12:あなた達だあれ?
雨巫女はご機嫌だった。元の姿に戻り、毎日、接客を楽しんでいた。
しかし宿屋は利用客がいるが、カフェにはなかなかお客様は来なかった。
食材は立ち寄る商人から仕入れるので食事には困らない。
野菜は自給自足できている。
しかし茶葉は仕入れの量が少なかったので、カフェは青汁しかメニューがなかった。
「みんな青汁嫌いなのかなぁ」
雨巫女は気がついていない
みかん、レモン、りんご、オレンジ、パイナップル、マンゴー、じゃがいも、トマト、キャベツ、きゅうり、ナス
全ての入ったジュースが不味いことに。
野菜はともかく、果物は単品で果汁を絞れば飲めることに気がついていない。
誰もいないカフェのテーブルに頬杖をつき、雨巫女は悩んでいた。
「美味しい青汁、健康にいい青汁、体力回復、疲労回復、砂漠を旅して疲れた身体に青汁」
「そうだ!品種改良して、美味しい青汁を作ればいいんだ!」
品種改良を思いついた雨巫女は、早速とばかりにチューリップを握りしめ、祈り始めた。
「身体にいい植物で丈夫で料理にも使えるシソ!青ジソと赤ジソ!」
ーーーーーーー
雨巫女がシソ風味の青汁を開発している頃、宿屋に新しい客が着いた。
彼の名はディルク。人族の斥候部隊の隊長だ。今回は雨巫女の保護のため部下二人と、この場所にやって来たのだ。
三人はマナの多さに目を見張り、まずは宿屋に向かった。途中、カフェの入り口に座り込んで、地面に向かってチューリップの杖を振っている少女がいた。
虹色のマナで光り輝く地面から、葉脈の多いギザギザした形の植物が育っている。緑色の葉と、赤紫の葉の株が二つだ。
あたり一帯に充実しているマナから、目の前の少女が雨巫女だと確信したディルクは声をかけた。
「雨巫女様、ご無事でしたか」
ーーーー
突然イケメンさんに話しかけられた。と雨巫女は固まった。
「雨巫女様、突然ですが私たちと東部の人族領に向かってもらえませんか?」
「なぜ?」
「マナが不足しているのです」
「どうして?」
「……資源が枯渇しているのです」
「何をしたの?」
「魔道具にマナを……」
「精霊は?」
「……力無い状態です」
「あなたは誰?」
雨巫女は曇りのない黒い瞳で見つめた。
自己紹介もせず焦っていたと彼は苦笑いした。
「失礼いたしました。私は人族のディルク。斥候部隊の隊長をしております。後ろの二名は同じ部隊の者です」
丁寧に敬意を込めて、彼は挨拶をした。しかしその挨拶に割り込む者がいた。
「その挨拶に俺達も混ぜて貰えるかな?」
ディルクの挨拶と同時に一人の男と女が割り込んできた。男は頭部に耳があり、女は垂れ下がった巻き角があった。
「俺はファース。狐の獣人だ」
「私は魔人のアマリアよ。抜け駆けはダメよ、ディルクさん。マナの枯渇は一緒よ」




