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14:三人の判断

 オアシスから動かないと宣言された三人は、しばらくオアシスで過ごすことを選んだ。

 ほかの種族に出し抜かれないように、雨巫女の側に居られるように。


 最初に動いたのは魔人族のアマリアだった。


 雨巫女が飲ませてくれたアオジルの味は最低だったが、熱砂で疲れた身体が一気に楽になった。

 実際に、マナが活性化する、緑化が進む様子を見て感動したのもある。


 アマリア達魔人族は、首都以外がほとんど粘土質の砂漠となっている。

 気休めばかりの植樹で、マナを辛うじて生み出しているが、首都以外の辺境はマナの枯渇が激しく、輸出品である岩塩の掘削も魔道具が使用できない状態だった。

 灯り、移動、食事や入浴などの準備、それらも原始的な方法で営むようになっていた。


 なので是非、雨巫女が欲しい。アマリアの元にやってきてくれれば、砂漠化を止め、緑化が進み、マナを潤沢に使用できるようになるのだ。


 今回、鉢合わせた人族は斥候部隊隊長、獣人族は実行部隊隊長。そしてアマリア自身は諜報部隊隊長で、皆、一線で活躍する部隊である。それは今回の雨巫女召喚がそれぞれにとって重要なことを示していた。


 ーーーーー


 雨巫女は困っていた。三種族からの誘いを、自信満々に断ったものの、この場所で何か大きなことをしているわけではなかったからだ。


 現在していることは、シソの栽培。青汁の改良。雨雲をよぶ祈り。この三つしかない。

 しかし所詮15才の少女である雨巫女は、緑化について詳しくなかった。


 雨が降り、緑が生え、精霊が喜ぶ。そしてマナが満ちる。それでいいじゃん、何で誰かのところに行かなきゃいけないんだろう?と考えていた。


 自らが優位に立とうとする各種族の考え方は、納得できなかった。


「そもそも召喚時がひどかった」


 雨巫女は可愛らしく、ぷくっと頬を膨らませながらあることで頭がいっぱいだった。


 緑化だけ考えたら繁殖力の強い植物、シソ、ドクダミ、ミント、植えたらほっといても爆発的に増えるよね。おばあちゃんの畑でも、この三つは注意して生えないようにしていたもの。

 いっそのこと、この三点セットをプレゼントして追い返しちゃおうかなぁ、なんて考えていた。


 ーーーーー


「雨巫女様、先程のシソドリンクを、魔人族領で教えてくださいませんか? 是非魔人族領にお越し下さい」


 大きな胸と優しいタレ目、少しウェーブのかかった焦げ茶色の髪。

 私が健全な男子高校生とかだったら、鼻の下びろーんって伸びちゃいそうな美人さんだなぁと脳内評価しつつ、雨巫女は優しい笑顔で悪魔の言葉を囁いた。


「シソ、持ち帰ってみます?」


 やっぱり召喚時の痛みは許せない、心の狭い雨巫女だった。


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