだ見えてこない。


「飽きた飽きた飽きた。砂しかない。飽きた」


 五分ほど歩いて飽きた。

 潔く未知との遭遇は諦めることにした。


 だって日差しが強いんだもん。砂しかないんだもん。

 よく考えたら、道見ても道だなとしか思えないし、行っても道しかないなら意味ないような気がする。

 今のところ、どこかの種族に行くつもりはないし。


「よし。お家に帰ろう」


 なんとなく黒ウサギさんの呆れた視線を感じるけど、多分気のせい、ということにした。


 お家まで一直線に帰りたかったので、海を割るイメージで、雨雲一直線!と右手を振り下ろしたら、1m幅で雨雲がズモモモモモー!と発生して、小さな森まで小雨が降っちゃった。


 地上1m位の雲だけど。なんか低いよね。前回より高いけど。


 シトシト雨雲の上を、黒ウサギさんが楽しそうに飛び跳ねて歩いてたから、私も飛び乗ってみたら、見事に落ちた。お尻が痛かった。


 水の精霊さんはお水の上を走れるんだってー。

 えーなんでー。私、雨巫女なんだから、私も走りたいー。


 なんか理不尽。


 ーーー


 だらだらしながら帰宅すると、森が物の見事に様変わりしてた。

 まるで青ネギがブロッコリーに化けたんじゃないのってぐらいに樹々は逞しくなり、下草はモヤシのようだったのに、収穫前の人参の葉くらいモサモサしてた。


 何も考えていない、雨雲一直線が意外と効果があったらしい。

 やだ。先見の明があるのかな私。


 まずは初心に戻ってお家探検だよね。と、ログハウスの扉を開けた。平屋から二階建てに増築されていた。


 一階は、ご飯食べる所、作る所、保管庫、風呂トイレなどに出来そうなスペース。

 二階は、ベットの枠がポツンとある部屋が2つ。全て、木のみ、だった。

 水回りと、布類をなんとかしないと、なんか、【木の家】でしかない。



 まずは、流し台にはめ込む陶器、洗面ボウルが欲しいけど、粘土をぺたぺたして熱々にしたら、陶器ってできるんだっけ?

 うーうー唸って庭に座り込んでいたら、精霊さんからお手伝いの申し出があった。


『火が手伝うボゥ』

『土も手伝うゴロ』

『木も手伝うワサ』


 なんか専門家的なのキタ。ここはやはりプロに頼みましょう。


 精霊さんも実態がある方が、マナのコントロールが行いやすいとのことで、実体化を求められた。

 決して私がもふもふしたいからではないのです。


 赤い瞳と、茶色の瞳、緑の瞳の三羽の黒ウサギさんを、キラキラポンッとしておいた。

 火の精霊は、赤目の黒ウサギ。

 土の精霊は、茶目の黒ウサギ。

 木の精霊は、緑目の黒ウサギ。


 最初に水の精霊の、青目の黒ウサギさんと併せてモフモフがいっぱい。

 黒ウサギがいっぱいだ。


 とりあえず、順番にワサワサもふもふしてから作業をお願いした。


「よろしくお願いします」


 浄化槽付きで台所、洗面、風呂、トイレをよろしくしておいた。

 何がどうなったのかはよく分からないけど、ウッディな水回りが完成した。精霊すごいな。


 他に必要な物はあるかなぁー、としばし考え、前庭らしきスペースを見たらウサギ小屋がなかった。

 ウサギさん四羽もいるのに住処が無い!と気がついて青目黒ウサギさんを見つめた。


『ウサギ小屋は必要ございません』

 心の声に返答があった。ウサギ万能。


 家の裏手に回ってみた。家は池の中心の大木に向いて建っているので、少し池から離れる位置だ。

 ここにもウサギ小屋はなかった。ちらっとウサギを見てみた。


『ウサギ小屋は必要ないですからね』

 やはり返答があった。本当万能。


「ウサギさんは水の精霊さんだよね。ここに湧き水が出るようにして欲しいの」

『ウサギ小屋ではなく、湧き水ですね』


 小屋欲しいのかな。


 わたしは希望を言った。


 家の裏手に水場が欲しい。小鳥とか、動物とかが水の飲める高さにある水盤に、湧き水が溜まって溢れるのをさらに下の水盤で受けるようにしたいと伝えた。


 溢れた水を水のカーテンみたいにサァーって下の水盤で受ける、勢いのない噴水みたいにしたいの。


 その周りに、花を植えたいな、おばあちゃんの植えていたチューリップの赤い花を。


 だってまだここには、お花がないもの。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ